データで見る口蹄疫対策の遅れ(2010年 宮崎) その32
昨日 6/15(火) までの公表データの数字により、グラフ・図表を更新しました。
更新した図表(pdf)はこちらからどうぞ。
Photo(Top): Asikkala, Finland Olympus E-330 + ZD11-22 (写真、図表はクリックで拡大します。)
In this blog, I intend to share graphs and tables of FMD outbreaks in Miyazaki, and I wish everybody understand what is currently happening in Miyazaki correctly.
You can download the latest data, renewed on 15 Jun. 2010 , click below. Thanks for accessing here.
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この2日間、新たな感染確認の公表はありませんでしたが、6/14に288例目の関連農場(豚1,294頭)
が追加になったので、感染疑いの頭数は増えています。
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(参考)発生状況の地図 google地図(hisaさん他)
(参考)「宮崎県の口蹄疫拡大プロセス」(Google Earth アニメーション ※Google Earthのインストールが必要となります。)
(参考)OIEデータによる口蹄疫発生状況(Google Earth)
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1.衝撃の映像
6/14(月)夜のTV東京「ワールドビジネスサテライト」で、木城町の町営牧場(ワクチン接種)で、
放牧する牛のまわりを、野生の鹿が歩き回っている映像が放送されて、関係者にショックを与えた。
(この映像(約5分)は、昨夜まではTV東京のHPで見ることができたのだが、現在は見られなく
なっている。たぶん取材方法に問題があると思ったからだろう。)
・移動制限区域内の放牧は禁止されているが、守られていない(しかも町営牧場)。
・たくさんの野生の鹿が、周辺に生息している。
・ワクチン接種の牧場に、たいした防護策もしてなさそうな取材班が接近している。
・政府の専門委員の中心メンバーである明石教授(東大)が、人ごとのように話している。
・ワクチン接種の農場の危険性が、あまり周知徹底されていない。
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6/18追記: こちらのYoutubeで見ることができる。
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2.殺処分はお天気頼み
昨日(6/15)は、降雨のため、新たな殺処分終了は、260例目(牛26頭)の1件だけだった。
下に、殺処分スピードのグラフと、降水量のグラフを並べてみるが、降雨の影響が大きいことが
わかる。(まぁ当たり前かもしれないが。)
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下のグラフは、未処分の感染疑いの家畜(擬似患畜)の頭数。なかなか減っていないことがわかるが、
とりあえず今日・明日と処分が進むことを期待したい。金曜からは雨の予報である。
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6/14(月)の官房長官記者会見で、仙谷官房長官は
「6月20日までに患畜と疑似患畜を計画的に処分をする段取りをつけた」と述べたわけだが、
6/15(火)の農林水産大臣記者会見での、山田農水大臣の発言は
「6月20日までに、何とか処分できればと思っております。」と述べてはいるものの、
「ワクチン接種した疑似患畜も、かなり、2万何千かありまして、実際に、ワクチン接種していない疑似患畜は、5千ぐらいまで、牛・豚合わせて、なりましたので、そこのところを、本当に早く処分したいと思ってまして。今朝も小雨のようでして、作業ができるかどうか、今、検討中だと聞いておりますので、何とか、早くワクチンを打っていない患畜、疑似患畜だけでも、早く処分するようにと指示したところです。」
という微妙な表現になっている。
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ところで、ワクチン非接種の擬似患畜は、確かに少なくなって来ているが、殺処分できるかどうかは、
どうもマンパワーの問題だけではなさそうだ。
たとえば、今日(6/16)の時点でいちばん処分に時間がかかっているのは、120例目(川南町、豚809頭)
なのだが、この場合、
感染確認 :5/17
埋却地選定:6/4(確認から18日目)
そして、昨日から「殺処分中」になっているので、本日終了したとすると、「感染確認から30日目」ということになる。
個別の詳しい事情はわからないが、これほどまでに遅れているのは、
候補地をいくつ試掘しても次々と水が出てきて使えない
周辺住民の同意が取れない
など、マンパワー以外の理由がありそうだ。それがどういうものかはわからないが、
やれと言って早急に解決できるものでもないように思える。
(参考)「どうせなら」(kojifarmさんのブログ)
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3.牛と豚は数字を分けて出してほしい
ほとんどのメディアの報道が、牛と豚の合計頭数の数字で語っているが、これは一般に向けて
誤解を招くばかりだ。
今まで、豚の処分を優先的に行ってきたので、合計の数字の上では処分がすごく進んだように感じられるが、
牛のほうが体がでかいので、処分はたいへんだ。一緒くたにしてしまうのは、とても粗雑な報道だ。
下のグラフは、ワクチン接種による殺処分対象を含めたグラフ。
但し、注記した通り、ワクチン接種ぶんの殺処分の進捗状況については、かろうじて
知事のブログに合計数が出ているだけである。
どこかの新聞で、こうした数字を取材して、きちんと国民に届けてもらえないだろうか…。
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ところで、前回「口蹄疫リンク集」のエントリーを作成したのだが、アクセス解析を見ると、
思いのほか利用されているようだ。もっと早く作っておけばよかった。
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お知らせ>本日の図表は、pdfを含め、無断転載を許可します。
但し、 1.引用元の表記をお願いします。 2.無断での改変は厳禁です。(サイズの変更はokです。)
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お知らせ>宮崎産の豚肉・牛肉・乳製品は安全です。
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データは、農水省、宮崎県、OIEの公表データをもとに、個人的に集計したものです。
誤り、疑問点などありましたら、コメントをよろしくお願いします。
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私がコンタンですにゃ。「にゃらん」のまねをしたにょだ。(この写真は転載禁止ですにゃ。)
このブログは、当家の下僕が執筆しているにょだ。 リンクフリーですにゃ。
Hi, my name is Kontan. My servant writes this blog. This blog is link-free.
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コメント
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●国富町木脇、ワクチン接種圏外の肥育農家(230頭規模)で口蹄疫発生疑い。かなり黒:陰性の可能性高いとの情報。
●国富町木脇は黒と判断され、2時半から掘削開始!早く処分が終わってほしい!明日からの天候が・・・
本日午後、丸山県議のツイッター
http://twitter.com/maruyamayujiro
投稿: コンタン | 2010年6月16日 (水) 17時37分
宮崎県によると、120例目はただいま処分、埋却作業中となっていました。
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/parts/000141727.pdf
投稿: おやじ | 2010年6月16日 (水) 19時01分
ありがとうございます。私のチェック漏れでした。
さきほど修正、差し替えを行いました。
投稿: コンタン | 2010年6月16日 (水) 19時56分
はじめまして。
以前から、読ませていただいてます。わかりやすい統計情報をいつもありがとうございます。
国富町の発生場所ですが、西都から一山超えていて宮崎市の発生場所から川を越えている、高速道路に近い場所です。
飛び火した、宮崎市、都城市の発生場所もともに高速道路に近い場所でした。
これは、どういうことを意味してるんでしょう。
飛び火した感染経路は、早期終息のためにも、調べてほしいものです。
投稿: カイ | 2010年6月16日 (水) 20時34分
あくまで、専門家でもない素人の個人的見解ですが…、
感染経路については、いろんな可能性がありすぎて、ほとんどのケースで、はっきりさせるのは不可能だと思います。
但し、どんなルートによる可能性が高いのか、というあたりまでは、いろいろ調査してゆけば判るでしょう。
(現状では、サーヴェイに専門家をさく余裕もないようですが…。)
今回のウイルスは、10年前に侵入したものよりははるかに感染力が強いのは確かですが、それでも、
2001年の英国の流行に較べれば、感染拡大のスピードは遅いと感じています。(はっきりしたことは判りませんが。)
http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/eiken/idsc/disease/fmd1.html
感染の中心地、川南町でも、農家数で考えると、半数以上の牛飼養農家がワクチン接種時まで生き残っていました。
それなのに対策が追いついていないのは、本当に残念なことです。
投稿: コンタン | 2010年6月16日 (水) 21時26分
木城町の町営牧場は、本日殺処分終了とのこと。
TV東京のクルーの行動も、だいぶ問題があったようです。
http://www.shepherd-clc.com/rebbs/re-bbs.cgi
投稿: コンタン | 2010年6月16日 (水) 21時50分
初めて今日拝見させていただきましたが、非常によく整理された資料になっていて、驚きました。
今回の口蹄疫発生に非常に驚き、具体的なデータがほしかったので、大変にありがたく思います。
鹿児島大学の岡本教授という方が開いているサイトで、積極的な感染調査が必要だと言われています。
http://vetweb.agri.kagoshima-u.ac.jp/vetpub/Dr_Okamoto/Animal%20Health/surveillance2.htm
にありますが、発症前の感染確認ができ、発症前に防疫措置をするべきだというものです。2000年の時は、まさにこれが行われていたのですが、今年は、やっと都城で行われています。
投稿: taked4700 | 2010年6月17日 (木) 12時36分
taked4700さん、はじめまして。
岡本教授のサイトは、以前から拝見しています。
尚、「その29」あたりまでは、もう少しいろんなグラフをのせています。
(ワクチンが効いてきたので、現在は意味のなさそうなグラフは出していません。)
もしtaked4700さんが専門家の方でしたら、「こんなグラフを作ってみたら」というような
アドヴァイスを頂戴できるとありがたいです。(お応えできるかどうかはわかりませんが。)
投稿: コンタン | 2010年6月17日 (木) 13時17分