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2010年7月 1日 (木)

データで見る口蹄疫対策(2010年 宮崎) その40

276,049 animals were destroyed.

090713_stockholm_262

昨日 6/30(水) までの公表データの数字により、グラフ・図表を更新しました。

更新した図表(pdf)はこちらからどうぞ。

Photo(Top): 森の墓地(世界遺産) Stockholm, Sweden  Olympus E-330 + ZD11-22 (写真、図表はクリックで拡大します。)

In this blog, I intend to share graphs and tables of FMD outbreaks in Miyazaki, and I wish everybody understand what is currently happening in Miyazaki correctly.

You can download the latest data, renewed on 30 Jun. 2010 , click below. Thanks for accessing here.

100630_daily_outbreaks

「100630_daily_outbreaks.pdf」をダウンロード

100630_total_outbreaks1 100630_total_outbreaks2

100630_total_outbreaks3 100630_total_outbreaks4_2

「100630_total_outbreaks.pdf」をダウンロード

100630_total_susceptible1 100630_total_susceptible2 100630_total_susceptible3

100630_total_susceptible4 100630_total_susceptible5

「100630_total_susceptible.pdf」をダウンロード

100630_all_outbreaks1 100630_all_outbreaks2 100630_all_outbreaks3

「100630_all_outbreaks.pdf」をダウンロード

「FMD_Miyazaki_2010.xls」をダウンロード  (excel data)

100630_destroying_speed1 100630_destroying_speed2

100630_destroying_speed3 100630_destroying_speed4_2 100630_destroying_speed5

「100630_destroying_speed.pdf」をダウンロード

(参考)発生状況の地図 google地図(hisaさん他)

(参考)「宮崎県の口蹄疫拡大プロセス」(Google Earth アニメーション ※Google Earthのインストールが必要となります。

(参考)OIEデータによる口蹄疫発生状況(Google Earth)

口蹄疫リンク集」 (お世話になっている良質なサイト)

1.全ての殺処分終了

昨日(6/30)、感染疑いの家畜(6/24終了)に続いて、ワクチン接種の家畜全ての殺処分・埋却が終了した。

今朝は東京の新聞・TVでも久しぶりにこの件の報道がった。

100630_31

100630_32

(参考) ☆気ままにウロンコロン☆ (5/25ワクチン接種、6/29殺処分)

(参考) 川南からすべての牛と豚が消え去りました

(参考) さりゅい人@獣医師 on Twitter

(参考) mh7208 on Twitter

(参考)宮崎県HP: 「口蹄疫」非常事態宣言の一部解除等について

2.ワクチン接種拒否農家

今朝の朝日新聞によると、ワクチン接種を拒否している農家が3戸あるそうだ。

宮崎日々新聞(7/1)

 東国原知事は30日、口蹄疫ワクチンの接種を拒否している農場経営者に口蹄疫対策特別措置法に基づく家畜の殺処分を勧告したことについて、同意期限を6日に定めていることを明かした。

 勧告に従わなかった場合の対応については「問答無用で法を振りかざすつもりもない。粘り強く話し合いを続ける」として、あらためて強制殺処分には消極的な姿勢を示した。

個人的な意見だが…、今さら、ワクチン接種拒否農家に対して殺処分を強制するのは反対である。

 1.防疫上、いまからやるのはあまり意味がない。税金の無駄遣いになる。

 2.本来は、決然としてすみやかに強制処分するべきだった。次に同じようなことが起きた場合も、

   40日間説得を続けた末に、あまり意味がなくなってから強制処分をするのだろうか?

 3.殺処分・ワクチン接種を含めた防疫対策は全て、地元の協力なしに進められるものではない。

   農家を見せしめのように処分して、後に良い関係が残るはずがない。

 4.防疫上あまり意味がない殺処分を強制するのは、法令に反している。

   (実際裁判になったら、どういう判断になるかは不明だが。)

 5.宮崎県の種牛の場合は、同居していた家畜が発病したのだから「特例」。

   ワクチン非接種で、感染していない家畜を生かすのは、特例でも何でもない。

(追記)ついでに書くが、私としては、種牛を殺さなかったのも反対ではない。

非常事態なのだから、ある程度法律は柔軟に運用するべきだ。

ただし私の願いとしては、殺処分などの防疫対策についても柔軟に運用して、

もっと強力な対策を取ってほしかったのだ。

(参考)農水省: 口蹄疫対策特別措置法関係Q&A

3.日ごとの殺処分の推移

農水省HPに、日ごとの発生頭数、殺処分頭数、未処分頭数の推移のグラフが出ている。

このグラフと、雨量のデータを並べてみる。

Photo

04200524___s

(上の2つのグラフ(農水省・気象庁HPより)は転載禁止です。)

5/11に、8,000頭台まで増えた処分数が、5/12-5/15にかけて急減しているが、雨のせいではない。

おそらくは、人手は増やしたが、埋却地が用意できなかったのがこのへんの時期ではないだろうか。

(ちなみに、5/10は、赤松農水相(当時)が初めて宮崎を訪れた日、5/13は、6頭の種牛を移動した日、

 5/14は、畜産改良事業団で発症があった日(確認は翌5/15)である。)

5/19、5/22-23、6/12-13、6/15については、処分数が少ないのは、降雨のためだろう。

しかし、6/9前後に処分数が少ないのはなぜだろう?

6/9に都城市で発生があったからだろうか?どうもである。

4.おまけ

トーマス・ヘイガー「大気を変える錬金術」を読了した。

Photo_2

科学者のドラマとして、たいへん面白い。(読むのにたいして化学の知識は要りません。)

「今日、アンモニア生成工場でつくられる固定窒素の量は、自然につくられる量に匹敵する」(p.283)

とのこと。現代の農業も畜産業も、ハーバー-ボッシュ法による窒素肥料を抜きにしては

ありえない。

たまにはこういう大きな時代と技術の変化を眺めてみるのも、農業を考える上で重要だと思った。

お知らせ>本日の図表は、pdfを含め、無断転載を許可します。(excelファイルは転載禁止です。)

      但し、 1.引用元の表記をお願いします。 2.無断での改変は厳禁です。(サイズの変更はokです。)

お知らせ>宮崎産の豚肉・牛肉・乳製品は安全です。

データは、農水省、宮崎県、OIEの公表データをもとに、個人的に集計したものです。

誤り、疑問点などありましたら、コメントをよろしくお願いします。

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私がコンタンです。(この写真は転載禁止です。)

このブログは、当家の下僕が執筆しています。 リンクフリーです。

Hi, my name is Kontan. My servant writes this blog. This blog is link-free.

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コメント

堆肥処理の方法
http://twitter.com/mikio7208

堆肥舎があれば、そこに運び消石灰を散布しシートで42日間覆います。
堆肥舎に入りきらない場合、畑等にシートをひきその上に堆肥を集め、同様の作業をすると聞いています。

やまけんの出張食い倒れ日記(6/30)より一部引用
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2010/06/post_1545.html

一部の人がささやいている「参院選で民主党に入れない限り、お金あげないよ」という示威行動ではないのかという噂が、本当なのではないかと思われるんじゃないだろうか?僕はもしかするとそういうえげつない行為をしているのかもしれないなぁ、となかば信じつつあるのだけれども。

毎日jp
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100702k0000m040075000c.html

口蹄疫:農水省が宮崎県に畜舎の排せつ物処理方法など通知

 農林水産省は1日、殺処分した家畜の畜舎にある排せつ物などの処理方法を宮崎県に通知した。畜舎内にある大量のふんなどにはウイルスが残っている可能性が高いため。

 主な内容は▽固形の排せつ物は、飛散防止措置をした上で、感染疑いの家畜が確認された農家の場合は最低42日間、動かさずに保管する。その後、中心温度を60度以上にするように堆肥(たいひ)化処理する▽畜舎内に置かれた飼料は、排せつ物と混合するか、焼却か埋却する▽農家からの問い合わせ窓口を県に開設する--など。【佐藤浩】

ワクチン接種後の殺処分という矛盾に満ちた防疫方法はいずれ改善される(検討中のはず)と思います。このような方法があって、実行されるとは夢にも思いませんでした。

大きな問題点として、ウイルスが表に存在していればそれを検出する技術はあるが、隠れている場合はわからない、つまり時空間で神出鬼没の相手を確実に認識できない、ただし足跡は何とかわかる、という現状では、再発防止のための「不在証明」をどうやって得られるかどうかでしょう。リスクゼロ対策は無意味ですが、きつめの国際ルールのもとで防疫と貿易のつりあいを保つということなのでしょうか。

制圧後にウイルス不在証明を個別に獲得できる場合は、(拒否農家が結果的に)殺処分を前提にしたワクチン接種をまぬかれるかどうか、ですが、そもそも根拠が不明なままの恣意的な一定区域が接種対象とされたわけです。発症が確認された場所の外側で、ウイルス拡散の及びそうな範囲をあらかじめワクチン接種で発症しないようにしておく、というのが本来のリング・ワクチネーションの方法論だったので、今回はメチャクチャなのです。科学的な論理を元にしていない根拠の無い線引きをした場合、法律論になりえるのかどうか、誰か教えてください。

ワクチン接種が発症ゾーンの外側で行われて、終息後に移動禁止ゾーンの中で最後まで発症せずに生き残った場合でも殺処分でしょうか。今回は移動禁止区域で全戸対象でワクチン接種でしたが、防疫ルールに明記されていた方法だったのか、疑問です。移動禁止区域で必死に防疫する意味がなくなるかも知れません。

リング・ワクチネーションについては、同心円の範囲ではなく、主要道路に沿って厚めに範囲を設定するような
提案も目にしていました。しかし、政治的にはなかなかそういう範囲設定は難しかっただろうと思います。

また、私見では、川南町の小規模な牛農家の大部分がワクチン接種まで発症しなかったことからすれば、小規模な牛農家は
ワクチン接種から除外しても良かったのではないかと思っています。(発症した場合もすぐ対処しやすいので。)
但しこれも、どこに線を引くかの問題があって、政治的にはたいへん難しかったと思います。

結局、政治的には、「一律」のやり方が一番選択しやすい(政治家にとってラク)ということでしょう。
もっと責任感を持った政治家でなければ、なかなか踏み込んだ判断はできないと思います。

いまさら仮定の話をしても仕方がないのですが、宮崎大学の末吉さんは、
http://www.agr.miyazaki-u.ac.jp/~vet/hygine/HP/index.htm

5/13の時点で、「豚だけ」を対象としたワクチネーションを提案していました。
(まだ上記HPに残っています。)
この時点でこの方法を取っていれば、一番被害が少なかった可能性があると思っています。

しかし、日本で初めての事態なだけに、ワクチネーションを実行する、という判断を下すだけでも
政治的にはいっぱいいっぱいだったのでしょう。

ワクチン接種の先輩国、オランダの情報を探していたら、削除ファイルが多くて難しかったのですが、どうやら最初は殺処分しないで延命させる約束で接種し、後で結局経済的な理由で殺処分されたそうです。政府に対する根強い不信感が生じているようです。

アメリカの家畜疫学の専門家が日本でのウイルスの確認について技術的な問題点で批判している文書がオンラインに掲載されていました。
http://warmwell.com/

June 10th 2010 ~ Japan's entire livestock industry is now threatened. "Why in 2010 - in Japan of all places - is a government vet turning up to a reported case of suspect FMD without the tools to make a diagnosis?" asks Roger Breeze (The former Director of the USDA Plum Island Animal Disease Center)
Governmental failure to adopt the best science and methodology for FMD surveillance, reporting, investigation and response is like a second marriage - the triumph of hope over experience. Governments keep doing exactly the same things and hoping for a different outcome each time. If it were mandated that all suspected FMD cases were to be tested by PCR on farm Japan would have had a 10 day start on trying to halt the outbreak while it was still small.

口蹄疫の診断について技術的な進歩を知らずに日本はなぜ10年前のままだったのか、厳しく問われています。初動問題以前の基本の問題でしたね。

最初のケースで血清型は日本で確認できずにイギリスに検査のために送付されていたこと、また確認検査が遠隔地の1箇所だけでしかできなかったことは改善を要する反省点でしょう。隔離施設でなければ検査できないと思い込んでいましたが、診断技術は進歩していたということでした。農水の新しい防疫マニュアルには簡易検査のことが入っているようです。

Samuel Johnson: while first marriage is the triumph of imagination over intelligence, second marriages are the triumph of hope over experience.

サミュエル・ジョンソンの名言の引用で皮肉ったわけでした。

下は私のお気に入りの名言です。
By all means marry; if you get a good wife, you'll be happy. If you get a bad one, you'll become a philosopher.
Socrates (469 BC - 399 BC)

簡易検査のことは最近になって知りましたが、確かに、簡単に検査ができるのであれば、もっと初期の段階で見つかった
可能性がありますね。

今回、初発である6例目、1例目とも、口蹄疫の典型的な症状ではなかったために、なかなか確認することができませんでした。

地方の家保にとっては、動衛研に依頼するのが敷居が高かったのでは?、という意見も目にしたことがあります。
仮に家保の知り合いが動衛研にいたら、もっと早期に発見できたかもしれません…。でもそんな体制ではダメですよね。

おっと、何で marriage が出てくるのかさっぱりわかりませんでした。
Socrates のほうは日本でもよく知られていますが、今だったら女性から非難を受けるかもしれませんね。

原田 英男 さんのつぶやき http://twitter.com/hideoharada より引用

【口蹄疫発生農家等の堆肥等の処理】

疑似患畜やワクチン接種家畜の殺埋却処分を終えた農家の方々は糞尿等を順次、処理中。
糞については一定期間シートで被覆してウイルス量を大幅に減少させてから堆肥化にによる熱で消毒する
「二段階」方式をとることとされた。(県と国で協議し決定)

シートなどによる「被覆整置」期間は、発生農場は最低42日間、ワクチン接種農場は最低7日間とされ、
その後、切り返し等により中心温度が60℃以上になるように堆肥化処理を行うこととしています。

スラリーや汚水はpH値が5以下になるよう、クエン酸を添加し、放流する場合は水酸化ナトリウム等で
中和する必要があるとされてます。

口蹄疫発生農場の糞尿等は疑似患畜の処分と同時に埋却等を行うことが原則ですが、
今回の宮崎での発生では疑似患畜等の殺処分・埋却を優先したため、糞尿などの汚染物品はとりあえず、
飛散防止・消毒措置を講じた上で農場内におかれてました。

今回の国・県による対処方針は、各農場におかれている大量の糞尿等を改めて埋却することは現実的でないことから、
ア)ウイルスの不活化に有効な方法で、イ)早期に実行可能な手法をとる ことを念頭に決定したものです。

現状で考えられる最善の避難措置ということですが、実際に動か無ければならない、つまり糞尿・堆肥を管理する農場に対してどこまで具体的に指示されているのか、役所から出た通達が現場でどれだけ実践されるか、が勝負ですね。大規模なところほど大変だと思いますが、従業員(作業員)は残っているのでしょうか。

役所の組織としての習性ですが、指示や通知を出したから後は知らない(自分たちの仕事はすんだ)、という傾向があります。指示や通知が現場で反映されているのか、チェックすることが大切でしょうが、汚染現場に立ち入れる者が限定されていますから、その確認が難しそうです。

また、対策指針には衛生昆虫の発生を抑えることと、堆肥への野生動物の接近の防止など、どこにも書かれていないようですが、全く視野に無いのでしょうか。

作業については、自衛隊の動員も続いているようですし、失業した農家を雇用して支援作業を行ってもいるようです。
(当初は、支援は感染農場のみだったのですが、すぐワクチン接種農場も支援対象になりました。)

気になるのは、発生農場は42日間と、けっこう安全率を見込んでいるのに、ワクチン接種農場が7日間しかない点です。

それと、最終的な処分はなかなか難しそうです。個人的には、堆肥として畑で使っても大丈夫だろうとは思いますが、
風評被害を怖れれば、農家は使わないのでは…。

畜産業を巡る窒素の循環を考えると、化学肥料→海外の穀物→日本の畜産(肉類)+堆肥(厩肥)、となるわけですが、
肉になる分量よりも、堆肥になる分量のほうがはるかに多いわけですよね。

尾崎牛 on Twitter http://twitter.com/ozakibeef より引用。

尾崎牛の完熟堆肥を使ってキャベツを作っている野菜農家が首都圏の食材宅配会社から受注を断られ4分の1の値段で投げ売りです。堆肥にウイルスが付いているのでは、との理由です。堆肥の散布は2月で口蹄疫には全く関係ないにもかかわらず取り引きができません。これが風評被害の実体です。

47ニュース
http://www.47news.jp/news/flashnews/

宮崎市で牛に口蹄疫疑い 
宮崎市内の農場で4日、口蹄疫に感染した疑いのある牛が見つかったことが、同市への取材で判明。
2010/07/04 23:24 【共同通信】

宮崎県における口蹄疫の疑い事例の292例目について(7月5日 0:45)
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/100705.html

昨日夜、宮崎県宮崎市を中心に清浄性確認検査を実施していたところ、同市内の農場(移動制限区域内・ワクチン接種区域外)において、家畜伝染病である口蹄疫の292例目の疑似患畜を確認しました。

昨日夜、宮崎県が、宮崎市を中心に実施していた清浄性確認検査において、同市内の農場(牛16頭:移動制限区域内・ワクチン接種区域外)の飼養牛1頭に口蹄疫特有の臨床症状を確認しました。このため、同県は、当該農場の飼養牛全頭を疑似患畜と判断し、昨日から殺処分を開始しました。

また、宮崎県は、(独)農研機構動物衛生研究所に検体を送付することとしており、PCR検査(遺伝子検査)の結果は本日中に判明する予定です。

292例目の発生に伴う移動制限区域等の変更はありません。

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