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2010年8月11日 (水)

データで振り返る口蹄疫対策(2010年 宮崎) その45 5月13日まで

090713_stockholm_221

今回の図表(pdf)はこちらからどうぞ。

Photo(Top): 森の墓地(世界遺産) Stockholm, Sweden  Olympus E-330 + ZD11-22 (写真、図表はクリックで拡大します。)

「0508-0513_matome.pdf」をダウンロード 

今回は、5/8~5/13の発症(5/14の感染確認)までの状況を振り返る。

1.発生状況の推移

頭数は7/16農水省公表の頭数。当初の公表値とは少し変わっている。

Fig.1-1  5月8日(土)の状況 :49例目まで感染確認

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Fig.1-2  5月11日(火)の状況 :71例目まで感染確認

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Fig.1-3  5月14日(金)の状況 :91例目まで感染確認

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この期間は、中規模の牛農家での発生が多くあった。

発症数は増加したが、前の週に比べると、頭数的にはそれほど増えなかった時期である。

5/10(月) 赤松農水相が宮崎入り。獣医師の派遣を100人に倍増させることや、
      国費による家畜の全額補償などを表明した。

5/11(火) 東国原知事が殺処分の現場を視察。

5/13(木) 参院農林水産委員会で、赤松農相が「一定地域内での牛や豚の全頭殺処分については

      現行法では困難」との見方を示した。

2.発生状況の分布

(図はクリックで拡大。Google Earth 地図を含む図は転載禁止。)

Fig.2-1  1例目~49例目の分布(~5/7発症)

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Fig.2-2  50例目~71例目の分布(5/8~5/10発症)

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Fig.2-3  50例目~71例目の発生状況

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Fig.2-4  72例目~94例目の分布(5/11~5/13発症)

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Fig.2-5  72例目~94例目の発生状況

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73例目は、49例目と疫学的関連が確認されている。(内容は非公表)

おおむね、前の週に比べて、範囲的な拡大があまりみられなかった期間である。

この期間の感染拡大は、道路に沿って、というよりも、位置的な近さでの発生が
多いように見受けられる。

この頃には、農水省も宮崎県も、殺処分の遅れを深刻だと認識していたはずだが、

地域的な拡大が抑えられていたため、このままうまくいけば、殺処分が遅れても

押さえこむことができるかもしれない、という甘い希望も持っていたようだ。

(参考)「大きく見て、都農と川南以外で新たに発生していないところを見ると、ここでの封じ込め・拡散防止

     対策は一定の成果が出ていると現時点では見ていいのではないだろうか?

    (5/9 東国原知事ブログ

しかし、この翌週に感染区域は一気に拡大し、ワクチン接種に踏み切ることになる。

5/6の牛豚等疾病小委員会では、

移動制限区域(2か所)の概ね3 km 以内に収まっており、風による広範囲なウイルスの拡散は考えにくく、

人や車両等による伝播が否定できないことから、あらゆる可能性を想定し、引き続き厳格な消毒や

農場内への出入りの制限を実施するとともに現行の発生農場での迅速な殺処分、埋却等による

防疫措置を徹底すべきである。

としている。

3.累計の殺処分対象頭数と処分状況の推移(1例目~91例目まで:5/14感染確認ぶんまで)

Fig.3-1  累計の発生件数

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Fig.3-2  累計の殺処分対象頭数

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Fig.3-3  累計の処分状況の推移(牛)

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Fig.3-4  累計の処分状況の推移(豚)

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4.殺処分の停滞

殺処分の速度(農水省HPより)

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参考:5月の気象データ(気象庁HPより)

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5/11(火)に、9,000頭/日ほどに達した殺処分数は、その後急に低下している

この時期、悪天候ではなかったし、殺処分のためのヒトは減っていないだろうから、

ほかの要因で殺処分が停滞したことになる。

鹿児島大の岡本教授は、この原因を「補償交渉のせい」と書いているが、これは少々うがち過ぎな気がする。

この原因については、いずれ宮崎県からきちんとした公表がなされることを希望するが、

おそらくは、埋却地の手当がなかなかできなかったためだろう。

(参考)「処分された家畜の補償」(beachmollusc ひむかのはまぐり)

(参考)「埋設場所の確保が難しい地質的な背景」(同)

(追記) kandy7175 さん(養豚/川南町/のツイート(5/22

    「発生当初から課題になっていた埋却地選定及び試掘作業がここに来てさらに難航している

     重機やオペレーター不足もあるみたいだ。」

5.発症例数の指数的増加

Fig.5-1  片対数表示による累計の発症例数

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5/20頃まで、対数グラフで直線的に増加しており、この期間、指数的に感染が拡大していた

ことがわかる。

(これについては、公的な発表/解析を見たことがないので、農水省・宮崎県がどのように

認識していたかは不明。)

このことは、防疫対策のどこかに欠陥があったことを示唆している。

現地で防疫活動に当たっていた、宮崎大学農学部の末吉 益雄教授なども「どこかに穴がある」としているが、

それは、人(農場に出入りする従業員、家族、飼料その他の配送車など)なのか、昆虫や鳥、

ねずみや猫、ほこりなどに付着したウイルスによるものなのか、あまり調査も行われなかったため、

残念なことに、謎のままとなってしまった。(これについては、次回改めて触れる予定。)

また、この頃はまだ、正しい消毒の知識があまり伝達されていなかったことも指摘されている。

もう少し後になると、わかりやすい情報(たとえばこちら)もいろいろ出てくるが、それでもネットを見ることもない

高齢の農家などは、情報弱者になっていたかもしれない。

一般車の消毒については、早い時期から農家が要望していたが、国道10号線の消毒マットが設置されたのは

5/16のことで、一般車、一般人の対策が本格的に始まるのは、県が非常事態宣言を出した5/18以降になる。

(参考) 「地獄・・・・」 (5/10 ムッチー牧場のブログ)

宮崎県は5/8(まで)に、県トラック協会と郵便事業会社に、消毒ポイントでの車両やバイクなどの

消毒徹底を要請する文書を送付した。

ちなみに、下図は、県外から派遣された職員・獣医師等(延べ人数)の推移のグラフ。

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派遣人数は、5/11→5/12に増やされたが、その後は、さほどの増員は行われなかったことがわかる。

(8/19追記) 県外からの獣医師の派遣人数(8/18 第2回口蹄疫対策検証委員会・配付資料より)

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5/12から約100人、ワクチン接種時に一時的に約150に増員、その後6月中旬に150-200人規模に増員された。

国の対策については「戦力の逐次投入」などと揶揄されていたが、戦力は維持されていただけで、

逐次投入すらされていなかったことがわかる。

都城市(6/9)、西都市・日向市・宮崎市(6/10)と、立て続けにワクチン範囲外への飛び火が起きてから、

あわてて戦力を投入した、というのが事実のようだ。

6.えびの市の飛び火と制圧

Fig.6-1  えびの市での発生の経緯

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Fig.6-2  えびの市での発生の分布

(スケールは川南町の図とほぼ同じ。Google Earth 地図を含む図は転載禁止。)

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「FMD_Ebino_Map.jpg」をダウンロード  ←1636×1492

9例目は、7例目の大規模農場と家畜運搬車を共用。

22例目は、9例目と堆肥化施設を共用

この堆肥化施設が補助金を利用して作られたかどうかはわからないが、

農水省の補助事業は、複数農家でないと補助を受けられないものが多いそうだ。

今後に向けて考えるべき点だろう。

「えびの方式」については、素早い殺処分の実行や、厳重な消毒の実行など、

今回は「成功例」として賞賛されることになった。

ところで気になるのは、清浄性確認調査での抗体検査が、発症例の3km圏ではなく、

9例目の3km圏で行われたことだ。これは「国際標準」からはずれている

あるいは、北側は川をはさんでいるから大丈夫、と思ったのかもしれないが、その後の

宮崎などの飛び火の時は、あっさり川を超えたのは承知の通り。

結果オーライだが、ほんとうはあぶなかったのかもしれない。

10/14追記: 「口蹄疫の疫学調査に係る中間的整理」(8/25)によると、9例目の最初の発症は

4/17と推定されています。

7.EDR

鹿児島大の岡本教授が仮訳をはじめている、EU FMD のトレーニングコースが、なかなか面白い。

現地調査の方法なども、「まず落ち着け(Keep calm)」とか、「自分ばっかりしゃべるな

(If you are doing most of the talking, something is wrong with your technique)」とか、

日本のマニュアルにはない細かさがある。文化が違うので一概には言えないが、

こういうマニュアルの細部についても、もっと研究されてもいいような気がする。

この中の、

Key concepts and requirements of the EU FMD Directive for epidemiological investigation

「疫学調査のキーコンセプトと必要な要件(EU口蹄疫コントロール委員会の指導による)」

(注:EU FMD : European Commission for the Control of Foot-and-Mouth Disease

  is a Commission established under the auspices of the Food and Agriculture Organisation

  of the United Nations (FAO).)

に、発生時の疫学調査のひとつとして、EDRという指標が出ているのでグラフを作ってみた。

(原文)

Estimated dissemination rate (EDR)

 ■ Cases this week divided by cases last week

 ■ >1, epidemic expanding

 ■ <1, epidemic “under control”

 ■ Crude but robust. Assumes last week’s cases are the source of this week’s

   but not that any one IP is the cause of any other

 ■ Good measure of how well you are doing

 ■ Easy to calculate

 ■ Similar to R

 ■ Case ratio (cases today/cases yesterday) indicates the course of the epidemic

推定拡散比(EDR)

 ■ 今週の発症例数を、先週の発症例数で割った値。

 ■ >1なら、口蹄疫は拡大中。

 ■ <1なら、口蹄疫は「コントロール下にある」。

 ■ 荒っぽいがはっきりした値。先週の発症例が、今週の発症の感染源だと仮定しているが、

   どの感染農場もがほかの感染の原因になっていると仮定しているわけではない。

  (注:IP : The premises where the disease is confirmed is now known as Infected Premises (IP).)

 ■ どのくらいうまく対処できているかを示す良い指標。

 ■ 簡単に計算できる。

 ■ 再生産率(R)に近い。

 ■ 症例比(今日の発症例数/昨日の発症例数)は感染流行の成り行きを示している。

Fig.7-1  EDR

Edr

5月の初め頃は、EDRは恐ろしいほど跳ね上がっている。

これで見ると、5/24には、EDR<1となっているが、コントロールが出来ていた筈はないので、

おそらくこれは、今回の畜産農場の密度分布によるものだろう。(ワクチンが効き出すのは、6月初旬から)

今回は、最初に川南町の、畜産農家の密度が高いところで急速に拡大した。

5/20頃には、川南町の大部分が感染して、川南町での感染速度も低下したと思われる。

この時期、周辺の(川南町よりは)畜産農家の密度が低いところへ拡散が始まったが、

「周辺→周辺」の感染速度は川南町ほど速くはならないため、一時的に拡散速度が低下したのだと思われる。

(この時期の状況については、次回に書くつもり。)

ところで、EDRを出すためには、最初の発症日を推定する必要があるが、

このマニュアルには、引き続き次のように書かれている。

(原文)

Age of oldest lesion (First lesion date to report date) is the first thing you need to find:

 ■ gives best estimate of the date of infection and is the most important parameter to measure

 ■ this indicates how quickly disease is being found.

If it's averaging 7 days with 7 days old lesions: the virus has gone. If you get it down to 2-3 days, you are doing alright.

REMEMBER to check all groups of animals thoroughly to find this.

(訳)

最も古い病変の経過日数(最初に病変が出た日から、通報日までの日数)を、

最初に見つけ出す必要がある。

 ■ 感染日について最良の推定を出すことが出来る。測定すべき最重要の数値。

 ■ どれだけ早く病気が発見できたかを示している。

7日経過した病変がある場合、平均で7日を経過しているとすれば、ウイルスはすでに消えている。

2~3日かけてこの調査を行えば、間違いなく行えるだろう。

これを発見するためには、全ての家畜群を徹底的にチェックすることを忘れてはならない

ここに来て、疫学調査についての不満がいろいろと出ているが、最初にこうした調査をしなければ、

今から真実を知ることは出来ないだろう。残念ながら、これが日本の「国際標準の対応」だったのだ。

8.種牛の移動

これも大きな問題だが、口蹄疫のデータとはあまり関連がないので、ここでは簡単に経緯だけ書いておく。

種牛移動作戦が始まったのがいつかは分からないが、

 5/8に、小沢幹事長が宮崎を訪れた時

 5/10に、赤松農水相が宮崎入りした時

のいずれでも、種牛の移動について要望を行っている。

実際の移動は、5/13(木)。

5/14(金)に、家畜改良事業団で感染疑いの報告。(5/15にPCR+確認)

「奇跡の避難」などと揶揄する報道記事もあったが、まぁ…言わないでおこう。

ところで、あまり知られてはいないが、特例になったのは、種牛だけではなく、凍結精液についてもである

原田英男さんの、5/16のツイート

現在特例協議中。私見として4月20以前の物は特例対象と理解。早まったツイートをおわびします。

同じく、5/22のツイート

特認協議が終わり利用可能とのこと。RT @yukihh4725 @hideoharada 事業団の在庫精液の扱いはどうなりますか?



(参考)「種牛の避難ルートに消毒ポイントはなかった」(現役養豚家の考え)

(参考)「種牛と独禁法」(同)

(参考)「宮崎県にはあきれてものが言えない」(同)

(参考)「種牛移動特例と知事の言動への疑問」(同)

9.ハエの大発生

4/20に川南町および周辺一帯が移動制限区域になり、農場からの糞尿の移動もできなくなったが、

それから20日以上が経過し、糞尿の滞積に伴い、ハエの大発生が報告されている。

(参考)「ハエ退治要望

(参考)「ハエの異常発生?

(参考) 牛がいなくなって人にたかるサシバエ

(ハエによる感染媒介の可能性については、次回に書く予定。)

ハエの防除についてはこちら

10.いわゆる報道規制について

全国紙や、全国ネットワークのTV局が、この頃まで報道を控えていたのは間違いない。

おそらくは、「農水省の要望を受けた自主規制」ということだったと想像している。

発生当初は、妥当だったのかもしれないが、感染が急増しても報道しなかったのは、

明らかにマスメディアの失態だと思う。

これについては、マスメディアが、自ら検証して反省するべきことだろう。

有名な噂として、

■「原口総務相のツイッター」を、マスメディアに報道規制を行った証拠とする噂があった。

もちろん「規制」は本人によって否定されている。

しかし、権力者の「お願い」は「規制」に限りなく近いかもしれない。

(参考)口蹄疫・報道規制疑惑

お知らせ>本日の図表は、pdfを含め、無断転載を許可します。

      但し、 1.引用元の表記をお願いします。 2.無断での改変は厳禁です。(サイズの変更はokです。)

お知らせ>宮崎産の豚肉・牛肉・乳製品は安全です。

データは、農水省、宮崎県、OIEの公表データをもとに、個人的に集計したものです。

誤り、疑問点などありましたら、コメントをよろしくお願いします。

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私がコンタンです。残暑お見舞い申し上げます。(この写真は転載禁止です。)

このブログは、当家の下僕が執筆しています。 リンクフリーです。

Hi, my name is Kontan. My servant writes this blog. This blog is link-free.

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コメント

東国原知事のツイートより
(8/11)
「水牛農家さんとの意見交換を終え、これから県庁に戻る。水牛農家さんには、大変参考になる話を伺った。
 同時に、やはり、感染源・感染ルートの解明の難しさも痛感した。
 しかし、今回、感染源・感染ルートの解明についても全力で取り組まなければならない。」
(8/7)
「昨夜、新たに擬似患畜が確認された夢を見た。悪夢にうなされた。いかん、いかん」


 知事的には感染源・感染ルートを特に重視しておられるようですが、その熱意が初期に発生動向調査に向けられていたら・・・と悔やまれるところでもあります。また同様に血清学的発生動向調査が行われていない現状にも目を向けていただければとおもうわけですが・・・。
血清学的発生動向調査に関しては、過去BSEの際に他国に全頭検査を要求した流れもあり、早期に実施しておくべきだと思います。清浄性の根拠としても交渉で他国に難癖つけられないためにも早期に実施すべきじゃないかなと思うわけですけど。全く必要無いのか実施できない理由でもあるのか、どうも納得しづらい状況です。国として今後、清浄国復帰に向けてどういう戦略を立てているのかが非常に気がかりです。

知事ブログから気なる点を発見
『指摘④・・・・・従来の症例判断基準等の見直し。必ずしも口蹄疫を疑うものだけでなく、口蹄疫で無いことの安心を得る手段としての症例判断基準と検体送付基準が検討されるべきである。』
 このあたりの規則がもう少し詳しく書いてあれば助かるのですが、防疫指針では口蹄疫を否定できない場合は、動衛研に検体を送付することになっているはずで、そのことから16日に検体を送付しなかった県に問題があるんじゃないか?とも思っているわけですが。いろいろ送付前に基準があると話が変わってしまいます。また、口蹄疫の疑いが無い場合、口蹄疫でないことの安心を得るための検査という表現から今回の騒動の傷口の深さが見えるような気もします。
 ともあれ”検体送付基準”これがどのような基準、数値・症状?になっているのかが非常に気になるわけです。1例目、10年前ともに一頭の段階では経過観察としてることからも何らかの基準があるのかもしれないと思いますし、あるとすれば主観的なものではなく客観的なものが存在すると思います。

手持ちの情報からは確認できなかったのですが、過程で初期の軽度の症状しか示さない症例に言及したものがありました。参考までに(検査法: 蹄の病変: 等長くなるので割愛。リンク先参照でお願いします。)

口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針に基づく発生予防及びまん延防止措置の実施にあたっての留意事項
(平成16年12月1日付け16消安第6315号農林水産省消費・安全局長通知)
最新改正:平成17年9月29日付け17消安第6261号 農林水産省消費・安全局長通知
http://www.sat.affrc.go.jp/joseki/Houki/KADENHO/FMD_RyuiJikou_frame.htm

『口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針に基づく発生予防及びまん延防止措置の実施にあたっての留意事項』
『13 家畜の検査と主な病変』
『以下、典型的な口蹄疫の症状に対応した検査と主な病変を示すが、ウイルス株のタイプによっては、鼻・口部のびらん、潰瘍等軽度の症状しか示さないことがあることにも留意し、症状の経過、群内での広がり、疫学調査結果等を踏まえ判断する必要がある。また、その判断に際しては.現地の臨床疫学的情報を十分に収集した上で動物衛生課及び動物衛生研究所と協議する。必要に応じてデジタルカメラ等を用いた通信画像も協議に活用する。』
『口腔の病変:
水疱は発病後6~8時間以内に現われ、通常24時間以内に破裂するので、破裂する以前の初期病変を見出すことは容易ではない。30時間までは、上皮には灰白色の斑点があり、この上皮はたやすくはがれ、らん斑となる。病変の回復は非常に早い。』

更に細かい話は病性鑑定指針になるのでしょうが、読むのが辛らそうです。http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/eisei/byouseikantei/


名無し さま。
症例判断ですが、ウイルスも獣医学もつねに進化するので、国のマニュアルで判定するのではなく、
つねに最新の知見を参照しつつ判断する、ということでしかないのでは?
(ちなみに「病勢鑑定指針」においては、口蹄疫は動衛研が抗体検査、PCR、ウイルス分離、
 競合ELISA、中和試験によって行うので、詳細は書かれていません。)

きのう(8/11)、及びその前(8/9)の東国原知事ブログの、内容はともかく、書き方にはたいへん違和感を感じます。
感染が拡大してからは、県だけでは対応できなくなったのでしかたないですが、
発生初期の段階では、まず宮崎県が、いろいろな調査を行う義務があったはずです。

ロクに調査しなかったことについて、まずは、知事として謝罪するべきではないでしょうか。
その上で、今からできる調査を最大限行う、と、なぜ言えないのか。

警察のような強制力がないから調査できない、というのは言い訳にしか聞こえません。
県の権限は、かなり大きいはずです。農場が、簡単に調査を拒めるものではないでしょう。
行政職員にだまされていませんか?知事殿。

6例目水牛農場のHPより引用
「当牧場に知事と一緒に来た複数の課長クラスの方々と接して
 私はもう【あきらめました】としか言いようが無いです」


知事のツイートで、
水牛農家さんの事を言う前に、
全頭検査の事をつぶやいていますよね。
そこで、血液抗体検査の話も・・・
なぜ、今回は抗体検査していないかを意味深につぶやいていると
感じたのは、私の深読みでしょうか?


一宮崎人 さま。
意味深…でしょうか?? 私にはよくわかりません。
知事の言葉に限らず、農水省のやりかたも、県のやりかたも、なにもかもよくわかりません…。


農水のつぶやきと知事のつぶやきやブログは途切れ途切れでしかフォローしていないので、よくわかりませんが、後者で不思議でならないこととして、県の関係職員や秘書とかがネット情報の収集と分析を彼のためにやっているようでやっていないような、チグハグな印象です。例えば、ここでコンタンさんが丁寧に分かりやすくデータを公開していますが、対策本部で利用・参照されているのでしょうか。

国でも県でも同じで、役人という種族には科学的合理性という概念よりも上位に法的整合性、つまり規則が最優先となる行動規範があるので、一般人によくわからない理解できない不思議なことがまかり通ると思います。組織防衛という、もう一つの縛りが情報の隠蔽や操作をやってくれる裏側にあるのでしょう。これを読み取ることはよほどの事情通でないと無理でしょうね。


コンタン様
県が全頭目視検査を始める時に、他県からの購買者等に対して安全性をアピールするために
行うと言う趣旨の発表を知事本人がしたと記憶しています。
その後、目視検査の不十分さ、あいまいさを多方面から指摘?非難されたのかどうか知りませんが
終了と同時に、抗体検査を何故しなかったかを、つぶやくのは、明らかに予防線を張っているのでは
ないでしょうか?
宮崎県は抗体検査したかったが、国がNGだったと。
あって欲しくないことですが、今後、また口蹄疫発生となった時、あの時、抗体検査をしていたらと言う
非難の矛先を国に向けるための。
そう考えてしまった私は、やはり妄想族ですね。(汗)

beachmollusc 様
>役人という種族には科学的合理性という概念よりも上位に法的整合性、つまり規則が最優先となる行動規範があるので、一般人によくわからない理解できない不思議なことがまかり通ると思います。組織防衛という、もう一つの縛りが情報の隠蔽や操作をやってくれる裏側にあるのでしょう。これを読み取ることはよほどの事情通でないと無理でしょうね。

まさしく、その通りですね。
初期に県が国がとやり合っていた時、県は家伝法に則って行動しているのに、何故、非難されるのか?、その思いだけだったのではないでしょうか?乱暴な言い方ですが、科学的合理性は、後付け出来ると思っているかもしれません。



>最新の知見を参照しつつ判断する、ということでしかないのでは
もっともだとは思うのですが、”従来の症例判断基準等の見直し。”とあるため、現在の基準は如何様なものなのだろうか?という点が気にかかる次第であります。

 血液抗体検査の件は農水省にメールを打ってみました。返信はないでしょうが、検査を行わない事を疑問に思ってる人はそれなりにいるとおもうので、問い合わせ数が多くなれば何らかの反応があるのかもしれませんし、念のため。この問題は国が検査は必要性だと認識しているとしたら、国から県に”ヤレ”と要求が出るような気がしますので、国は必要ないとの認識のような気もします。また、「国の金で検査してくれ」「県の仕事だ」「じゃあ目視で」と妙な掛け合いが頭を流れたりも・・・。なんにしても、今後の清浄国申請や外交は国の仕事なのでしっかりとやってほしいものです。

それにしても、必要ないなら必要ないで理由の説明くらい受けている、コストがかかるからという理由で拒否というのは考えにくいのですが。事実なら事実でかなり大きな問題なんじゃないかと。

岡本先生のサイトには下記のような記述もあり少し期待。大丈夫ですよね?農水省
http://vetweb.agri.kagoshima-u.ac.jp/Vetpub/Dr_Okamoto/Animal%20Health/Recovery%20of%20free%20status.htm
すなわち、ワクチン接種地帯については感染が起きていた可能性があり、しかも、ワクチンの効果によって症状が抑えられ発症を確認できなかった可能性がある。したがって、ワクチン接種地帯の外周についての清浄化検査が不可欠であると考えざるを得ない。このことは農水省が熟知しているところであり、「口蹄疫清浄化への道程」で触れたように、大臣は排泄物等の処理も残されており、未だ発生が続く可能性を指摘している。これらのことを考えると、農水省は清浄化検査の段階に至っていないと判断しているものと思われる。


10年前、宮崎では全頭抗体検査が行われました。
しかし、その検査結果については、結局何の公式なコメントは出ませんでした。
ただ清浄性が確認されたと・・
あの当時を知る人は、今回、抗体検査が成されない訳を良く知っているはずです。


ここを読んでいる方が、抗体検査のことを安易に考えているといけませんので、念のため書きます。
2000年の発生の報告書は、動衛研のサイトで読むことができます。

このとき、抗体検査は6万検体!を行っています。
検体を採取して、輸送して、ELISA法で検査するのに、1検体あたり幾らかかるか、よくわかりませんが、
仮に20,000円/検体、とすれば、12億円の税金が使われたことになります。

むろん、ワクチン外周部3kmなど、必要な抗体検査は行うべきだと思いますが、無闇にやるのは
税金の無駄遣いでしょう。

今回の、「全頭目視検査」(牛7,608戸、豚468戸:豚については、一部目視検査、もしくは電話での聞き取り調査)を行うのに
どれほどコストがかかったかわかりませんが、コストに見合う効果があったかどうかは??です。

東国原知事の発言も対応も、何となく的はずれなコトが散見されると、ずっと思っていました。
スタッフに恵まれていないのかもしれませんね。


「堆肥の温度が60度に達した農家は、(新富町の殺処分農家)全体の9%」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/area/miyazaki/news/20100813ddlk45040582000c.html


仮に20,000円/検体、とすれば、12億円の税金が使われたことになります。>>>もし、2万円なら、検査料としては、非常に安い方と思います。

むろん、ワクチン外周部3kmなど、必要な抗体検査は行うべきだと思いますが、無闇にやるのは税金の無駄遣いでしょう。>>>>そのとおりですが、ひとつの考えとして、検体は、ある程度、採取する。実際、第1次検査としては、地図上の必要なポイントを検査する。その結果、異常が見られたポイントの周辺検体を検査するなど、検査料は、少なく、検査結果は、適正に得られる方法は、考えられるはず。採取したら、すべての検査を全検体しないといけないと言うルールなのでしょうか?

1000億以上の損失が、12億の検査料で、止まるまら、12億は、惜しくないでしょう。今度、再発したら、とても、12億の損害では、済まないことは、国も県も解っているはず。

初動の段階で、もっと検体を採取して、検査していれば、判断ミスが、減ったと思うのですが。。
いくら検査能力があっても、採取すべき検体が無ければ、科学的考察は、不可能ですので。。

スタッフに恵まれていないのかもしれませんね。>>>
畜産県なのに、能力のある行政職員が、特に、知事周辺には、みえないような感じは、県に電話をした感触では、想像してしまいますね。


さとう誠のブログ より。 http://blog.goo.ne.jp/satomakoto_blog/e/9d99e736a3f14d9581ae33ff5bb2fcff

「今日の午後1時から2時間。口蹄疫についての激論があった。
 その中で、自分が知らないことがあった。

 家畜の補償費の支給が国からされるのだが、法人であれば、その50%が課税対象になるとのことだ。
 まだ、決定でないが、「一時所得」になるのだろうか。

 余りにも、心がなさずぎる、対処の仕方ではないか。
 これでは、再建するにも、途中で農家が息切れしてしまう。」


意味不明だけど、気になるけどつぶやき。(噂話なので、場合によっては消去します。)

■たろう (taro_zzz) さん。http://twitter.com/taro_zzz

(8/11)
「12日に穴掘り始めていたという、新事実。なんだかなぁ〜」

(8/11)
「そっちじゃなくRT @JIGEN_DAISUKE_ @taro_zzz それってまさかA?」

■某氏(公務員獣医師)のツイート

(6/26)
「殺処分2日目の代筆。・500頭の肥育農家へ。NOSAIの人たちが凄過ぎて惚れそう(自分が女なら)。
 彼らが通った後には牛がバタバタと…。 ・二十数名の獣医は、黒い事実を知って「某機関はクソだ!」
 ・パコマで皮膚炎痛ーい。  今日はタグつけられない。やばい話の一端掴んじゃった。」

(6/26)
「最後に消毒されるべきは、事実を知ってしまった獣医師の記憶かも。所長と知事のクビが飛ぶ。
 話はすぐに全国に広まるだろうけど、"身内"を守りたがるのもまた獣医師。
 私にはほとぼりが冷めた頃教えるって言ったけど、その前に副主幹と課長が教えてくれそう。」

(6/28)
「殺処分4日目、宮崎のNOSAIの方のお話;自分たちは発生当初から協力を申し出ていたのに、家保は断ってきた。
 要請が来たのはGW明けで、それまで自分の地域の家畜たちが発症していくのを見ているしかできなかった、って。
 10年前の北海道ではすぐに要請がきたそうな。 #kouteieki」


ツイートの12日とは、5月12日の事ではないのかな?
それなら、確実に所長と知事の首は飛びますね。ま、噂か。
ただ、獣医師が身内を守ると言うのは、どうだろ。組織が組織を守るなら判るけど


今朝(8/18)の朝日新聞(東京版)は、23面の2/3ほどを使って口蹄疫の特集記事。

車両の消毒が不十分だった記述に続いて、
「発生は国道10号にほぼ沿うようにして南に広がっていった。」

朝日新聞!おまえもか。 農水省記者クラブの情報統制はたいしたものだ。
農水省の検証委員会は、「県の消毒体制が不十分→感染の地域的拡大」という結論になるのか?


8/20 毎日新聞 http://mainichi.jp/select/science/news/20100820k0000m040122000c.html

政府の総合科学技術会議は19日、口蹄疫(こうていえき)の防疫体制を構築するための緊急研究に乗り出すことを決めた。
早期発見体制の強化と野生動物への拡大防止、効果的な消毒方法の3課題について、農林水産、文部科学、環境の3省で
具体策をまとめる。緊急課題に対応する今年度の科学技術振興調整費約5000万円を充てる方針。
(中略)
研究対象は、典型的な症状とされる水疱(すいほう)が見られない家畜の感染を簡単に調べる検査キットの開発や
既存の海外製キットの検証など。

農林水産技術会議HP
「平成22年度科学技術振興調整費による口蹄疫対策に資する緊急研究について」
http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/100820.htm


検査は、県の家衛研でやればよい、狂犬病であるまいし。 この話誰も言いませんね。 人用は衛生研が第一を検査をやってます。 

 
kandy7175 さん(川南町/養豚/5/6感染確認/5/13-14殺処分)のツイートより引用。

(5/10 9:08) @taro_zzz おはようございます。登録しました。口蹄疫発生現場の生の声を届けたいとおもいます。
      2台目のユンボが到着し、穴掘り作業の開始。隣は雨の中、殺処分作業するのだろうか・・・

(5/10 9:24) @higashitiji お疲れ様です。口蹄疫発生農家です。殺処分、埋却作業が進まず、発生から5日が経ち、
      症状が見られる豚が1頭から7頭に増えました。もう抑え切れません。

(5/10 12:12) KYFの殺処分は順調?に進んでいるようだ。今日はスペシャリストが来たみたい。
      別隣の牛もブルーシートで目隠しされ、大量の石灰が運ばれてきた。

(5/10 12:54) 午前中、県の対策本部に殺処分の事前打ち合わせを願い出たが、担当がまだ決まってないと言われた。

(5/10 21:06) 現場では雨のため作業はかなり難航。資材の供給が追いつていない。手配する側の不備もあると思うが・・・
      とにかく一日でも早く処分しなければ。

(5/10 21:36) ウチの農場は確保しましたが試掘して水が湧き出たら違う場所を探さなければならない。
      豚の場合1反1000頭が目安。

(5/11 8:05) 埋却地までの搬入経路が昨日からの雨でぬかるんだ状態。今日も作業は難航しそう。

(5/11 8:11) 隣接農場の殺処分が終わり次第、ウチの農場が始まる。あと3、4日はかかりそう。
      日に日に増加する感染豚をただ見つめるだけしかできない。

(5/11 13:05) 昨日10頭未満だった感染症状豚も今朝には30頭近くに増えている。
      凄まじい感染力に口蹄疫の恐ろしさを目の当たりにしている。

(5/11 13:10) 隣接現場の作業員が動き出した。彼らは各団体職員だ。初めて豚を見る人もいるだろう。

(5/11 13:12) 初めて見る豚の生死に立ち会う。彼らのメンタル面が気にかかる。豚を嫌いにならなければいいけど・・・

(5/12 9:55) 感染豚が増えるのを横目に、ただ、ただ作業開始を待つのみ。週末にはまた雨の予報。
      それまでには終わらせて欲しい。

(5/12 11:06) 最後まで頑張っていた酪農農家もついに力尽きてしまった。これでこの地区は全滅だ。

(5/12 12:47) 農協から差し入れが届いた。こんな心遣いが嬉しい。

(5/12 12:53) 分娩舎の哺乳子豚が死んでゆく・・・評価の対象になるらしく、その場で石灰をかけ殺処分の日を待つ。

(5/12 12:59) 県の対策室に電話をした。後ろから笑い声が聞こえた。折り返しの電話がかかってこない。

(5/12 20:48) 一歩前進。ようやく先遣隊と呼ばれる人達が来て事前打ち合わせができた。
      しかし、明日から作業するとは言ってくれなかった。

(5/13 9:56) 埋設班が到着。午後から殺処分班が来る予定。いよいよ始まる。
      あるだけの餌を食べさせてあげよう。今はそれだけしかできない。

(5/13 11:22) 毎朝餌やり前から近所迷惑になるぐらい鳴いていた母豚達も、ここ一週間で鳴き声が小さくなった。
      餌を食べようにも立ち上がれない。

(5/13 11:33) 報道機関の数社から取材を受けた。今の心境を聞かれたが、失望、絶望、不安・・・
      それら全て合わせた言葉が見つからず、わかりませんと答えた。

(5/13 15:46) 獣医が10人到着。彼らは親豚専門の殺処分班だ。ついに始まる。

(5/14 0:05) 殺処分初日が終了。発生当初から父と二人「最後は自分達で見届けてあげよう」と話していた。
      母豚37頭がいなくなった。

(5/14 6:48) 殺処分二日目。今朝も母が糞出しをしている。三十年間、毎朝続けてきた。
      昨晩は一睡もできなかったらしい。

(5/14 20:10) 殺処分終了。もう暗くて見えないが、豚舎の中はからっぽだ。何でこんなことになったんやろう?

(5/15 6:53) 分かってるつもりだが、いつもの時間に起きて、いつもの様に作業着に着替えた。
      豚の代わりに大量の石灰が目の前にある。

(5/15 13:04) 誰が悪いわけではない。現場に来る人達は一生懸命やってくれる。
      しかし、つい行き場のないこの気持ちを現場の責任者にぶつけてしまう。

(5/15 18:26) 全工程終了。農場内は石灰で真っ白だ。発生確認から10日経った。
      10日間豚達を苦しませた挙げ句処分した。これが口蹄疫だ。

(5/16 11:27) 最後の砦、ここだけには感染して欲しくなかった仲間の農場も今朝、症状が確認されたみたいだ。
      止まらない。

(5/16 11:36) 防疫一般従事者の申し込み手続きをした。苦しんでいる仲間達を助けたい。
      そして一日でも早く終息させなければ・・・

(5/18 6:12) 政府、報道機関がようやく重い腰を上げだした。いまさら・・・この一ヶ月の間、牛や豚を5万頭近く
      処分しなければ動いてくれないのだろうか?まだまだ感染拡大は止まらない。

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