経済・政治・国際

2017年12月11日 (月)

データで見る1Fの汚染水対策(2017年12月)

Namie

 

写真: 請戸漁港の展望タワー(2017/12/3 撮影)

 

(図はクリックで拡大します。)

 

*

 

■ 商用目的・商用サイトを除き、図表の無断引用・転載はご自由にどうぞ。

 

  (但し出典を明記のこと。なお説明の追記など以外の無断改変は厳禁です。)

 

*

 

これは、2017/12/3 に郡山市で行われた「第8回放射線計測勉強会」でお話しした内容に、

 

当日の質疑を踏まえて若干改稿、追記したものです。 内容としては

 

1F汚染水対策の現状と展望について、コンパクト、かつ実証的に解説できるように考えたつもり

 

ですが、ご意見・ご質問などありましたら、コメント欄もしくは twitter: @Kontan_Bigcat まで

 

頂戴できればと思います。

 

*

 

当日はサブタイトルとして

 

 「凍土遮水壁はうまくいっていないけど、1Fの汚染水対策は順調に進むようになった。

 

  そこにはどういう事情があるのか?

 

としていましたが、「凍土遮水壁はうまくいっていない」の部分にやや誤解があったようなので追記すると、

 

凍土遮水壁がほぼ計画通りに凍結し、壁自体に十分な遮水性があるのは間違いないでしょう。

 

しかし、依然として壁の内側には、以前より何割か減った程度の大量の地下水が流入しており、

 

地中の深い所(凍土壁の深さ30m以深)からの流入や、地表近くのごく浅い所(舗装の砕石路盤など)

 

からの流入などがあるのではないかと推定されています。

 

しかし、今のところはっきりした経路はわかっていません。

 

*

 

00.Danraku_bar_2

 

    目次

 

   01.ALPS処理済み水の放出はオリンピック以降?

 

   02.保有水の増加量は大きく減少

 

   03.廃炉が終わるまで汚染水対策は続く

 

   04.汚染水の増加量はどのようにして減ったのか ~ 地下水ドレンの汚染状況

 

   05.海への汚染水流出は現状では少ない

 

   06.地下水バイパスは失敗だった

 

   07.ALPSの安定稼働までには1年以上かかった

 

   08.遮水壁は期待したほど効果が出なかった

 

   09.サブドレンの汚染上昇

 

   10.まとめ1 汚染水対策は順調だが…

 

   11.まとめ2 いくつかの構造的な問題

 

   12.補足

 

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01.Danraku_bar_2

 

    ALPS処理済み水の放出はオリンピック以降?

 

*

 

01-1.ALPS処理済み水の海洋放出が、いつから、どのような方法で行われるかについては、目下

 

   「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」の結論待ちです。

 

   しかし今のところあまり議論が深まっておらず、答申がいつまとまるのかは不明です。

 

   (直近の委員会は、2017/10/23 に開催。)

 

*

 

01-2.少なくとも2020年末までは(保守的な想定のケースでも)タンクに水を貯留しておく

 

   ことができます。(今のところ、総計 137万m3 のタンク(更新含む)が計画ずみです。)

 

   東京オリンピック・パラリンピックの後に放流開始、あたりが有力な線でしょうか?

 

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   ★資料01-1: 1F保有水の総量(タンク+建屋)

 

   Sousuiryou

 

 

 

   2016年の秋以降、水の増加ペースが大きく減少しました。

 

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   ★資料01-2: タンク保有水のシミュレーション/東電

 

   011__

 

   (東電は、上の保守的な評価のケースのほかに、水の増加量が順調に減った場合の

 

    シミュレーションも公表しており、そちらのケースでは「Sr処理水」の処理も完了します。)

 

*

 

   2016年の夏までは、タンク容量はずっと逼迫しており、ALPS処理水の海洋放出を

 

   急がないとやばい、という空気があったのですが、現在は少し余裕があるため、

 

   「一刻も早く海洋放出を」という緊張感はなくなりました。

 

   (ちなみに、ALPS処理水を保有し続ける場合の影響については、2016/7/16に東電が

 

    「ALPS処理水をタンクに貯留し続けた場合に廃炉作業に与える影響について

 

    という資料にまとめています。)

 

*

 

01-3中長期ロードマップ改訂版(2017/9/26  改訂)の中で、

 

   地元の同意なしに放出することはない、という文言が明記されました。

 

*

 

    「液体廃棄物については、地元関係者の御理解を得ながら対策を実施することとし、

 

     海洋への安易な放出は行わない。海洋への放出は、関係省庁の了解なくしては行わないものとする。

 

*

 

   というのがその内容です。もちろん、これ以前から、

 

   「漁業者、国民の理解を得られない汚染水の海洋放出は絶対に行わない」

 

   というふうに東電は明記していましたが、今回は(東電だけではなく)国の計画として明記されました。

 

*

 

   国が自ら縛りを厳しくしたばかりであり、早急な海洋放出はないと思われます。

 

   H-3の海洋放出を支持する論客もたくさんいますが、「オリンピックへの風評被害」を

 

   一番懸念しているのは、実は、政府/与党なのではないだろうか? と感じます。

 

*

 

02.Danraku_bar_2

 

    保有水の増加量は大きく減少

 

*

 

02-1.1Fの総水量の増加ペースは、500m3/日 から 200m3/日 へと大きく減少しました。

 

   2012年頃は 400m3/日のペースで増加していた1F構内の保有水(タンク+建屋の合計)は、

 

   2014年頃からは 500m3/日のペースで増加していました。

 

   しかし2016年の秋以降は、200m3/日のペースとなっています。

 

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   ★資料02-1: 保有水増加量と降水量 (前4週平均、1日当たり)

 

   021__4_fig05

 

   2016年の秋以降は、200m3/日のペース!

 

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   ★資料02-2: 保有水増加量と降水量 (前1年合計)

 

   022__52_fig06

 

   2012年~2013年にかけては、降水量が少なかったことも幸いしたことがわかります。

 

*

 

02-2.タンクの建設は、現在、500m3/日のペースで行われているため、

 

   事故以来初めて、安定的にタンク容量に余力のある状況となりました。

 

*

 

02-3.タンクの余力を使って、建屋の滞留水を計画的に減らしてゆける状況となりました。

 

   これこそ、汚染水対策関係者にとって「待ちに待った」状況! なのです。

 

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   ★資料02-3: 1~4号機タービン建屋水位

 

   023_tb_fig09

 

   (注: 水位計の校正により、変動が大きかった週もあります。)

 

   現在、東電の公表資料はOP→TP基準へ書き換えられています。

 

   OPをTPに換算する場合、1T/Bでは、OP-1.457mがTPの値。以下同様に

 

   2T/Bで、1.452m、3T/Bで 1.437m、4T/Bで 1.439m となっていますが、

 

   おおまかな概算としては「OP-1.5m」がTP値と覚えておけば良いでしょう。

 

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   ★資料02-4: サブドレン設定水位(L値)/東電

 

   024_

 

   注: L値とは、ポンプの起動水位のこと。(H値が、ポンプの停止水位)

 

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   建屋の水位低下にあわせて、サブドレン水位を低下させていまが、最初に大きく低下

 

   したあと、2016年の秋までは、低下できない状況が続いていました。これは、建屋の

 

   水位が下がらなかった(建屋の水抜きが進まなかった)ためです。

 

*

 

   注: サブドレン水位は、建屋からの汚染水流出を抑えるため、

 

   L値を、建屋水位+800 (+建屋滞留水の塩分濃度補正値) 以上

 

   に保つように管理されています。

 

*

 

02-4.建屋の滞留水を段階的に抜いてゆき、タービン建屋の水抜きを完了すること

 

   こそが、当初からの目標。(今の計画では、2020年に達成。)

 

*

 

   ★資料02-5: タービン建屋の水抜き計画/東電

 

   025_

 

   上のグラフが、タービン建屋水位(2020年に水抜き完了の計画)

 

   下のグラフは、建屋滞留水に含まれる放射性物質の総量。

 

   建屋の水抜きに先行して、滞留水中の放射性物質の量が大きく減るのは、

 

   間もなく「建屋滞留水浄化設備」が稼働するためです。

 

   (予定では、3・4号機が2017年12月、1・2号機が2018年3月から稼働予定)

 

*

 

   「建屋滞留水浄化設備」は、サリーの余力を使って、建屋の滞留水を浄化して

 

   建屋に戻す設備です。(建設中の増設サリー(第3セシウム吸着装置)が稼働すれば、

 

   それも利用する予定となっています。)

 

*

 

02-5.流入する地下水の多くが、タービン建屋の貫通孔の周囲から流入していると

 

   推定されています。

 

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   ★資料02-6: 建屋貫通部の分布/東電

 

   026_

 

   2017年11月現在のタービン建屋水位は、OP+2.3m(TP+0.8m)程度。

 

   それを、タービン建屋床のOP-0.3m(TP-1.8m)まで水抜きする計画。

 

   (現在のサブドレン設定水位(L値、2017/11/30~) は、OP+3.1m(TP+1.6m))

 

*

 

   タービン建屋の水抜きを完了した後に、地下水の水位をタービン建屋の床

 

   レベル(以下)まで下げることができれば、汚染水の増加量は激減すると

 

   期待されています。(汚染水対策の当面のメルクマール。)

 

*

 

03.Danraku_bar_2

 

    廃炉が終わるまで汚染水対策は続く

 

*

 

03-1.燃料デブリの冷却は、デブリの取り出しが終わるまで続きます。

 

   (水による循環冷却が続けられるため。)

 

*

 

   注:東電は、燃料デブリに「万遍なく空気を吹き付ける」ことが可能なら、

 

     計算上は、最速で2018年頃から空冷に移行できるとしています。

 

     (しかし、今のところ実現は困難です。)

 

*

 

03-2.炉心の水冷を続ける場合、放射性物質の溶出は一定のペースで続きそうです。

 

   (燃料デブリの詳しい物性がわかっていないため、あくまでも状況からの推定です。)

 

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   ★資料03-1: 燃料デブリからのCs-137、H-3の溶出/原子力学会

 

   031_130821_

 

   2013年の資料: 建屋滞留水のCs-137、H-3濃度がほぼ一定になっている状況を報告

 

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   ★資料03-2: プロセス主建屋滞留水中のCs-137濃度

 

   032_171030_

 

   2017年初から、建屋滞留水のCs-137濃度が約1桁上昇。当初この現象は、復水器の汚染水

 

   (事故直後に貯留されたもので、現在の建屋の滞留水より1~2桁高い濃度)を移送した

 

   影響だと考えられていましたが、その後も上昇が続いているため、「滞留水のよどみの影響」

 

   「原子炉建屋から移送を始めた影響」などではないかと推測されています。しかし、

 

   2017年11月の時点では、原因ははっきりしていません。

 

*

 

   2016/7/19特定原子力施設監視・評価検討会で、規制委員会の更田氏から、

 

   建屋滞留水を「2回浄化処理する」ことが提案されました。このアイデアに対して、

 

   2016/8/18監視・評価検討会で東電は

 

   「全ての水を移送して1回浄化しても、300日後にはもとの濃度になる

 

   という検討結果(P.12)を報告しています。

 

   (その後、「建屋滞留水浄化設備」で、持続的に浄化処理を行う計画になりました。)

 

*

 

   また、上記資料の P.11では、滞留水の Sr-90濃度についても、PCV(原子炉格納容器)

 

   からの供給が続いていると推定しています。

 

*

 

   ★資料03-3: 2・3号滞留水のCs-137とSr-90濃度/東電

 

   Sr90

 

*

 

03-3.原子炉建屋に流入する地下水も、いつまでも止められません。

 

   量は不明ですが、基礎マットの「打ち継ぎ部」から、地下水の流入があるだろうと推定

 

   されています。

 

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   ★資料03-4:基礎マットからの流入/東電

 

   033_130426_

 

   注: 打ち継ぎ部とは、コンクリートの打設が1日で終わらないために出来た、コンクリートの

 

   不連続部分です。(ダムなどの構造物では、打ち継ぎ部が不連続にならないよう、

 

   入念に処理が行われますが、1Fの場合、地下水を汲み上げて水位を低く管理する

 

   前提だったため、そのような処理は行われていないようです。)

 

*

 

03-4.今後、より汚染の高い場所での作業が増えると、

 

   作業に用いた水が汚染水となって発生しますが、その量も増加するでしょう。

 

   (建屋や機材の除染/洗浄に使った水が汚染水となります。)

 

*

 

03-5.燃料デブリ取り出しの本命は、あくまでも「格納容器の水張り」です。

 

   しかし、PCVバウンダリ補修(トーラス部などの止水)を完璧に行うのは

 

   困難だと考えられています。

 

*

 

   水漏れを少量に抑えることなら可能ではないか、という方針で技術開発が進められて

 

   いますが、その場合、格納容器に水を張った後は、格納容器内からの汚染水発生量が

 

   増えることが懸念されています。

 

*

 

04.Danraku_bar_2

 

    汚染水の増加量はどのようにして減ったのか ~ 地下水ドレンの汚染状況

 

*

 

04-1.先述のように、2016年の秋から、1Fの保有水の増加ペースは

 

   500m3/日 → 200m3/日 へと激減しました。

 

   これはどのようにして達成されたのでしょうかか?

 

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   ★資料04-1: 汚染水対策の概要(敷地断面)/東電

 

   041__

 

*

 

   汚染水を減らすためには、いろいろな対策が取られて来ましたが、2016年秋からの

 

   減少に大きく貢献したのは、地下水ドレンから「建屋への移送」(汚染水として扱われる)

 

   、(大雨の時以外は)ほぼゼロに抑えていることです。

 

*

 

04-2.地下水ドレンの取り扱いの話をする前に、地下水ドレンの配置と、

 

   汚染状況を確認しておきましょう。

 

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   ★資料04-2: サブドレン・地下水ドレン系統図/東電

 

   091_

 

 

 

   5ヶ所の地下水ドレンは海側に配置されており、いずれも海側遮水壁が出来る前は

 

   海だった場所(新たな埋め立て地)に設けられています。(それぞれの井戸から

 

   少し離れた場所に、水位制御用の観測井戸が設けられています。)

 

*

 

04-3.1号機の海側にある地下水ドレンA・B(集水タンクA系)は、Sr-90濃度が高く、

 

   (全βが数千Bq/Lで推移していますが、地下水ドレンの場合、全β×0.5がおよそのSr-90濃度。)

 

   また、H-3濃度もだいぶ下がりましたが、現在でも1,000Bq/L以上で推移しています。

 

*

 

   ドレンポンドA・Bは、Sr-90濃度が高いため、汲み上げ量を徐々に減らし、2017年4月以降は

 

   汲み上げをほぼ停止しています。

 

   (おそらく、観測井の水位がHH(警報水位)を越えそうな時だけ、汲み上げを行っている

 

   と思われます。)

 

*

 

   ★資料04-3: 地下水ドレンポンドA、Bの放射能濃度

 

   092_ab_fig23

 

 

 

*

 

04-4.2・3号機の海側にある地下水ドレンC・D(集水タンクB系)は、ドレンポンドCのH-3濃度が

 

   10,000 Bq/L程度と高く、H-3の汚染がなるべく他の井戸に広がらないよう、

 

   ポンドCの水位を一番低めにして稼働しています。しかし、ドレンポンドDのH-3濃度

 

   も上昇してきており、今後の上昇が懸念されています。

 

*

 

   また、2017年4月に、ドレンポンドA・Bの汲み上げを停止してからは、ポンドCの

 

   Sr-90濃度は徐々に上昇し、2,000 Bq/L程度で推移しています。

 

*

 

   ★資料04-4: 地下水ドレンポンドC、Dの放射能濃度

 

   093_cd_fig24

 

 

 

*

 

04-5.4号機の海側にある地下水ドレンE(集水タンクC系)のH-3濃度は、300 Bq/L程度で

 

   安定しています。しかしこの場所でも、Sr-90濃度は 100 Bq/L以上(全βで200 Bq/L以上)

 

   あり、OP+4m盤(TP+2.5m盤)の地下水汚染が、広範囲に広がっていることがわかります。

 

*

 

   また、地下水ドレンポンドEは目詰まりが進行しており、近々、観測井Eからの汲み上げに

 

   変更される予定です。多量の地下水を汲み上げている状況では、将来的には、

 

   他のドレンポンドも目詰まりが進行することが懸念されています。   

 

*

 

   ★資料04-5:地下水ドレンポンドEの放射能濃度

 

   094_e_fig25

 

 

 

*

 

04-6.OP+4m盤(TP+2.5m盤)の地下水汚染は、1-2号機取水口間で特に高く、

 

   ウェルポイント(20m3/日程度を汲み上げ)のSr-90濃度は 200,000 Bq/L程度

 

   (ウェルポイントでは、全βとSr-90濃度はほぼ同じ)、H-3濃度は 20,000 Bq/L程度

 

   で推移しています。(ウェルポイント汲み上げ水は、全量を建屋に移送しています。)

 

*

 

   地中での汚染の拡散経路や速度はわかりませんが、将来的には、

 

   地下水ドレンのSr-90濃度がさらに上昇することも懸念されます。

 

   OP+4m盤(TP+2.5m盤)の地下の汚染については、将来的には、さらなる対策が

 

   必要になるでしょう。

 

*

 

   ★資料04-6: 1-2号機間ウェルポイントの放射能濃度

 

   095_12_fig26

 

 

 

*

 

04-7.以上見てきたように、地下水ドレンポンドA・B・C・D(中継タンクA・B系)については

 

   汚染が高かったため、稼働した当初は、ドレンポンドE(中継タンクC系)以外の汲み上げ水を、

 

   全てく建屋に移送していました。

 

*

 

   2015年の秋に、サブドレン、地下水ドレンの汲み上げが開始され、海側遮水壁が

 

   閉合されました。これに伴い、建屋への地下水+雨水の流入量は減少したのですが、

 

   地下水ドレン中継タンクA系・B系の両系統の汲み上げ水を建屋に移送することになり、

 

   このとき、汚染水の増加量は逆に増えてしまいました。

 

*

 

   ★資料04-7: 汚染水増加量の内訳(前4週平均)

 

   042__4_fig01

 

 

 

   ウェルポイント・地下水ドレン汲み上げ水(オレンジ色)が、2015年秋から増えたが、

 

   2016年の秋以降、大きく減っている様子がわかります。

 

*

 

   ★資料04-8: 汚染水増加量の内訳(前7日平均)

 

   043__1_fig02

 

 

 

   上のグラフと同じ内容だが、「ALPSの薬液注入量」を「建屋流入量」と分けている。

 

   (これ以前については、ALPSの薬液注入量が公表されていない。)

 

*

 

   注: ALPS処理は、鉄共沈(鉄イオン薬液を加えて、金属類を沈殿)→フィルターで漉す、

 

   炭酸塩共沈(炭酸ソーダを加えて、さらに沈殿形成)→フルターで漉す、

 

   さらに吸着塔で吸着、というシステムですが、薬液の注入により、処理済み水の量が

 

   6%程度増えてしまいます。(ALPSの稼働量により、薬液注入量は増減しますが、

 

   現在、20m3/日程度の薬液が注入されており、これは、汚染水増加量の10%程度と、

 

   ばかにならない量です。このため、炭酸ソーダ薬液については、ダムから引いた水

 

   ではなく、循環処理水を利用する計画が立てられており、まもなく認可される見通しです。)

 

*

 

04-8.2016年1月から、中継タンクB系(H-3濃度が高い)については、徐々に建屋ではなく、

 

   サブドレン等処理設備への移送を増やし、2016年の秋以降は、B系のほぼ全量が

 

   サブドレン等処理設備へ移送されています(大雨の時以外)。

 

*

 

   これに伴って、サブドレン・地下水ドレン処理水(海に放出)のH-3濃度は徐々に

 

   上昇し、現在は 1,000 Bq/L程度で推移しています(放出限度 1,500 Bq/L)。

 

*

 

   ★資料04-9:サブドレン・地下水ドレン放流水のH-3濃度/東電

 

   044_h3

 

 

 

*

 

   2017/1/30 から、地下水ドレンの前処理(RO膜処理)設備が運用を開始しました。

 

   これは、全βが 1,000 Bq/Lを超える場合を目安に、前処理を行い、Sr-90を低減する

 

   設備です。(処理容量 480 m3/日)

 

*

 

04-9.海側エリアのフェーシングが進んだために、地下水の涵養量が減り、

 

   「OP+4m盤(TP+2.5m盤)汲み上げ量」が減少しました。

 

   また、これには、凍土遮水壁の効果も一定程度含まれるているでしょう。

 

*

 

   ★資料04-5:フェーシング/東電

 

 

 

   045_

 

 

 

   注: 「フェーシング」というのは、「舗装」もしくは「屋根かけ」によって、

 

   雨水が地下に浸透しないようにする対策です。

 

   「舗装」の場合は、汚染された地面からの放射線を遮蔽する目的もあります。

 

*

 

   ★資料04-6: OP+4m盤(TP+2.5m盤)汲み上げ量

 

   046_4m_fig13

 

 

 

   2016年の夏までは、20mmほどの降雨でも4m盤汲み上げ量はスパイク的に上昇していたが、

 

   2016年の秋以降は、100mm程度の降雨なら、ほとんど汲み上げ量が増えない

 

   ことがわかります。

 

*

 

04-10.また、地下水ドレンの水位(4m盤水位)を警報水位ギリギリの高めに維持する

 

   ことにより4m盤への流入量が少しでも少なくなるようにすることも行われています。

 

   (本来、このような運用はよろしくありません。)

 

*

 

   ★資料04-7: 地下水ドレン水位差と4m盤流入量/東電

 

   047_4m

 

 

 

   凍土遮水壁(海側)の内外水位差と、4m盤への地下水流入量(東電による推定値)

 

   には良い比例関係があり、水位差を少しでも小さくすることにより(4m盤の水位を

 

   警報水位ぎりぎりの高さで維持することにより)、4m盤への地下水流入量を抑える

 

   ことが行われています。

 

*

 

   近い将来、タービン建屋の水抜きに伴って、建屋周辺の水位(サブドレン水位)も下がり、

 

   建屋周辺と4m盤の水位差がなくなれば、4m盤への地下水流入量はほぼゼロになる

 

   のでは、と期待されていますが、実際にそうなるかどうかはわかりません。

 

*

 

04-11.先述したように、建屋の水位低下にあわせて、サブドレンの水位も低くなり、建屋への

 

   地下水流入量は減少しました。(これには、サブドレン-建屋の「水位差」が減った効果

 

   と、サブドレンの水位が低下し「地下水位より下の建屋貫通部」が減った効果の両方

 

   があります。また今後は「水位差」がこれ以上は縮まらないことに留意が必要です。)

 

*

 

   ★資料04-8: サブドレン(平均)水位と建屋流入量/東電

 

   171130_subd

 

 

 

*

 

   ★資料04-9: サブドレン汲み上げ量

 

   Relay_tank1

 

 

 

   サブドレンでは、降雨によるスパイク的な汲み上げ量の上昇が今でも見られます。

 

   これは、建屋周辺では、ほかの作業の継続や高線量などのため、フェーシングが

 

   あまり進んでいないためです。(線量低減のため、事故後の初期に鋼板が敷かれた状態。)

 

*

 

   また、2016年の夏までは、井戸や配管の詰まり(付着物)の清掃のための停止も多くあり、

 

   サブドレンの運用はなかなか安定しませんでした。現在も、計画的な清掃のための停止は

 

   行われていますが、サブドレンの運用状況は、以前に比べると安定していまする。

 

   (これは、建屋周辺の地下水位が、より安定的にコントロールされていることを意味します。)

 

*

 

04-12タービン建屋等の屋根の補修が進められており、雨水の直接流入量が減少しました。

 

   (量的な評価は行われていません。)

 

*

 

   しかし、タービン建屋の山側にある付属的な建屋群では、線量が高く、アプローチが

 

   難しいなどの理由で、屋根の除染・補修はあまり進んでいません。

 

*

 

05.Danraku_bar_2

 

    海への汚染水流出は現状では少ない

 

*

 

05-1.海側遮水壁は、おおむね健全で、遮水性能が高いのは間違いないでしょう。

 

*

 

   ★資料05-1、取水口内北側、海水の Sr-90濃度

 

   051_sr90_fig18

 

 

 

   海側遮水壁の閉合により、2桁程度低下しています。

 

   その後、上昇している時もあり、これは、降雨との関連が強いのですが、降雨とは無関係に

 

   上昇している時もあり、Sr-90の海への流出経路には、まだわからないところもあります。

 

*

 

   また、2013年6月に、護岸からの汚染水流出が問題化されるとすぐに、

 

   水ガラス注入壁によって、地下水からの放射性物質の流出を抑えようとしました。

 

   しかしこれについては、対策の効果はあまりはっきりしません。

 

*

 

   ★資料05-2、取水口内北側、海水の H-3濃度 

 

   052_h3_fig19

 

 

 

   H-3濃度は、1桁程度低下しています。

 

*

 

05-2.海側遮水壁の問題点は「多重的でない」ことです。

 

   1重の壁なので、どこかが破損すれば、再び汚染水が海に出てしまいます。

 

*

 

   また、海側へ少し「倒れ」ている点にも、今後の注意が必要です。

 

   (現時点では、地震時でも問題ないと評価されていますが、これ以上変位が進行すると、

 

   地震時の変形が許容量を超える懸念があります。)

 

*

 

   ★資料05-3 、海側遮水壁の倒れ/東電

 

   053_

 

 

 

   注:東電は「たわみ」(応力による部材の変形)と呼んでいますが、

 

   水面から4m程度の水圧・土圧ではこれほど大きな変形は生じません。

 

   これは、「たわみ」ではなく「倒れ」と呼ぶのが妥当でしょう。

 

*

 

   海側遮水壁の鋼材そのものの耐久性は実績があり、海洋で使用しても数10年は

 

   大丈夫でしょう。(電気防蝕により、鋼材本体の腐食を抑えています。)

 

   しかし、総延長の長い「継手」の全てが、長期的に健全性を保てるかどうかは不明です。

 

*

 

   また長期的(数十年後?)には、遮水壁の下端を回り込んで、 汚染水が海に出る

 

   ことが懸念されます。(土中でのSr-90の拡散は時間がかかりますが、H-3の拡散は

 

   意外と早いかもしれません。)

 

*

 

05-3.放射性セシウムの、海への流出経路は良くわかっていません。

 

*

 

   ★資料05-4: 取水口内北側、海水の Cs-137濃度

 

   054_scs137_fig17_2

 

 

 

   現在、春先に低く、夏場に高くなる季節変動が見られますが、濃度が高い日は降雨との

 

   後と決まっていますので、これは降雨による、排水溝からの流入の影響でしょう。

 

   (注:降雨により港湾内のCs-137濃度が上昇する現象は、海側遮水壁の閉合前からあった。

 

    のですが、その時は、降雨による海側トレンチからの流出の影響のほうが大きかった

 

    かもしれません。)

 

*

 

   このグラフをよく見ると、実は、海側遮水壁を併合した2015年の秋からではなく、

 

   2014年の冬から減少していることがわかります。これは恐らく、海側トレンチ閉塞を

 

   開始した効果ではないかと思われます(閉塞完了は2015年12月)。

 

*

 

   ここで問題なのは、2013年→2016年 で、一桁も減っていないことです。

 

*

 

   ★資料05-5: 排水路からの放出量評価/東電

 

   055_150325_k_2

 

 

 

   排水路の中で、最も汚染の高いK排水路から流出する放射性セシウムは、護岸からの

 

   流出量の1/10程度、その他の排水路からの流出量の合計は、K排水路の数分の1程度

 

   と評価されていました。

 

*

 

   この評価が正しければ、現在、K排水路の汚染状況は、2015年当時よりもだいぶ

 

   改善されていますので、少なくとも1桁以上は低下しそうなのですが、そうなっていません。

 

   Cs-137の港湾への流出量は、排水路からだけでは評価では説明が付かないのです。

 

   あるいは、過去の評価も、見直す必要があるのかもしれません。

 

*

 

05-4.1F港湾内の海底には、放射性セシウムが封じ込められています。

 

*

 

   2011年11月採取の、1F港湾内海底土のCs-137濃度は、取水口内で数10万Bq/kg・湿土、

 

   港湾内のその他の場所で数万Bq/kg・湿土ありました。

 

   (Sr-90その他の核種については、こちら。)

 

*

 

   この流出を抑えるため、2012年から2016年にかけて、ベントナイトとセメントを混ぜた材料で

 

   1F港湾の海底全体を被覆する工事が行われました。

 

   (この工事の概要については「港湾内海底土被覆工事」で検索すると出てきます。)

 

*

 

   ★資料05-6: 港湾内海底土被覆工事/東電

 

   Hifuku

 

   港湾内全体に、2回(2層)被覆が行われました。

 

*

 

   その後も、港湾内の海水のCs-137濃度の鉛直的な調査などが定期的に行われ、   

 

   現状では、海底土の被覆は安定しており、海底からのCs-137の溶出は少ないと

 

   考えられています。(但し、長期的な安全性は不明です。)

 

*

 

   一方、海底の被覆後も、流入したCs-137の一部は、港湾内で凝集・沈降しているので、

 

   現在は、被覆の上に、放射性Csを含む堆積物が、蓄積しているはずです。

 

   しかし、1F港湾内でのこうした Cs-137の動態は、あまりよくわかっていません。

 

*

 

   注:福島沖の外洋での、海底土のCs-137の動態は、規制庁の調査などにより、

 

   いろいろな知見が積み重ねられています。

 

   海上技術安全研究所 「海域における
放射性物質の分布状況の把握
」(報告書)

 

   海洋生物環境研究所 「海洋環境における放射能調査」(報告書)

 

   また、魚への影響については、水産庁HPの末尾に

 

   水産総合研究センター 「放射性物質影響解明調査事業」(報告書) があります。

 

*

 

05-5.港湾外では、海水中のCs-137濃度はゆっくりと減少を続けています。

 

*

 

   ★資料05-7: 南放水口南1.3km、海水の放射能濃度

 

   056__fig22

 

   Cs-137については、週1回の詳細分析結果をプロット。

 

*

 

   ★資料05-8: 5・6号機放水口北側、海水の放射能濃度

 

   56housui

 

*

 

05-6.1Fから少し離れた地点では、Sr-90、H-3はすでに事故前の濃度と同じ程度で、

 

   Cs-137も、事故前の数倍程度の濃度まで下がってきています。

 

*

 

   ★資料05-9: 1F沖3km、海水の放射能濃度

 

   1f_3km

 

*

 

06.Danraku_bar_2

 

    地下水バイパスは失敗だった

 

*

 

06-1.事前の想定では、地下水バイパスで 1,000m3/日の水を抜くと

 

   (建屋周辺の地下水位も下がって)地下水流入量が 100m3/日 程度減る

 

   と想定されていました。

 

   しかし、排水量は多いときで 400m3/日程度で、その後は、250m3/日程度

 

   で推移しています。(なぜ、もっと排水しないのかは説明されていません。)

 

*

 

   ★資料06-1: 地下水バイパス排水量

 

   061_

 

 

 

   注: 1回の排水量を、前回排水からの日数で割った数字なので、

 

   1日あたりの汲み上げ量を示したものではありません。

 

*

 

   事前のシミュレーションによる想定では、地下水バイパスをフル稼働

 

   (12箇所の全揚水井戸の水位を底部まで下げる)した場合には、

 

   建屋の山側の水位は 2~3m程度低下はずでした。

 

*

 

   ★資料06-2:地下水バイパス断面図

 

   062_

 

 

 

*

 

06-2.地下水バイパスは、2014/4/9から試験的に汲み上げを開始し、2014/5/21から

 

   排水を開始しました。

 

*

 

   しかし、2014/7/25に、東電は、観測井(建屋から70m~150m)の水位が

 

   最大で10cmしか低下していない報告しています。

 

*

 

   2014/10/31の特定原子力監視・評価検討会 資料に、観測井水位のグラフが

 

   公表されています。

 

*

 

   ★資料06-3: 地下水バイパス稼働実績/東電

 

   063_

 

 

 

   下の2つのグラフが観測井A,B,Cの水位ですが、

 

   水位の低下はあまりなかった様子がわかります。

 

*

 

   同じ資料のP.15では「HIT建屋の止水と地下水バイパスの効果の合計として」

 

   90m3/日程度の、建屋流入量の抑制効果がある、と評価していいます。

 

*

 

   一方で、2014/5/19の東電資料では、HIT建屋の止水工事による建屋流入量の

 

   減少量を 80m3/日 と評価しています。 また、2014/7/31の資料では、

 

   HIT建屋の止水工事による建屋流入量の減少量を 50m3/日 と評価しています。

 

*

 

   結局、地下水バイパス単独での評価は示されていないのですが、効果がどれほど

 

   あるのかは疑わしいところです。 しかし、せっかく海への地下水の放出にこぎつけた

 

   ものを「効果がほとんどない」と言うわけにはいかなかったのでしょう。

 

*

 

07.Danraku_bar_2

 

    ALPSの安定稼働までには1年以上かかった

 

*

 

07-1.ALPSの試運転(ホット試験)開始から、安定稼働するまでには、

 

   1年以上の時間を要しました。

 

   ALPSはその後、現在に至るまで、大きなトラブルもなく稼働しているので、この

 

   こと自体は既に過去の話です。しかし、今後もALPSと同様に、廃炉は新技術の

 

   開発であり、想定通りのスケジュールで進むとは限らない、と考えるべきでしょう。

 

*

 

   ★資料07-01: ALPS処理量

 

   071_alps_fig07

 

 

 

   緑色がALPS処理タンクの増加量。その後、ALPS処理量が公表されるようになった

 

   ので、そちらはオレンジ色で表示。(両者にズレがあるのは、Sr処理タンクへの移送が

 

   あるため。)

 

*

 

   また、上のグラフの青線がアレバ(既に廃止)、サリー、キュリオンの処理量、

 

   赤線が原子炉注水量です。原子炉注水量は今年はじめに、200m3/日程度まで

 

   減らされています。

 

*

 

   ALPSは2013/3/30にホット試験を開始しましたが、安定して稼働できるようになったのは

 

   2014年の夏頃からでした。同時期に、増設ALPS、高性能ALPSも安定して稼働できる

 

   ようになったので、ALPSの処理量は 1,500m3/日程度まで増えました。

 

   (現在でもこの処理能力がありますが、タンクの増設ペースに合わせた稼働になるため、

 

   ALPSの処理能力は余っています。)

 

*

 

07-2.また、ALPSのホット試験に際しては、規制庁から厳しい要求が出されたたために、

 

   5ヶ月程度開始が遅れました。(容器の耐衝撃性に無茶な注文が付いたのです。)

 

*

 

   規制委員会は、安全性について厳しい要求が出せるのですが、スケジュールの管理には

 

   責任を持たなくて良いので、こうしたことは、今後も起きるかもしれません。

 

*

 

07-3.ちなみに、サリー(第2セシウム吸着装置)、キュリオン(第1セシウム吸着装置)

 

   は安定して稼働しています。

 

   (現在は、主にサリーのみで処理を行っています。)

 

*

 

   ★資料07-02: キュリオンとサリーの入口水・出口水のCs-137濃度

 

   072__fig10

 

 

 

   2015年初に、Sr吸着塔を追加してから、キュリオンの性能はさらに

 

   安定していることがわかります。

 

*

 

   現在、新たなサリー(第3セシウム吸着装置)を建設中です。(2017/9/28 認可ずみ)

 

*

 

07-4.ALPSがなかなか安定して稼働できなかったため、2013年末から、Sr-90だけを

 

   ある程度除去する対策が行われました。モバイル型RO膜装置による濃縮塩水の処理と、

 

   サリー・キュリオンへのSr吸着塔の追加です。これらの処理を行った汚染水は

 

   「Sr処理水」と呼ばれています。

 

*

 

   ★資料07-03: 各処理水の貯蔵状況

 

   Srshori

 

 

 

   Sr処理水の総量は 20万m3程度で、横ばいの状況です。

 

*

 

   ALPSが安定して稼働するようになってから、モバイルROによる処理は廃止されましたが、

 

   現在でも、サリー・キュリオンから出てくる水は「Sr処理水」に該当します。

 

*

 

   Sr処理水のSr-90濃度は、現在は 10,000 Bq/L程度です。

 

*

 

   ★資料07-03: Sr処理水とRO処理水の放射能濃度

 

   Sr_shorisui

 

 

 

   出典: 2017/7/7 「1~4号機滞留水浄化設備設置について」(東電)

 

*

 

08.Danraku_bar_2

 

    凍土遮水壁は期待したほど効果が出なかった

 

*

 

08-1.凍土壁はほぼ計画通りに凍結し、壁自体の遮水効果が高いのは間違いありません。

 

   しかし、建屋周辺への水の流入量は、期待されたほど減っていません

 

   理由は不明ですが、より深い地層からの水の供給があるのではないか、と疑われています。

 

*

 

   2017/11/22の陸側遮水壁タスクフォース 議事概要 には、

 

   「過去のボーリング調査の穴が適切に埋め戻されていない」可能性などを指摘して

 

   いますが、確かめようもないことでしょう。また、(サブドレン汲み上げ水の)

 

   「ラドンの量を測定」することにより、地下水の比率を推定することなども提案されて

 

   いるようです。   

 

*

 

   ★資料08-1: 凍土遮水壁の深度/東電・鹿島建設

 

   Photo

 

 

 

   この深さまで凍結すれば大丈夫、と考えられていたのですが…、どこに問題があるのでしょう?

 

   出典: 2013/12/20 陸側遮水壁タスクフォース 「凍土遮水壁の基本設計」

 

*

 

   ★資料08-2: 建屋周辺の水バランスと降水量

 

   081__fig15

 

 

 

   建屋流入量と、サブドレン汲み上げ量、OP+4m盤(TP+2.5m盤)汲み上げ量の合計。

 

   何割かは減っていますが、フェーシングの効果もあるでしょうから、凍土遮水壁の効果が

 

   どれほどあるかは、はっきりしない状況です。

 

*

 

   ★資料08-3: 山側からの地下水流入量/東電による推計値

 

   082__fig16

 

 

 

   上記の建屋流入量、汲み上げ量に、降雨浸透量、地下水位の上下(地下水の保有量)

 

   などをざっくり計算して、建屋周辺への地下水流入量を推定した数字(東電による)。

 

*

 

08-2.凍土遮水壁は、建屋周辺の地下水位を安定させるのには役立っています。

 

   また、OP+4m盤(TP+2.5m盤)の汚染が広がるのを防ぐ役割も果たしていそうです。

 

   凍土遮水壁は、もともとの計画では、7年程度で役割を終える予定でしたが、

 

   もっと長期に運用することになるかもしれません。

 

*

 

08-3.「建物の杭基礎が難透水層を貫通しているのでは?」という質問を受けましたが、

 

   まず、原子炉建屋やタービン建屋は、泥質部(難透水層)に直接乗っています(直接基礎)。

 

*

 

   ★資料08-4: 建屋周辺の地質/東電

 

   Photo_2

 

 

 

   1~3号機は第1泥質部に、4号機は第2泥質部に乗っています。

 

   このため4号機の周囲では、中粒砂岩層と互層部は連通していると考えられます。

 

   出典: 2015/11/17 陸側遮水壁タスクフォース 資料

 

*

 

   但し、原子炉建屋、タービン建屋以外の、付属的な建屋については、杭基礎で

 

   建てられているかもしれません。しかしその場合でも。杭は、第1泥質部(難透水層)

 

   を突き抜けないように施工しなければなりませんので、杭基礎が難透水層を突き抜けている

 

   可能性は低いと思われます。

 

*

 

09.Danraku_bar_2

 

    サブドレンの汚染上昇

 

*

 

09-1.サブドレンの多くは、汚染はごく低い状態なのですが、

 

   サブドレンのうちいくつかは、汚染の高い状態が続いていたり、汚染が上昇している

 

   ものがあります。

 

*

 

   先述したように、サブドレン・地下水ドレン処理水のH-3濃度は、現在 1,000 Bq/L程度

 

   で推移しており、これ以上、サブドレン汲み上げ水のH-3濃度が上昇した場合、建屋

 

   に移送する量が増える可能性があります。

 

   (これまでのところ、サブドレン汲み上げ水の建屋への移送は行われていません。)

 

*

 

   ★資料09-1: サブドレン・地下水ドレン系統図(再掲)

 

   091_

 

 

 

*

 

09-2サブドレンNo.1(1号機海側)のH-3濃度は 10,000~20,000 Bq/Lと高かったため、

 

   No.1と隣接するNo.2は、当初、稼働していませんでした。しかし、2016年の7月から

 

   サブドレンNo.2の稼働を始めると、汚染が移行したためか、みるみるうちに、No.2の

 

   H-3濃度も高くなってしまいました。

 

*

 

   現在この2つの井戸は、間欠的に運転していますが、ここの水位は、ほかの井戸

 

   よりも高い状況が続いています。

 

*

 

   ★資料09-2: サブドレンNo.1,No.2 の H-3濃度

 

   Subd_12

 

 

 

*

 

09-3.サブドレンNo.9(1号機山側)のH-3濃度は、2017年の夏に急上昇しました。

 

   (その後は、少し落ち着いています。)

 

*

 

   ★資料09-3: サブドレンNo.9 の放射能濃度

 

   Subd_9

 

 

 

*

 

09-4サブドレンNo.207 と、隣接する No.208 (2号機山側)の H-3濃度は、2017年の夏から

 

   数千Bq/Lに急上昇しました。

 

*

 

   ★資料09-4: サブドレンNo.207 の放射能濃度

 

   Subd_207

 

 

 

*

 

   ★資料09-5: サブドレンNo.208 の放射能濃度

 

   Subd_208

 

 

 

   このH-3濃度の上昇は、サブドレンNo.208の強化工事(径の太い井戸に更新する工事)

 

   を行い、誤って水位設定を低く設定した時期と同じなので、その影響のためかも

 

   しれませんが、建屋からの汚染水漏れがあったかどうかは、何とも言えません。

 

   (少なくとも「大量の」汚染水漏れは起きなかったと言えそうです。)

 

*

 

09-5サブドレンNo.19 (2号機山側)は、当初はCs-137濃度が高かったのですが、

 

   現在は、1,000 Bq/L程度まで下がっています。

 

   この井戸のH-3濃度は 1,000 Bq/L程度で推移しています。

 

*

 

   ★資料09-6: サブドレンNo.19 の放射能濃度

 

   Subd_19

 

 

 

*

 

09-6サブドレンNo.25 (2号機海側)の H-3濃度は、このところ数千 Bq/L台で推移し、

 

   上昇傾向にあります。また、Cs-137濃度も 1,000 Bq/L程度で推移しています。

 

*

 

   ★資料09-7: サブドレンNo.25 の放射能濃度

 

   Subd_25

 

 

 

*

 

   同じく2号機海側の サブドレンNo.27 では、2017年の4月頃から汚染が増え、

 

   Cs-137、Sr-90、H-3の全てが 10,000 Bq/L程度まで急上昇しました。

 

   (Sr-90濃度が高いのは、ほかのサブドレンに見られない特徴です。)

 

*

 

   ★資料09-8: サブドレンNo.27 の放射能濃度

 

   Subd_27

 

 

 

   この時期に、ちょうど2号機タービン建屋の屋根の補修工事が行われていたため、

 

   タービン建屋の屋根の雨水を、サブドレンNo.27の近くに浸透させることにより、

 

   一時的に汚染は低くなりました。

 

   しかし現在、雨の少ない時期を迎えて、再び汚染が上昇しています。

 

*

 

10.Danraku_bar_2

 

    まとめ1 汚染水対策は順調だが…

 

*

 

10-1.海に出る放射性物質の量は、海側遮水壁の閉合(2015年秋)以降、特に減少し、

 

   現在では、周辺の海水中の放射能濃度にあまり影響を与えないレベルとなっています。

 

*

 

10-2.汚染水の増加量は減り、現在、タービン建屋のドライアップという目標に向けて、

 

   汚染水対策は順調に進んでいるように見えます。

 

*

 

10-3.しかし、地下水ドレン・サブドレンの汚染(特にH-3濃度)の上昇が、

 

   計画通りに対策が進むのを阻むかもしれません。

 

*

 

10-4.また、長期的には、海側遮水壁の健全性が損なわれるリスクを考慮する必要が

 

   あるでしょう。

 

*

 

11.Danraku_bar_2

 

    まとめ2 いくつかの構造的な問題

 

*

 

11-1.「地下水バイパス」の評価に見られるように、政府・東電には、廃炉作業に

 

   おいて「失敗を認めにくい空気」があるのではないかと感じられます。

 

*

 

   廃炉作業は技術開発そのものであり、(致命的でない)失敗は、

 

   当然生じるモノとして、(社会的に)容認されるべきです。

 

*

 

   かつての「安全神話」と同様な「無謬神話」が生まれるほうが危険でしょう。

 

   情報をオープンにし、失敗の原因を調査・公表することのほうが重要です。

 

*

 

   水を増やさない効果の点では失敗が明らかになってきた「凍土遮水壁」に、

 

   政府・東電はどのような評価を行うのでしょうか?

 

   また、原因の調査・究明・公表は行われるのでしょうか?

 

*

 

11-2.地下水や排水溝を経由した「意図的でない放出」は、現在、法規制の対象外です。

 

*

 

   こうした「法規制のない」ことがらは、十分な調査が行われていませんでした。

 

   (2015年から、排水溝については調査、低減が実施計画に記載されました。)

 

*

 

   規制委や福島県などが積極的に関与し、もっと調査させるべきだと思います。

 

   (私には、両者とも関心が低いように感じられます。)

 

*

 

11-3.事故初期は仕方ないとしても、事故から1~2年の間に「観測の空白」がありました。

 

*

 

   ★資料11-1: 1F 20km圏内のアイナメのグラフ

 

   111_20km_ainame

 

 

 

   20km圏の魚介類の調査が始まったのは、事故から1年後。

 

   1F港湾内の魚介類の調査が始まったのは、2012年12月からです。

 

   事故後の初期に、どのような状況だったのか、今となっては知るすべがありません。

 

*

 

   今となっては埋めようがない空白は、ほかにもいろいろあります。

 

*

 

11-4.「後世の人から見て恥じないよう」必要な記録を残すべきです。

 

*

 

   一方でまた、重要度の低い測定・対策で資金・マンパワーを消耗しないよう

 

   適切な評価が必要でしょう。

 

*

 

12.Danraku_bar_2

 

    補足

 

*

 

12-1.おまけ: Discovery Channel 「フクシマ・ダイアリーズ」 (24分)

 

*

 

12-2.地下水バイパス汲み上げ水、サブドレン・地下水ドレン処理水のトリチウムの

 

   排出基準は、事故前の排出基準(告示濃度) 60,000 Bq/L よりも大幅に低い

 

   1,500 Bq/L と決められています。この理由については、

 

     Togetter 「トリチウムの排出基準が 1,500Bq/Lなのはどうしてか

 

   を参照ください。

 

*

 

12-3.現在、1Fの水位管理は、「OP+基準」から「TP+基準」に切り替えられ、東電の

 

   公表資料にはOP+による数字は記載されなくなっています(TP+値のみ記載)。

 

   一方、これまでの資料はOP+で書かれていますので、OP+値とTP+値を換算する

 

   必要があります。これについては、

 

     Togetter 「サブドレン水位の設定ミスはなぜ起きたのか

 

   を参照ください。

 

*

 

サブドレン・地下水ドレン汲み上げ量まとめ(xlsx)→ ダウンロード - relay_tank.xlsx

 

サブドレン・地下水ドレンの水質分析まとめ(xlsx)→ ダウンロード - relay_tank_suishitsu.xlsx

 

*

 

既設ALPS(入口水、出口水) データまとめ(xlsx)→ ダウンロード - ka_alps.xlsx

 

増設ALPS(入口水、出口水) データまとめ(xlsx)→ ダウンロード - za_alps.xlsx

 

高性能多核種除去設備(入口水、出口水) データまとめ(xlsx)→ ダウンロード - he_hero.xlsx

 

*

 

(以下、関連リンクなどをもうすこし追記する予定です。)

 

 

2016年1月29日 (金)

1~4号機建屋周辺の水バランス

Tsukubai

(図はクリックで拡大します。)

■ 商用目的・商用サイトを除き、図表の無断引用・転載はご自由にどうぞ。
  (但し出典を明記のこと。なお説明の追記など以外の無断改変は厳禁です。)

1. Danraku_bar_2

   概説

1Fの汚染水が増える要因については、これまで、部分的な情報しか公表されていませんでしたが、

最近になって、いろいろな情報が公表されるようになり、それらをつなぎ合わせることに

よって、建屋周辺の水収支の全体像がわかるようになりました。

状況を全体的に見ることによって、汚染水がなかなか減らないのはなぜか、あるいは

どのような状況になったら汚染水が減るのかを知ることができます。

また、(今のところ原子力規制委員会の承認は得られていませんが、)近いうちに、陸側遮水壁

(凍土遮水壁)の運用が始まるはずです。それがうまく機能しているかどうか(あるいは問題

が起きているかどうか)も、全体の水収支をチェックすることによって確認できるはずです。

汚染水の問題は「うまくいっている」ことになっている(政治的に)ために、情報の透明性が低く

なっています。人類初めての難題に立ち向かっているのですから、そう易々とは行かないのは、

無理からぬことだと思うのですが…。エネ庁/東電自らが、失敗点を含めて、積極的に情報を

開示するようになればいいのですが。

2. Danraku_bar_2

   1~4号機建屋周辺の水バランス (2015年12月時点)

Balance_1512

注: 数字は2015年12月の平均値を、丸めたもの。

   また、地下水位の変動はないと仮定して算定している。

   (それぞれの数字の出典については、後述。)

この状況と、2013年8月時点の予測 「海側汚染水問題に関する対策(pdf)」(下図)とを

比べると、サブドレンの汲み上げ量が、まだ予測の半分程度しかないことがわかる。

130808_yosoku

サブドレンの水位設定(ポンプ起動水位)は、運用開始時(2015/9/3)の、OP+6,500から

段階的に引き下げられ、2015/12/22からはOP+4,536 (2016/1/16からはOP+4,186)の

設定となっているが、地下水ドレンポンプの水位は OP+3,200の設定だから、これよりも

まだだいぶ高い。水位設定は今後も引き下げられてゆく予定だが、建屋の水位を下げて、

様子を確認しつつの作業となるため、地下水ドレンの水位に近づくまでは、まだだいぶ

時間がかかりそうだ。 (T/B水位は、2016年1月時点で、OP+2,500~3,000程度あり、さらに

引き下げないと、サブドレン水位も下げられない。)

東電/エネ庁が、サブドレン水位を下げれば、建屋流入量、地下水ドレン汲み上げ量を

さらに減らすことが出来る、と説明していることは嘘ではないが、当面は、なかなか下がって

来ないと思われる。

3. Danraku_bar_2

   山側からの地下水+雨水の量 (数字の出典)

2015年12月時点の量を、1,090m3/日と推定しているが、これは、それぞれの汲み上げ量、

建屋流入量、海への透過量の合計値として算出した値である。

(上記の2013年8月の想定では 1,000m3/日となっているから、おおむね近い。)

この数字は、地下水位の変動はないと仮定した場合の数字だが、サブドレン水位の引き下げ

によって、建屋周辺に蓄えられた地下水の量は少しづつ減っているから、実際の数字は、

1,090m3/日よりも少し小さいはずである。

2015年12月の浪江の降水量(月)は 46mmで、平年値の 41.4mmとおおむね近かった。

しかし、浪江の年間降水量(平年値)は 1,511mmで、月平均値 126mmの1/3程度しかない

ことには留意を要する。(下図:浪江 降水量(平年値))

Namie_heinen

降水量が増え、山での雪解け水が増える3月以降は、さらに水量が多くなるはず。

4. Danraku_bar_2

   地下水バイパス (数字の出典)

ここでは、地下水バイパスによる削減量として 30m3/日を採用しているが、これは、

東電による評価値である。

2015/10/1の東電資料(pdf)で、HTI建屋止水と地下水バイパスの稼動により

  「合計80m3/日程度」の建屋流入量の抑制が認められる、と評価している。

  (これが、最終的な評価。)

■ 一方、 2015/7/31の東電資料(pdf)で、HIT建屋の止水による地下水流入雨維持抑制効果を

  「約50m3/日」と評価している。

■ この差が地下水バイパスによる効果だとすれば、地下水バイパスによる流入抑制効果は

  「約30m3/日」ということになる。

  (ちなみに、経産省のサイトには、「地下水バイパスの効果により、建屋への地下水

   流入量は約80トン/日低減」 との記載があるが、これは誤解を招く表現である。)

地下水バイパスの汲み上げ量は公表されていないが、排水量は毎回公表されており、

東電HPにまとめがある。

Bypass

2015年12月は、5回の排水(合計8,579m3)があり、7日間隔で排水が行われているので、

これを35で割ると、平均245m3/日の排水量となる。

汲み上げ時と排水時でタイムラグはあるが、便宜上 250m3/日を汲み上げ量とする。

このうち、地下水バイパスによる削減量 30m3以外の 220m3/日は、地下水バイパス

汲み上げによる、周辺からの吸い寄せ効果ということになる。

5. Danraku_bar_2

   サブドレン汲み上げ量 (数字の出典)

日ごとのサブドレン汲み上げ量は、規制庁面談資料の中で報告されており、

それをグラフにすると下図のようになる。

Subd

データまとめ(xslx)→ 「relay_tank.xlsx」をダウンロード

(データ出典へのリンクも、エクセルファイル中にあります。)

2015年12月(11/30 15:00~12/31 15:00)の汲み上げ量は 13,780m3、平均 444.5m3/日

となるので、440m3/日 をサブドレン汲み上げ量としている。

6. Danraku_bar_2

   建屋流入量 (数字の出典)

2016/1/18から、毎週月曜に 「建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移」

という資料(2016/1/25ぶん)の公表を始めており、このグラフ中に「①建屋への地下水・

雨水等流入量」があるので、このグラフ読み取り値をもとにする。

12/3, 12/10, 12/17, 12/24, 12/31 の値(7日平均)を、それぞれ 170, 155, 240, 110, 170 と

読み取ると、平均 169m3/日となるので、170m3/日を、建屋への地下水+雨水の流入量

としている。

尚、2015/10/30の規制庁面談資料 「建屋への地下水・雨水等流入量 算出方法(pdf)

では、この算出方法が説明されている。

7. Danraku_bar_2

   ウェルポイント・地下水ドレン汲み上げ量、建屋移送量 (数字の出典)

日ごとの地下水ドレン汲み上げ量は、規制庁の面談資料で、サブドレンと同時に公表されている。

Chikasuid

データは、サブドレンと同じファイル中にまとめてあります。

これによると、12/1 15:00~12/31 15:00 の「集水タンクへの移送量」は、合計1,175m3、

平均39.1m3/日となるので、地下水ドレンから処理設備への移送量は 40m3/日とする。

また、規制庁面談資料の「たまり水の貯蔵及び処理の状況について(資料2)」(毎週金曜)

に、ウェルポイント・地下水ドレンから「建屋への移送量(1週間分)」が公表されている。

これによると、11/26 0:00~12/31 0:00(5週分)の移送量は、合計 14,110m3、平均403m3/日

となる。 ウェルポイント・地下水ドレンから建屋への移送量は 400m3/日となる。

上記の移送量合計 440m3/日が、ウェルポイント・地下水ドレンからの汲み上げ量である。

前述の「たまり水の貯蔵及び処理の状況について(資料2)」には「その他の建屋移送量

も公表されている。これは主に、①トレンチからの水の移送、②タンクエリアの汚染雨水

(比較的汚染度の高いもの)を、建屋に移送した量である。

11/26 7:00~12/31 7:00(5週分)の移送量は、合計 540m3、平均15m3/日となる。

ここでは 20m3/日としている。

8. Danraku_bar_2

   多核種除去設備の薬液注入量 (数字の出典)

「汚染水」というわけではないが、このほか貯留水の増える要因として、ALPS等処理時の

薬液注入(Sr化合物等の共沈を作って、フィルターで除去できるようにするための薬液)

がある。この量も前述の「たまり水の貯蔵及び処理の状況について(資料2)」で公表されて

おり、11/26 7:00~12/31 7:00(5週分)の注入量は、合計630m3、平均18m3/日となる。

ここでは 20m3/日としている。

これらの数字をもとに、汚染水(貯留水)の要因別の増加のグラフを作ると、下図のようになる。

Osensui_uchiwake

データまとめ(xslx)→ 「ensui_graph.xlsx」をダウンロード

グラフ(pdf)→ 「ensui_graph_160527.pdf」をダウンロード

9. Danraku_bar_2

   海側遮水壁を透過する地下水 (数字の出典)

実測に基づくものではないが、設計上の評価値として 10m3/日とされているので、とりあえず

その数字を採用している。

出典は、2015/12/18 特定原子力施設 監視・評価検討会資料 のP.35。

(ちなみに、30m3/日という評価値もどこかにあったはず。)

取水口内北側(東波除堤北側)の海水のSr-90濃度は、海側遮水壁の閉合前は 30~60 Bq/L

程度あったが、閉合後は 1 Bq/L程度に低下している。

Kouwannai2

その他港湾内海水のグラフ(pdf)→ 「kouwannai.pdf」をダウンロード

この比率で、流出する地下水も減ったと評価すれば、300~600m3/日の流出量が

10m3/日 に減少したことになるから、おおまかな評価としては、おかしくない数字とだと思う。

10. Danraku_bar_2

   地下水ドレンの汚染源

地下水ドレンのH-3濃度が高い(数千Bq/L)ために、汚染水が急増しているが,この汚染の

由来は今のところよくわかっていない。毎日何百トンも汲み上げてもなかなか濃度が下がらない

ため、今でも建屋から漏れているのでは?と心配する人も多い。(もちろん、その可能性もある。)

しかし、2013年の調査では、2号機、3号機の海水配管トレンチ滞留水のH-3濃度は、

200万~1,000万Bq/L程度と極めて高かったから、こうした汚染水が地中のどこかにあると

すれば、なかなか汚染が下がらないだけの汚染源となりうるだろう。現状では、いずれの

可能性も否定できない。

(参考)トレンチ水の放射能濃度(xls)→ 「Sr_tateya.xls」をダウンロード (2014/9/19更新)

11. Danraku_bar_2

   海側遮水壁の末端

地下水ドレンの水位は、OP+3,200(ポンプ停止水位)~OP+3,400(ポンプ起動水位)の間で

管理されているが、この水位は、海側遮水壁の閉合前よりもかなり高い。

海側遮水壁の末端部では、当然、隣接するエリアに向かう地下水の流れが生じている

と考えられる。

凍土遮水壁の運用が遅れれば、4m盤から、隣のエリア(物揚場)に汚染が移行する可能性も

あるだろう。

2016/2/10 追記

東電作成による地下水収支(2015/11/6~2016/1/7を対象期間として評価)

出典:2016/2/1 規制庁面談資料

Hyouka

海側遮水壁を透過する地下水の量を、地下水位の上昇を考慮して、30m3/日と評価し直している。

2014年8月25日 (月)

底魚の汚染はほとんど終息しつつある

東京電力福島第1原発20km圏の底魚(2014年8月)

 




(図はクリックで拡大します。)

 

 

20km圏の魚介類の検査結果(xlsx)

ダウンロード - suisan_20km.xlsx

 

 

2020/2/26東電公表分まで)

(↑ 20km圏の魚介類のAg-110mとSr-90濃度の結果もあり)

 

 

注意) 以下に挙げる魚種は、比較的汚染の高いモノの代表例であり、既にほかのほとんどの魚種では、

    汚染はかなり低下していることに留意してください(上記xlsをご参照ください)。

    また、福島第1原発(1F)の近くでは、試験操業は行われていません。

 

 

20km圏の魚介類のグラフ(xlsx) → ダウンロード - 20km_graph.xlsx

(2019/4/23更新)

 

 

ヒラメ

 

20km_hirame

 

 

 

一覧pdf→ 「20km_hirame.pdf」をダウンロード

 

 

20km圏のヒラメ(1F港湾内を除く)は、すでに50Bq/kg以下まで低下している。

 

1F沖3km(T-S4、緑ライン)よりも、2F沖2km(T-S7、赤)や、T-S5(木戸川沖2km、オレンジ)のほうが、

 

いずれの魚種でも高いことがわかる。

 

 

ババガレイ

 

20km_babagarei

 

 

 

一覧pdf→ 「20km_babagarei.pdf」をダウンロード

 

 

20km圏のババガレイ(1F港湾内を除く)も、もう少しで100Bq/kg以下というところまで低下している。

 

1F港湾内は調査数が少ない(採れない?)。

 

 

マコガレイ

 

20km_makogarei

 

 

 

一覧pdf→ 「20km_makogarei.pdf」をダウンロード

 

 

20km圏のマコガレイ(1F港湾内を除く)は、すでに50Bq/kg程度まで低下している。

 

1F港湾内のマコガレイは、まだ数万Bq/kgのものが採取されている。

 

 

アイナメ

 

20km_ainame

 

 

 

一覧pdf→ 「20km_ainame.pdf」をダウンロード

 

 

20km圏のアイナメ(1F港湾内を除く)は、すでに50Bq/kg程度まで低下している。

 

1F港湾内のアイナメは、最近は1万Bq/kgを越えるようなものは採取されていない。

 

 

メバル・カサゴ・ソイ

 

20km_mebaru

 

 

 

一覧pdf→ 「20km_mebaru.pdf」をダウンロード

 

 

これらの魚の汚染が今では最も高いが、その理由はよく分かっていない。

 

20km圏のメバル・カサゴ・ソイ(1F港湾内を除く)は、まだ100Bq/kgを越えるものが採取され続けている。

 

1F港湾内のメバル・カサゴ・ソイは、まだ10万Bq/kg近いものが採取されている。

 

 

コモンカスベ

 

20km_komonkasube

 

 

 

一覧pdf→ 「20km_komonkasube.pdf」をダウンロード

 

 

20km圏のコモンカスベ(1F港湾内を除く)は、まだ100Bq/kgを越えるものが採取され続けている。

 

但し、何れの調査地点でも、低下傾向ははっきりしている。

 

 

スズキ

 

20km_suzuki

 

 

 

一覧pdf→ 「20km_suzuki.pdf」をダウンロード

 

 

スズキは回遊するため、地点ごとの差はあまりないが、20km圏のスズキ(1F港湾内を除く)は、

 

すでに100Bq/kg程度まで低下している。

 

(スズキは底魚ではないが、底生の生物も食べるため、やや汚染が高かった。)

 

 

マダラ

 

20km_madara

 

 

 

一覧pdf→ 「20km_madara.pdf」をダウンロード

 

 

20km圏のマダラ(1F港湾内を除く)は、すでに100Bq/kg以下まで低下している。

 

東電のマダラの調査は春先しか行われていないが、理由はわからない。

 

 

エイ・サメ

 

20km圏のエイ・サメのグラフ(xls)「20km_graph_2.xls」をダウンロード

 

(2016/2/17更新)

 

「1401_20km_graph_3.pdf」をダウンロード

 

 

東電による20km圏内の魚介類調査地点

 

20km_map

 

 

 

 

クロダイ

 

Kurodai

 

 

 

一覧pdf→ 「Kurodai.pdf」をダウンロード

 

 

xlsファイル→ 「Kurodai.xls」をダウンロード

 

 

クロダイは、いずれの海域でも低下はしているけれど、ハズレ値的に高いモノがけっこう

 

見つかるのが特徴的である。また、仙台湾でけっこう高いものが見つかるのに、茨城では

 

あまり高いものが見つからないのも、クロダイだけの特徴である。

 

クロダイで高い値のものが見つかる理由として、

 

  1.汽水域に生息した個体が高くなる

 

  2.悪食のため、何か非常に汚染されたエサを食べる個体がある。

 

  3.1F港湾から出てきた個体が高くなる

 

などの仮説が考えられているが、はっきりしたことはわかっていない。

 

 

マガレイ

 

20km_magarei

 

 

 

一覧pdf→ 「20km_magarei.pdf」をダウンロード

 

 

 

水生生物中の放射性ストロンチウム(xls)「Sr_suisei.xls」をダウンロード (2014/6/13更新)

 

同上pdf→ 「Sr_suisei.pdf」をダウンロード

 

 

Togetter 「ホッキガイの試験操業が開始 (2014/6/19)

 

Togetter 「いわき市永崎の防潮堤」 (2014/7/26)

 

 

福島沖のキタムラサキウニ(xls)「Uni_Fukushima.xls」をダウンロード (2014/7/31公表分まで)

 

Uni_fukushima    

 

いわき市沖のキタムラサキウニは、現在では、ほとんどがNDである。

 

しかし、ヒトケタBq/kg程度はあるかもしれない。

 

ウニの汚染が、アワビなどと較べて高かった理由は、おそらく、海底付近に浮遊するデトリタスも

 

食べているためと思われるが、詳しいことはよくわかっていない。

 

 

2013年8月27日 (火)

更新中のデータ、最近作ったデータ(原発事故関連)

(図はクリックで拡大します。)

 

 

1F構内マップ(東電資料を読むための)http://goo.gl/GxpmlG

 

 

20km圏の魚介類の検査結果(xls)「suisan_20km.xls」をダウンロード

 

(2014/12/17東電公表分まで)

 

(↑ 20km圏の魚介類のAg-110mとSr-90濃度の結果もあり)

 

20km圏の魚介類のAg-110mとSr-90濃度(pdf)→ 「Ag_Sr_20km.pdf」をダウンロード

 

 

20km圏の魚介類のグラフ(xls)「20km_graph_1.xls」をダウンロード 「20km_graph_2.xls」をダウンロード (2014/1/23更新、主な魚種)

 

同上pdf→ 「1401_20km_graph_1.pdf」をダウンロード 「1401_20km_graph_2.pdf」をダウンロード 「1401_20km_graph_3.pdf」をダウンロード

 

 

「20km_hirame.pdf」をダウンロード

 

 

 

水生生物中の放射性ストロンチウム(xls)「Sr_suisei.xls」をダウンロード

 

(2014/9/5更新)

 

同上pdf→ 「Sr_suisei.pdf」をダウンロード

 

 

 

沖合い海水中の放射性ストロンチウム(xls)「Sr_seawater.xls」をダウンロード

 

(2014/9/1更新) 

 

(↑ グラフもあります。)  グラフ(pdf版)→ 「Sr_seawater.pdf」をダウンロード  「Sr_seawater2.pdf」をダウンロード 「Sr_kyouka.pdf」をダウンロード

 

 

環境省(水生生物調査)での海水の濃度(pdf)→ 「Sr_seawater_kankyo.pdf」をダウンロード

 

Sr_housuikou

 

 

1F放水口海水、1F港湾内海水の放射能濃度(xls)

 

「1F1-4_shusuikou.xls」をダウンロード (2013/12/3更新、Sr-90は2014/1/15更新)

 

  ・ 1F放水口付近海水 (注:2013/10/21に規制庁からグラフが出た。)

 

  ・ 1~4号機取水口内北側海水

 

  ・ 港湾内海水

 

1f14_shusuikou

 

 

港湾内海水の放射能濃度(pdf) 「kouwannai.pdf」をダウンロード

 

 

 

 

規制庁(海水の強化モニタリング)(xlsx) ダウンロード - sr_kaisui_kyouka.xlsx

 

  pdf →「Sr_kaisui_kyouka.pdf」をダウンロード

 

 

福島県(海水の強化モニタリング)(xlsx) ダウンロード - fukushima_kyouka.xlsx

 

  pdf →「Fukushima_kyouka.pdf」をダウンロード

 

 

 

1F海側地下水 の放射能濃度(xls)

 

「Sr_chikasui.xls」をダウンロード

 

(2014/1/17更新)

 

  ・ 海側地下水観測孔

 

Sr_chikasui

 

1F建屋周辺地下水、サブドレン水、トレンチ水 の放射能濃度(xls)

 

「Sr_tateya.xls」をダウンロード

 

(2014/9/19更新)

 

  ・ 建屋周辺地下水

 

  ・ 下部透水層地下水(タービン建屋東側)

 

  ・ トレンチ水

 

  ・ サブドレン水

 

2gou_subd

 

 

 

 

H4エリア地下水の放射能濃度(xls)「Sr_H4_area.xls」をダウンロード

 

(2014/5/9更新)

 

  ・ H4エリア地下水(pdf)→ 「Sr_H4_area.pdf」をダウンロード

 

(2014/5/9更新)

 

Sr_h4_area

 

 

 

 

海底土の放射性ストロンチウム(xls)「Sr_sediment.xls」をダウンロード (2013/11/5更新)

 

同上、pdfファイル→ 「Sr_sediment.pdf」をダウンロード   

 

 

海側観測孔・タービン建屋周辺観測孔位置図(pdf)→ 「130912_kansokukou.pdf」をダウンロード

 

(2013/9/12 汚染水対策WG資料より抜粋)

 

 

サブドレン、地下水ドレン汲み上げ量(xlsx)「relay_tank.xlsx」をダウンロード

 

 

 

高レベル処理水の滞留状況(xlsx)「ensui_graph.xlsx」をダウンロード

 

(2016/2/29更新)

 

同上、グラフpdfファイル→ 「ensui_graph.pdf」をダウンロード

 

         

 

Ensui_graph1

 

 

 

Ensui_graph2

 

 

 

Ensui_graph3

 

 

 

Ensui_graph4

 

 

 

Ensui_graph5

 

 

 

Ensui_graph6

 

 

 

Sarry

 

 

 

 

 

Bypass

 

 

 

 

1~6号機サブドレン水位(xls)「sub-d_2011-2013.xls」をダウンロード (2011/4/4~2013/7/25)

 

(東電公表pdfを、xlsに変換しました。)

 

 

原子力損害賠償支援機構から東京電力への交付額「tokubetsu_jigyou.xls」をダウンロード

 

(2018/1/24更新)

 

Tokubetsu_jigyou

 

福島沖のキタムラサキウニ(xls)→ 「Uni_Fukushima.xls」をダウンロード

 

(2014/7/31公表分まで)

 

Uni_fukushima

 

 

   

 

 

霞ヶ浦の淡水魚(xlsx)→ ダウンロード - kasumigaura.xlsx

(2019/3/31更新)

 

霞ヶ浦・与田浦の淡水魚(xls)→ 「Kasumigaura.xls」をダウンロード (2013/11/18更新)

 

Nishiura

 

Kitaura

 

Yodaura

 

利根川下流のスズキ(xlsx)→ ダウンロード - suzuki_tonegawa.xlsx

 

 

涸沼の淡水魚(xls)→ 「Hinuma.xls」をダウンロード (2013/10/20更新)

 

Hinuma_shijimi

 

Hinuma_unagi

 

 

赤城大沼・榛名湖の淡水魚(xls)→ ダウンロード - akagionuma.xlsx

(2019/3/31更新)

 

「Akagi-onuma.pdf」をダウンロード

 

         

 

Akagionuma

 

 

 

Akagionuma2

 

 

 

メモ: 赤城大沼・榛名湖のワカサギ釣りは2013/9/1から解禁されたが、持ち帰りは禁止(漁協が回収)。

 

  赤城大沼のワカサギは、2014/3/14に、いったん県による出荷自粛要請が解除(持ち帰りも解禁)となったが、

 

その後、水産庁より「安定的に」100Bq/kgを下回る目安は、50Bq/kg程度と指摘されたため、

 

2014/3/20に、再び持ち帰りは自粛となった。

 

2015/9/1から、赤城大沼・榛名湖のワカサギは持ち帰りも解禁となった。

 

(赤城大沼のワカサギは、9/1~3/31 が遊漁期間。)

 

 

中禅寺湖の淡水魚(xls)→ ダウンロード - chuzenji.xlsx

(2019/3/31更新)

 

Chuzenji4

 

 

      

 

メモ: トラウト類の釣りは2013/4/1に解禁(キャッチ&リリースのみ、持ち帰り禁止)。

 

   ワカサギ釣りは、2013/9/20解禁(~10/31まで)。(2012年9月20日から解禁)

 

 

桧原湖・秋元湖・小野川湖のワカサギ

 

pdf→ 「131024_Hibarako.pdf」をダウンロード

 

131024_hibarako

 

 

手賀沼、印旛沼の淡水魚(xlsx)→ ダウンロード - teganuma.xlsx

(2019/3/31更新)

 

Teganuma

 

Inbanuma

 

Teganuma_map

 

 

芦ノ湖の淡水魚(xls)→ 「Ashinoko.xls」をダウンロード (2013/11/18更新)

 

Ashinoko

 

風疹報告数(週別)と累積数「fuushin_2012-2014.xls」をダウンロード

 

(2014/03/26現在)

 

Fuushin_20122014

 

 

 

 

twitter用データ(港湾内海水)

 

56号機放水口北側 ダウンロード - 01_56housui_minami.xlsx

 

取水口内北側・物揚場 ダウンロード - 02_shusuikou_monoage.xlsx

 

取水口内南側 ダウンロード - 03_shusuikou_1_minami.xlsx

 

その他港湾内海水 ダウンロード - 04_kouwannai_sonota.xlsx

 

2011年4月港湾内海水 ダウンロード - 05_2011_04_kouwan.xlsx

 

港湾内海水 90Sr/137Cs比、90Sr/H-3比 ダウンロード - 06_srcsh3_ratio.xlsx

 

 

利根川下流部のスズキ 

 

 

豊洲市場の地下水位 「Toyosu_2017.xlsx」をダウンロード

 

北海道の新型コロナウイルス(xlsx)

ダウンロード - e58c97e6b5b7e98193.xlsx

 

 

 

 

2013年3月14日 (木)

底魚の汚染(2013年1月のグラフ)

■ 底魚の最新のグラフ置き場です(そのうち、まとめなおす予定)。

コメントはご自由にどうぞ。

福島沖の底魚は、どの種類も生態学的半減期250日程度で低下しているように見える。

あくまで推論だが、底付近にある放射性Csの拡散速度と、有機物に付着したCsから無機鉱物に結合したCsへの転換速度が、

この速度を決めているのではないだろうか。

130131_makogarei

福島沖のマコガレイ: 昨秋以降はっきりと低下して来ている。

130131_hirame1

福島沖のヒラメ(30km圏外): マコガレイに比べると、非常にゆっくりと低下している

130131_hirame2

福島沖のヒラメ(30km圏内): 30km圏外と同様に、非常にゆっくりと低下している。

130131_babagarei

福島沖のババガレイ: ゆっくりと低下していることがわかる。

原発の北側と南側ではっきりと違いがあるから、ババガレイはあまり移動しないのだろう。

どのエリアでも、ND~10Bq/kg程度の低い値のものがいるのは、ババガレイの特徴。

130131_comonkasube

福島沖のコモンカスベ: どのエリアでもゆっくりと低下していることがわかる。

原発の北側と南側ではっきりと違いがあるから、コモンカスベはあまり移動しないのだろう。

おおまかな推定だが、生態学的半減期は、8ヶ月程度ではないだろうか。

福島沖ではNDが一件もないのが、コモンカスベの特徴。

130131_mebaru1

福島沖のメバル・カサゴ・ソイ(30km圏外): ゆっくり低下しているとはいえ、いわき市ではまだまだ高い。

沖合い40km以遠の深海で獲れるユメカサゴ(ノドグロ)は、ほとんどND<約15Bq/kg となっている。

130131_mebaru2

福島沖のメバル・カサゴ・ソイ(30km圏外): このエリアではまだほとんどが100Bq/kg以上だが、

それでもゆっくりと低下していることがわかる。

1F港湾内のメバル・ソイは桁違いに高い。

130131_ainame1_2

福島沖のアイナメ(30km圏外): ゆっくり低下している。

130131_ainame2

福島沖のアイナメ(30km圏内): やはりゆっくりと低下している。

1F港湾内のアイナメは桁違いに高い。

130131_donko

福島沖のエゾイソアイナメ(ドンコ): 底魚の中では低下が早い。

福島沖のエゾイソアイナメのCs濃度の生態学的半減期は、100~150日程度だろうか。

(30km圏内の調査が少ないので注意。)

【ヒラメ】 東電による20km調査(2013/7/17公表分まで)

130717_hirame_20km

データpdf→ 「130717_hirame_20km.pdf」をダウンロード

【ババガレイ】 東電による20km調査(2013/7/17公表分まで)

130717_babagarei_20km

データpdf→ 「130717_babagarei_20km.pdf」をダウンロード

【マコガレイ】 東電による20km調査(2013/7/17公表分まで)

130717_makogarei_20km

データpdf→ 「130717_makogarei_20km.pdf」をダウンロード

【コモンカスベ】 東電による20km調査(2013/7/17公表分まで)

130717_komonkasube_20km

データpdf→ 「130717_komon-kasube_20km.pdf」をダウンロード

【アイナメ 東電による20km調査(2013/7/17公表分まで)

130717_ainame_20km

データpdf→ 「130717_ainame_20km.pdf」をダウンロード

【メバル・カサゴ・ソイ】 東電による20km調査(2013/7/17公表分まで)

130717_mebaru_20km

データpdf→ 「130717_mebaru_20km.pdf」をダウンロード

20km圏の水産物の検査結果(xls)「suisan_20km.xls」をダウンロード (2013/7/17公表分まで)(東京電力による)

20km圏の水産物のAg-110mとSr-90濃度(pdf) → 「130531_Ag_Sr_20km.pdf」をダウンロード (2013/5/31東電公表分まで)

130314_chuzenji

中禅寺湖の淡水魚: マス類はなかなか低下していない。

130315_watarasegawa_graph

渡良瀬川上流(日光市足尾)採取のイワナとヤマメ。

イワナとヤマメではっきり違いがあるが、これは、ヤマメ成魚の放流のためかもしれない。

130315_watarasegawa

渡良瀬川上流(日光市足尾)採取のイワナとヤマメ(一覧表、2013/3/14公表まで)。

_

採取地点マップ

Iwana_yamame_abukuma

阿武隈水系(福島県内)のイワナ・ヤマメ中のセシウム濃度

130331_agatsuma1

130331_agatsuma2

吾妻川流域の淡水魚の放射能濃度 (同上pdf→ 「130331_agatsuma.pdf」をダウンロード 

今でも100Bq/kgを超えるのは、四万川流域と榛名湖。

ヤマメよりイワナが高そうにも見えるが、せいぜい2倍程度の違いではないだろうか。

2012年11月 9日 (金)

底魚の汚染はなかなか低下しない。:グラフで見る水産物の放射能汚染(その6b)9/30公表分まで

Radioactive cesium activity concentration in marine products after Fukushima nuclear disaster (6b) ~2012/9/30

Keyword : 水産物 海産物 魚貝 放射能 放射性セシウム 汚染 検査 結果 まとめ 地図 グラフ

121015_misujiyama

Photo: Misuji-yama (821m), Izu, Japan   三筋山(821)山頂。遠方は伊豆大島

回遊魚・浮魚は、こちらのエントリー (書きかけ)にあります。

■ もう少し追加する予定ですが、コメントはご自由にどうぞ。

■ 商用目的・商用サイトを除き、図表の無断引用・転載はご自由にどうぞ。
  (但し出典を明記のこと。なお説明の追記など以外の無断改変は厳禁です。)

最近の重要な公表情報

☆ 3/27 東電 「20km圏の魚介類」

☆ 3/15 「放射性物質のモニタリングと海洋生物への以降に関する調査・研究」

☆ 3/15 東電 「20km圏の魚介類」 (1F港湾のアイナメで最高74万Bq/kg)

☆ 3/1 togetter 「第1原発港湾の防波堤は、魚のすり抜けが可能です。」

☆ 2/28 東電 「20km圏の魚介類」 (1F港湾のアイナメで最高51万Bq/kg、Ag-110m、Srあり)

  2/28 東電 「20km圏の魚介類(2月分までまとめ、港湾内かご漁)」

  2/28 東電 「20km圏内の魚介類調査報告(10月~12月採取分)」

  20km圏のアイナメのグラフ→ 「20km_ainame.jpg」をダウンロード

  20km圏のメバル・カサゴ・ソイのグラフ→ 「20km_mebaru.jpg」をダウンロード

☆ 2/20 水産総合研究センター 「第10回成果発表会 講演要旨」

☆ 2/8 東電 「20km圏の魚介類」 (1F港湾内あり)

☆ 1/19 「東京電力福島第一原子力発電所事故における環境モニタリングと線量評価国際シンポジウム」講演論文集

  「福島沖の海生生物の放射能濃度」  http://twitpic.com/bx04mn

  「阿武隈川の溶存態放射性セシウム濃度」

☆ 1/18 福島県水試 「原発港内において、高濃度の放射性セシウムがムラソイから検出されたことについて」
第一原発港内において高濃度汚染水に接触していたことが要因と推測される。

☆ 1/18 東電 「20km圏の魚介類」 (1F港湾内で、最高254,000Bq/kgのムラソイ)

☆ 1/18 東電公表分まで 「20km圏の魚介類の検査結果まとめ(xls)」

☆ 12/28 福島県水試 「魚介類の餌料生物等の放射性セシウム濃度(pdf)」

  上記の一覧表(xls)→ 「121228_bait.xls」をダウンロード

☆ 12/27 東電 「20km圏の魚介類」

☆ 12/14 東電 「20km圏の魚介類」

☆ 12/13更新 水産庁 「水産物の放射性物質調査について(概要)」

☆ 12/6 福島県水試 「研究成果についてのポスター報告」(末尾)

☆ 11/30 東電 「20km圏の魚介類」 (カニのAg-110mが18検体、100Bq/kg超の魚のSr-90が3検体)

☆ 11/26 東電 「20km圏の魚介類まとめ、高セシウム濃度アイナメ採取に係る追加調査結果」 (11/27一部訂正あり)

☆ 11/21 文科省 「東京湾の海水(10/16採取)」 「東京湾の海底土(10/16採取)」

☆ 11/16 JAEA 「海底堆積物中の放射性セシウム濃度の変動要因を解明」
  現在では海底堆積物の放射性セシウムの約8割が鉱物質に強く結合し、約2割が有機物に含まれている。
  この有機物に含まれる分が、まだ微生物を経て底魚に取り込まれているのだろう。

☆ ↓ により更新 「水生生物中の放射性ストロンチウム分析結果とSr/Cs比(xls)」

☆ 11/16 環境省 「水生生物モニタリング調査(春調査)」

☆ 11/9報道 「高濃度に放射性セシウムで汚染された魚類の汚染源・汚染経路の解明のための緊急調査研究」
  (総合科学技術会議)

☆9/26 文科省 「平成23年度 海洋環境放射能総合評価事業調査結果」

  海産生物資料まとめ(pdf)→ 「H23kaiyou.pdf」をダウンロード

☆ 9/1 添盛、他 「東京湾底質における放射性セシウムの濃度変化に関する研究」 (日本地球化学会)
  深掘では海流の影響を受けにくく、放射性物質を吸着した粒子が移動しにくい一方で、
  平場から移動してきた粒子を深堀が集積する。

☆ 8/16更新 福島県水試 「魚介類の飼料生物等の放射性セシウム濃度(pdf)」

☆ 7/2 環境省 「水生生物モニタリング調査(H23年度冬調査)」
  調査結果一覧(pdf/xls)には、各調査地点の水質、底質の134Cs, 137Cs, 90Sr濃度や、
  魚の胃内容物なども掲載されています。

1. Danraku_bar_2

   目次、概説、エリア区分

  1. 目次、概説、エリア区分

  2. 福島沖のウニ

  3. ヒラメ

  4. 大型カレイ(マコガレイイシガレイババガレイ

  5. 中~小型カレイ(ミギガレイヤナギムシガレイ

  6. シタビラメ(アカシタビラメ・クロウシノシタ

  7. エイ(コモンカスベ

  8. アナゴ

  9. サブロウ

  10. メバル・カサゴ・ソイホウボウ・カナガシラコチケムシカジカ

  11. アイナメエゾイソアイナメ(ドンコ)ニベシログチ(イシモチ)

  12. クロダイマダイ・チダイマトウダイ・カガミダイ

  13. フグカワハギ・ウマヅラハギ

  14. マダラスケトウダラ

  15. アンコウアオメエソ(メヒカリ)

  16. キンメダイ・キチジ(キンキ)・アカムツ(ノドグロ)

  17. スズキボラ

  18. サメ

  19. 海底土の汚染をどうみるか(予定

  20. 参考データ(海域の警戒区域の推移、福島沖の試験操業など)

  21. 淡水魚(暫定置き場)

概説

・ 表層~中層を回遊する魚、イカやタコ、貝類、甲殻類、海藻などの放射能汚染は、
  すでに終息したか、低い値まで低下しています。(これらについては、別のエントリーで扱う予定。)

・ 一方、底魚、根魚、スズキなどについては、依然として横ばい状態が続いていますが、
  茨城沖では低下しているものも見られます。

・ 原発20km圏内の、太田川1km沖採取のアイナメから25,800Bq/kgのものが見つかり。
  周辺のアイナメをたくさん調査したが、最高でも1,350Bq/kgでした。

  何らかのホットスポットがあるのかもしれませんが、いまのところ海底土の調査からも
  はっきりしたことは判っていません。

・ 東京湾の水産物については、2012/7/5採取のスズキ53Bq/kgの一件を除くと、
  高い値は全く出ていませんし、数値が上昇する気配もありません。

・ クロダイの汚染状況などから、仙台湾奥部には、ホットスポットがあると思われますが、
  仙台湾の調査は少なく、詳しい状況はわかっていません。

・ 金華山以北については、マダラを除き、魚の汚染はごく低いです。
  しかし、ヒラメなど、長距離移動をする魚については、数10Bq/kgの検出も見られます。

・ 底魚でも、キンメダイ、キチジ(キンキ)、アカムツ(ノドグロ)などの深海に住む魚の汚染は低いです。

  また、マダイ、マトウダイなどやや深い海に住む根魚の汚染は低下しています。

・ 底魚類にとって、植物プランクトンよりも底生微細藻類が重要な一次生産者であるという知見
  (中央水産研究所 「相模湾沿岸砂浜域における底魚類の食物連鎖」 )があります。
  おそらく、底魚だけ汚染が続くのは、海底の有機物→底生微細藻類→底魚 の循環があるのに対し、
  浮魚の場合は、海水→植物プランクトン→浮魚 の循環には、既に放射性セシウムは
  僅かしか含まれないためでしょう。

・ 淡水魚の汚染はなかなか低下しないと予想されています。
  (これについては、別のエントリーで扱う予定。)

エリア区分

今回は、下図のようにエリア分けを行っている

Fish_hanrei_1210

・ 前回からの変更点は、「20km圏」が加わったことと、
 「20~30km圏」をドーナツ状の範囲に設定しなおした点である。

・ 警戒区域の縮小に伴う、調査エリアの変遷については、後ろのほうに記載があります。
 (データの連続性に注意が必要。)

・ 茨城県の自粛の区分は3海域(北部:北茨城市~日立市沖、県央部:東海村~大洗町沖、
 南部:鉾田市~神栖市沖)だが、この区分とは一致しない。

2. Danraku_bar_2

   福島沖のウニ(2/4更新

グラフはクリックで拡大します(以下同じ)

130131_uni_graph

いわき市南部のキタムラサキウニはだいぶ下がって来た。

いわき市北部が下げ止まっているのか、単にバラツキの問題なのかは何とも言えない感じ。

121226_uni_graph

ここにきて、いわき沿岸のウニは下げ止まったようにも見える。今後の推移を見守りたい。

121031_uni_graph

いわき市でも、沼ノ内以南のウニは30~40Bq/kgくらいまで下がってきたが、
いわき市四倉以北~広野沖にかけてのウニの放射性セシウム濃度はまだまだ高く、
10Bq/kg程度まで下がるのは、来春以降だと予想される。
(注:原発20km圏でのウニの調査は1件も行われていない。)

ウニが餌生物の指標になるとすれば、底魚の汚染が下がるのも来春ごろになるだろう。

いわき市沖では、四倉以北で餌生物の汚染が高くなっていると思われる。それは、
「餌料生物の調査結果」 (8/16福島県水産試験場)の多毛類の数値などからも推察できる。

3. Danraku_bar_2

   ヒラメ

【ヒラメ】 カレイ亜目・ヒラメ科

flounder / Bastard halibut (Paralichthys olivaceus)

ヒラメは底魚を代表する魚で、検査例も多くある。(下図:全海域)

120930_hirame_graph_00

ヒラメの検査結果一覧(pdf)「120930_hirame.pdf」をダウンロード

下図: 宮城以北

120930_hirame_graph_01

仙台湾のヒラメは30~60Bq/kg程度あり、低下傾向は見られない。

2012/5/30に、仙台湾(金華山以南)のヒラメに、政府の出荷制限の指示が出された。(2012/11/9現在継続中)

金華山以北でも、10~30Bq/kg程度のヒラメが検出されるのは、ヒラメが比較的長距離移動する
ためのようだ。

青森沖のヒラメは、春先まではせいぜい5Bq/kg程度だったが、今夏以降は20Bq/kg程度の
ものも出るようになった。

下図: 福島県沖、1F原発30km圏の外側

120930_hirame_graph_02

福島沖(30km圏外)では、1,000Bq/kgを超えるようなものは出なくなったが、
はっきりした低下傾向は認められない。

下図: 1F原発の30km圏内

120930_hirame_graph_03

4月から20km圏内の調査が始まったが、20~30km圏内とさほど変わらなかった。
こちらも1,000Bq/kgを超えるようなものは出なくなったが、はっきりした低下傾向は見られない。

下図: 茨城以南

120930_hirame_graph_04

大洗以南では、ゆっくり低下しているようだが、ひたちなか市以北では、10~40Bq/kg程度あり、
はっきり低下したと言えるかどうかは微妙。

しかし5月以降、茨城沖のヒラメは全て50Bq/kg以下におさまっている。

茨城沖のヒラメは、2012/3/29から出荷販売が自粛となり、4/17に政府の出荷制限の指示が出された。
5ヶ月後の2012/8/30に県北部を除く海域(日立市川尻沖(北緯36度38分)以南)で、出荷制限が解除されている。
(11/9現在、県北部の国の出荷制限は継続中。)

4. Danraku_bar_2

   大型カレイ

【マコガレイ】  カレイ目・カレイ科

Marbled sole (Pleuronectes yokohamae)

マコガレイは比較的浅い海域に棲むカレイ。

大型カレイ類の放射性セシウム濃度はヒラメより高めだが、ヒラメに比べると移動しないようだ。

カレイのほうが汚染が高い理由の一つは、ヒラメが中層でも採餌するのに対し、カレイは
ほとんど底にいるためだと思われる。

下図: 全海域

120930_makogarei_graph0

マコガレイの検査結果一覧(pdf)「120930_makogarei.pdf」をダウンロード

下図: 福島以北、1F原発30km圏の外側

120930_makogarei_graph1

金華山以北のマコガレイは、2012年夏以降、NDまで下がった。
仙台湾沖のマコガレイも20Bq/kg程度に低下している。

原発北側の南相馬市~新地町(30km圏外)でも、50Bq/kg程度まで低下している。

いわき市沖の汚染は100~500Bq/kgと高く、なかなか下がる気配が見えない。

下図: 1F原発の30km圏内

120930_makogarei_graph2

30km圏内のマコガレイの汚染はまだまだ高いが、原発の北側では、南側より明らかに
汚染が低い。

下図: 茨城以南

120930_makogarei_graph3

茨城沖ではマコガレイの汚染は低下して来ており、日立市沖では20Bq/kg程度まで低下している。

茨城県沖のマコガレイは、2012/3/27から出荷販売が自粛となったが、
 5/15に、県全域での出荷販売自粛が解除。
 5/24に、県北部で生産自粛。
 6/27に、県北部の生産自粛が解除。
 8/24に、県北部で再び生産自粛。
 10/10に、県北部の生産自粛が解除。
という、ややこしい制限が行われた。

【イシガレイ】  カレイ目・カレイ科

stone flounder (Kareius bicoloratus)

イシガレイもマコガレイ同様、比較的浅い海域に棲むカレイ。大型カレイ類の放射性セシウム濃度は高い。

下図: 全海域

120930_ishigarei_graph0

イシガレイの検査結果一覧(pdf)「120930_ishigarei.pdf」をダウンロード

下図: 福島以北

120930_ishigarei_graph1

金華山以北ではごく低い。 仙台湾では20~50Bq/kg程度で低下が見られない。

原発北側の南相馬~新地町(30km圏外)では、イシガレイの汚染ははっきり低下しているが、
いわき市沖では100~600Bq/kg程度あり低下傾向が見られない。

下図: 茨城以南

120930_ishigarei_graph2

日立市以南のイシガレイは、だいぶ低下して来ている。

2012/3/22に、県央部で、イシガレイが生産自粛となった。
2012/5/11に、県全域で、イシガレイが出荷販売自粛となった。
2012/7/5に、政府の出荷制限の指示が出された。(11/9現在も継続中)

【ババガレイ(ナメタガレイ)】  カレイ目・カレイ科

Slime flounder / Slime sole (Mlicrostomus achne)

福島沖の原発南側のババガレイの汚染度は非常に高い。

一方で、福島沖でもNDのものが多数見つかるのがババガレイの特徴である。

ババガレイは浅い場所からやや深い場所まで幅広く分布する。
NDのものは、深場から移動して来た個体かもしれない。(はっきりしたことは不明。)

下図: 全海域

120930_babagarei_graph0

ババガレイの検査結果一覧(pdf)「120930_babagarei.pdf」をダウンロード

下図: 福島以北

120930_babagarei_graph1

仙台湾以北ではババガレイの汚染は低く、金華山以北ではすでにNDになっている。

福島沖でも、原発北側の南相馬~新地(30km圏外)のエリアではだいぶ低下して来ている。

しかし、いわき市~原発300km圏のババガレイは以前として高く、低下傾向が見られない。

下図: 茨城以南

120930_babagarei_graph2

日立市以南では、ババガレイの汚染は10Bq/kg程度まで低下しているようだ。

2012/3/26に、県北部で、ババガレイが生産自粛となった。
2012/3/28に、県全域で、ババガレイが出荷販売自粛となった。
2012/5/15に、県全域で、ババガレイの出荷販売自粛が解除された。

5. Danraku_bar_2

中~小型カレイ

【ミギガレイ(ニクモチ)】  カレイ目・カレイ科

Rikuzen sole (Dexistes rikuzenius)

最大でも25cm程度の中~小型カレイだが、放射性セシウム汚染が特異的に低い

底生生物を主に食べるようだが、汚染が低い理由は解明されていない。

ミギガレイは、いわき市沖で10~30Bq/kg、茨城沖で1~10Bq/kg程度しかない。
但し、昨年からずっとその程度で横ばいとなっている。

120930_migigarei_graph

ミギガレイの検査結果一覧(pdf)「120930_migigarei.pdf」をダウンロード

【ヤナギムシガレイ】  カレイ目・カレイ科

willowy flounder (Tanakius kitaharai)

小型カレイ類の汚染は、大型カレイにくらべるとだいぶ低い。

下図: 全海域

120930_yanagi_graph0

ヤナギムシガレイの検査結果一覧(pdf)「120930_yanagi.pdf」をダウンロード

下図: 福島以北

120930_yanagi_graph1

ヤナギムシガレイの放射性セシウム濃度は、福島沖でも最高で100Bq/kgを超えていない。

福島沖では、平均値は下がっているようだが、数10Bq/kgのものは出続けている。

下図: 茨城以南

120930_yanagi_graph2

茨城沖のヤナギムシガレイは、このところ20Bq/kgを超すようなものは見つかっていない。

茨城県では、2012/5/24に、県北部のヤナギムシガレイが、生産自粛、7/17に、自粛解除となった。

6. Danraku_bar_2

   シタビラメ

【シタビラメ】 カレイ目・ウシノシタ科

sole / red tonguesole (Cynoglossus joyneri) : アカシタビラメ
black cow-tongue (Paraplagusia japonica) : クロウシノシタ

シタビラメの汚染は、ヒラメや大型カレイよりは低い。

しかし、いわき市沖では今でも100~200Bq/kg程度あり、なかなか低下しない。

茨城沖ではこのところかなり低くなったかもしれない。(調査が少ないので確実ではない。)

茨城県では、県北部のアカシタビラメが、2012/3/27から生産自粛となった。
(2012/11/9現在、継続中)

宮城県では、1件しか調査がない。

120930_shitabirame_graph

アカシタビラメ・クロウシノシタの検査結果一覧(pdf)→ 「120930_shitabirame.pdf」をダウンロード

7. Danraku_bar_2

   エイ

【コモンカスベ】 エイ目・ガンギエイ科

common skete (Raja kenojei)

沿岸の砂地に棲む小型のエイ。

コモンカスベ(Youtube)→ http://youtu.be/AgufqrqgBXw

下図: 全海域

120930_kasube_graph_0

コモンカスベの検査結果一覧(pdf)「120930_kasube.pdf」をダウンロード

下図: 福島以北、1F原発30km圏の外側

120930_kasube_graph_1

金華山以北のコモンカスベはせいぜい5Bq/kg程度だが、仙台湾では50Bq/kg程度ある。

福島沖の30km圏外では、1000Bq/kgを超えるものは出なくなったが、はっきりした低下傾向は
認められない。

下図: 1F原発の30km圏内

120930_kasube_graph_2

30km圏内のコモンカスベは、ほとんどが100Bq/kg以上で低い値のものは1例もない。

原発の北側と南側で、かなりはっきりした差が見られるのは、コモンカスベがあまり移動しない
ことを示しているのだろう

下図: 茨城以南

120930_kasube_graph_3

茨城沖でも、コモンカスベの汚染はなかなか下がらない。(理由はわからない。)

2012/3/27から、茨城県全域でコモンカスベは出荷販売が自粛となった。
その後6/1に、政府による出荷制限の指示が出された。(2012/11/9現在も継続中。)

8. Danraku_bar_2

   アナゴ

【アナゴ】 ウナギ目・アナゴ科 

conger eel

1F原発港湾内のアナゴでは、15,500Bq/kgという高い値のものが見つかったが、
アナゴは底魚の中では、それほど汚染が高い魚ではない。

下図: 全海域

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アナゴの検査結果一覧(pdf)「120930_anago.pdf」をダウンロード 

下図: 福島以北

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金華山以北のアナゴの汚染はごく低い。 仙台湾でも最高30Bq/kg程度におさまっている。

福島沖のアナゴは数10~300Bq/kg程度あり、なかなか低下しない。

下図: 茨城以南

120930_anago_graph2

茨城沖のアナゴは最高でも43Bq/kg程度だが、しかしなかなか汚染は下がらないようだ。

東京湾のアナゴの数値はごく低い。

9. Danraku_bar_2

   サブロウ

【サブロウ】 スズキ目・カジカ亜目・テングトクビレ科 

Poacher (Occella iburia)

たぶん、最も高い汚染が見つかっている魚。(いわき市北部採取の平均値で評価した場合)

最大で体長25cmくらいの小ぶりな魚なのだが、なぜこんなに高い値なのかは謎。

ヤセサブロウウオ(近縁種)(Youtube)→ http://youtu.be/ZXLeYQm4NQY

120930_saburou

10. Danraku_bar_2

    メバル・カサゴ・ソイ、 ホウボウ・カナガシラ、 コチ、 ケムシカジカ

【メバル・カサゴ・ソイ】 カサゴ目・フサカサゴ科

rockfish and scoorpionfish

アイナメ、コモンカスベ同様、現在も非常に高い値が検出されている魚。こちらは岩礁帯の藻場に生息する。

下図: 全海域

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メバル・カサゴ・ソイの検査結果一覧(pdf)「120930_mebaru.pdf」をダウンロード

下図: 宮城以北

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金華山以北の数値はほとんどは低いが、1/20金華山沖(クロソイ)230Bq/kg、5/29釜石市沖
(クロソイ)400Bq/kgの2例だけ飛び抜けて高い。まれに長距離移動する個体があるのだろう。
青森(東通村)沖でも39Bq/kgのウスメバルが見つかっている。

岩手県では、2012/6/1から、釜石海域のクロソイの水揚げを自粛、7/1に解除した。

下図: 福島沖、1F原発30km圏の外側

120930_mebaru_graph2

いわき市沖では、1000Bq/kgを超えるようなものは出なくなったが、100~400Bq/kg程度あり
なかなか下がらない。

下図: 1F原発の30km圏内

120930_mebaru_graph3

原発30km圏内では、まだ1000Bq/kgを超すようなものが出続けており、なかなか下がる気配が見えない。

2012/10/10 1F港湾内採取のクロソイ2個体は、1,760Bq/kgと2,230Bq/kgだった。

下図: 茨城以南

120930_mebaru_graph4

茨城沖でも、あまり下がっていないように見えるが、夏以降調査が少なくてはっきりしない。

茨城沖では、2012/3/27から、県央部のクロメバルが生産自粛。(2012/11/9現在継続中)
2012/3/30から、県央部のシロメバルが生産自粛。
2012/4/9から、県全域のシロメバルが出荷販売自粛。(2012/11/9現在継続中)
2012/4/13に、県全域のシロメバルに政府の出荷制限指示。(2012/11/9現在継続中)
2012/5/15から。県北部のクロソイ、県南部のキツネメバルが生産自粛。(2012/11/9現在継続中)

【ホウボウ・カナガシラ】 カサゴ目・コチ亜目・ホウボウ科

red gurnard (Chelidonichthys spinosus) : ホウボウ
red-whiskered bulbul (Lepidotrigla microptera) : カナガシラ

ホウボウ、カナガシラは水深100-200mのやや深い海底に棲息する。

ホウボウの歩く姿(Yooutube)→ http://youtu.be/Ks4OUyBxu6w
カナガシラの歩く姿(Youtube)→ http://youtu.be/kpAKdd--TMY

下図: 全海域

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ホウボウ・カナガシラの検査結果一覧(pdf)「120930_houbou.pdf」をダウンロード

下図: 福島以北

120930_houbou_graph1

いわき市~原発30km圏内のホウボウ・カナガシラは、昨年よりだいぶ低下したが、
現在でも数十~100Bq/kg程度ある。

ホウボウ、カナガシラは、岩手・宮城沖でも20~30Bq/kg程度のものが今でも見つかっており、
一覧表を見てもらうと判るが、ND率が低いのも特徴である。

ホウボウ、カナガシラが長距離移動するためではないかと思われるが、はっきりしたことはわかっていない。

下図: 茨城以南

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茨城沖のホウボウ・カナガシラは、ゆっくり低下しているようだが、それでも日立市沖では
今でも30~40Bq/kg程度ある。

茨城県では、2012/3/27から、県北部と県南部のホウボウが、生産自粛となった。
また、2012/4/23から、県北部のカナガシラが生産自粛となった。
県南部のホウボウは、5/15に、自粛が解除された。
県北部のカナガシラは、6/5に自粛が解除された。
県北部のホウボウは、9/6に、自粛が解除された。

【マゴチ・メゴチ】 カサゴ目・コチ亜目・コチ科

flathead

マゴチ、メゴチは沿岸の浅い砂泥底に棲息する。おそらくこのため、近縁のホウボウ・カナガシラ
に比べ、汚染が高い。

マゴチ(Youtube)→ http://youtu.be/8zfROfB8

いわき市~原発30km圏では、100~500Bq/kg程度あり、汚染の下がる気配が見えない。

茨城沖や仙台湾では、20~50Bq/kg程度となっている。 調査数が少なく、傾向はわからない。

茨城県では、2012/6/8から、県央部のマゴチが生産自粛となったが、7/31に解除された。

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マゴチ・メゴチの検査結果一覧(pdf)「120930_kochi.pdf」をダウンロード

【ケムシカジカ】 カサゴ目・ケムシカジカ科

Sea raven (Hemitripterus villosus)  (英名の raven は ワタリガラス)

やや深い岩礁と周辺の砂底に棲息する魚。

ケムシカジカの捕食(Youtube)→ http://youtu.be/VL5n1YAEMgk

原発30km圏内ではまだまだ高いが、福島沖でも30km圏外では数十Bq/kg程度まで下がってきた。

仙台湾では10~40Bq/kg程度。 金華山以北では低い。

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ケムシカジカ・その他カジカの検査結果一覧(pdf)「120930_kemushikajika.pdf」をダウンロード

11. Danraku_bar_2

    アイナメ、 エゾイソアイナメ、 ニベ、 シログチ(イシモチ)

【アイナメ】 カサゴ目・アイナメ科

greenlings (Hexagrammos otakii)

比較的浅い岩礁に棲息する魚。メバル、コモンカスベと並んで非常に高い値が出続けている。

卵を守るアイナメの父(Youtube 5分)→ http://youtu.be/NTtJ_b4MeEI

下図: 全海域

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アイナメの検査結果一覧(pdf)「120930_ainame.pdf」をダウンロード

下図: 福島県以北、1F原発30km圏の外側

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仙台湾のアイナメは数十Bq/kg程度あるが、金華山以北のアイナメの汚染は昨年からずっと
低く、現在ではほとんどNDとなっている。

原発北側の南相馬~新地沖(30km圏外)のアイナメは100Bq/kg以下に下がっているが、
原発南側のいわき市沖では、アイナメの汚染はまだまだ高く、なかなか下がらない。

下図: 1F原発の30km圏内

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20km圏内の太田川沖1km採取で25800Bq/kgのアイナメが見つかり、同じ場所で多数のアイナメを
調査したが、最高でも1,350Bq/kgだった。何らかのホットスポットがあるのかもしれないが、
詳しいことは謎のままである。

また、太田川1km沖周辺2km四方の海底土16地点を調査したが(11/2東電公表 http://t.co/NuVIsmPX
最高640Bq/kg、最低18Bq/kgとかなりバラツキのある結果となった。

沿岸に近い場所では、海底地形によりムラが出やすいのだろうけど、底質の性状(粒径など)
も公表して欲しいものだ。

尚、25,800Bq/kgは、2匹のアイナメをまとめて測定した数値で、報道(8/21 NHK)によると
1匹は38,000Bq/kg、もう1匹が9,300Bq/kgとされている。

11/26 東電 「20km圏の魚介類まとめ、高セシウム濃度アイナメ採取に係る追加調査結果」 によると、
高くなった原因について
水産総合研究センターによると福島県沖のアイナメでは生態学的半減期が300日を超える可能性がある
ためと推定しているが、この出典は不明。(但し、あくまでもひとつの「可能性」としている。)

下図: 茨城以南

120930_ainame_graph_3

日立~ひたちなか沖のアイナメはまだ30Bq/kg程度あるが、ゆっくりと低下している。

北茨城沖の調査があまりないが、もっと調査したら100Bq/kgを超えるものが見つかる可能性も
あると思う。

茨城県では、2012/3/27から、県央部のアイナメが生産自粛。
2012/4/17から、県北部のアイナメが生産自粛。(2012/11/9時点で継続中)
2012/5/18に、県央部のアイナメの自粛が解除。

【エゾイソアイナメ(ドンコ)】 タラ目・チゴダラ科

morid fish (Physiculus maximowiczi)

比較的浅い岩礁と周辺の砂底に棲息する魚。アイナメとは全くの別種。

下図: 全海域

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エゾイソアイナメ(ドンコ)の検査結果一覧(pdf)「120930_donko.pdf」をダウンロード

下図: 福島以北

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いわき市沖のエゾイソアイナメの放射性セシウムは、今夏以降、100Bq/kg以下に急減してた。
(10月以降も、100Bq/kg以上のものは出ていない。(11/13公表分まで))

10/10採取の4,200Bq/kgは、第1原発港湾内(物揚場)採取のものなので例外的。

宮城以北のエゾイソアイナメは、今年は全て10Bq/kg以下におさまっていて低い。

下図: 茨城以南

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日立以南のエゾイソアイナメは、10Bq/kg程度まで低下している。

ドンコ(エゾイソアイナメ)は、茨城から三陸にかけての冬の味覚だが、今シーズンはかなりリスクは低くなっている。

茨城県では、2011/9/5に、県全域でエゾイソアイナメの出荷・販売が自粛となった。
2011/7/4に、県南部のエゾイソアイナメの出荷・販売自粛が解除された。
(2012/11/9現在、県北部、県央部の出荷・販売自粛は継続中。)

尚、茨城県で、暫定規制値(500Bq/kg)に基づいて自粛となった海産物は、コウナゴとエゾイソアイナメの2種だけ。

【ニベ】 スズキ目・ニベ科 

drumfish / nibe croaker (Nibea mitsukurii) : ニベ

ニベの汚染はやや高い。低下してきたとはいえ現在でも、原発30km圏では100Bq/kg程度ある。

近縁種で、生息域もそれほど違わないシログチ(イシモチ)の数値は全般に低く、明らかに差がある。
しかし、この理由は良くわかっていない。

ゆっくりと低下傾向にはあるので、茨城沖のニベは50Bq/kg以下に下がっているかもしれない。

茨城県沖のニベは、2012/3/27から、県全域で出荷販売が自粛となった。(2012/11/14現在継続中)

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ニベの検査結果一覧(pdf)「120930_nibe.pdf」をダウンロード

【シログチ(イシモチ)】 スズキ目・ニベ科 

drumfish / white croaker (Pennahia argentata) : シログチ(イシモチ)

シログチ(イシモチ)の汚染はニベに比べ明らかに低いが、原発20-30km圏の調査が少ないので、
正確な比較は難しい。

原発30km圏ではまだ100Bq/kgくらいありそうだが、仙台湾や茨城沖では20Bq/kg程度まで低下している。

東京湾のシログチ(イシモチ)は 5Bq/kg程度あったが、現在はNDになっている。

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シログチ(イシモチ)の検査結果一覧(pdf)「120930_ishimochi.pdf」をダウンロード

12. Danraku_bar_2

    クロダイ、 マダイ・チダイ

【クロダイ】  スズキ目・タイ科

Japanese black porgy (Acanthopagrus schlegelii) 

クロダイの汚染は、マダイ・チダイに比べると高い。これは生息域がほかの2種より浅いためかもしれない。

また、クロダイは悪食と言われるが、そのような何でも食べる魚は汚染が高くなりやすいだろう。
同様のことは、マダラについても言えるのかもしれない。(タラは「たらふく食べる」の語源)

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クロダイの検査結果一覧(pdf)「121102_kurodai_.pdf」をダウンロード

仙台湾で高い数値のクロダイが多数見つかっているのは、仙台湾奥部にホットスポットがある
ためだと思われるが、詳しいことはわかっていない。

宮城県では、2012/6/28に、仙台湾(金華山以南)のクロダイに、政府の出荷制限指示が出された。

10/31に、鮫浦湾(牡鹿半島の東面、太平洋側)沖採取のクロダイから290Bq/kgが検出され、
2012/11/6に、宮城県全域のクロダイに、政府の出荷制限指示が出された。

2012/5/29に、茨城県北部のクロダイが生産自粛となった。(2012/11/9現在継続中)

【マダイ・チダイ】  スズキ目・タイ科

tai / red sea bream (Pagrus major) : マダイ
crimson sea bream (Evynnis japonica) : チダイ

マダイ・チダイはこれまで100Bq/kg超えは見つかっていない。

原発20km圏内では20~50Bq/kg程度あるが、福島沖でも大部分は10~20Bq/kg程度まで
下がってきているようだ。

仙台湾でも10~20Bq/kg程度。 金華山以北ではおおむね10Bq/kg以下だが、岩手・宮城沖でも
40Bq/kg、56Bq/kgといったものも見つかっており、長距離移動する個体もあることが伺える。

茨城沖でもおおむね10Bq/kg以下に下がっている。

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マダイ・チダイの検査結果一覧(pdf)「120930_madai.pdf」をダウンロード

【マトウダイ・カガミダイ】 マトウダイ目・マトウダイ科

John Dory (Zeus faber) : マトウダイ
Dory (Zenopsis nebulosa) : カガミダイ

浅場でも見られる魚だが、マトウダイは水深50~150m位、カガミダイは水深200~300m位が主な生息域。

横になって泳ぐマトウダイ(Youtube 6分)→ http://youtu.be/-SLqETKw21s

2011年秋には、福島県沖ではやや高めで、300 Bq/kg台のものも見つかった。
しかし現在では、20km圏内でも20~60Bq/kg程度となっており、だいぶ低下してきた。

仙台湾では10Bq/kg程度、茨城沖では10~20Bq/kgまで低下している。

しかし、冬場がシーズンなのに調査が途切れたのは解せない。

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マトウダイ・カガミダイの検査結果一覧(pdf)「120930_matoudai.pdf」をダウンロード

13. Danraku_bar_2

    フグ、 カワハギ・ウマヅラハギ

【フグ】 フグ目・フグ科 

puffer fish

下図: 全海域

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フグの検査結果一覧(pdf)「120930_fugu.pdf」をダウンロード

下図: 福島以北

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いわき市沖のフグは100Bq/kg程度で横ばい状態にありそうだ。

仙台湾のフグは下がったようにも見えるが、夏以降調査が少ないのではっきりしない。

宮城県では、2012/5/8に、仙台湾(金華山以南)のヒガンフグに、政府の出荷制限指示が出された。

下図: 茨城以南

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茨城沖のフグの放射性セシウム濃度は、順調に低下しているように見える。

茨城県では、2012/3/27に、県全域のショウサイフグ、コモンフグが出荷販売自粛。
(コモンフグについては2012/11/9現在継続中)
同じく2012/3/27に、県北部のヒガンフグが生産自粛。(2012/11/9現在継続中)
2012/3/30に、県央部のヒガンフグが生産自粛。(2012/11/9現在継続中)
2012/5/15に、県南部のショウサイフグの出荷販売自粛を解除。
2012/5/18に、県央部のショウサイフグの出荷販売自粛を解除。
2012/7/25に、県北部のショウサイフグの出荷販売自粛を解除。

【カワハギ・ウマヅラハギ】 フグ目・カワハギ科 

Thread-sail filefish (Stephanolepis cirrhifer) : カワハギ
Black scraper filefish (Thamnaconus modestus) : ウマヅラハギ

いずれも底から中層にかけて棲息するが、カワハギのほうが浅いところに棲息する。

フグにくらべると汚染がずっと低いのは、フグ(成魚)が魚や甲殻類を主に食べるのに対し、
カワハギやウマヅラハギは動物プランクトン、甲殻類、貝類、多毛類を食べるという
食性の違いによるものだろう。

調査数は少ないたが、これまで最高でも31Bq/kgしかなく、全般に汚染は低い。

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カワハギ・ウマヅラハギの検査結果一覧(pdf)「120930_kawahagi.pdf」をダウンロード

14. Danraku_bar_2

    マダラ、 スケトウダラ

【マダラ】 タラ目・タラ科

Pacific cod (Gadus macrocephalus)

モニタリングされた魚の中で、唯一、マダラだけが三陸~北海道に至るまでの広い海域で
数10~100Bq/kg程度のものが見つかる。

これは福島沖から回遊するためだろうが、福島沖でもマダラの汚染はせいぜい200Bq/kg程度
だから、Csの体内半減期が50日程度だとすれば、マダラは50日くらいで福島から青森まで
回遊していることになる。

今の出荷制限の制度は、このように広域を移動することを考慮していないから、
全く実態にそぐわない、場当たり的な対応となってしまっている。

もし、100Bq/kg以上のものを全く流通させないことが目的ならば、茨城以北太平洋側の
マダラは全て出荷制限をかけるべきだろう。

逆に、最高でもせいぜい100Bq/kg程度であることを考慮すれば、特例として、マダラに
ついては福島沖以外の出荷制限をかけない方法にしても良いだろう。

これは政治が解決すべき問題だろうけど、全く放置されてしまっている。

下図: 全海域

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マダラの検査結果一覧(pdf)「120930_madara.pdf」をダウンロード

下図: 宮城以北

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宮城県沖のマダラ(1kg以上)は、2012/4/1から、金華山沖と亘理沖の浅い海域で出荷自粛。
2012/4/18から、仙台湾全域で出荷自粛。
2012/5/2に、宮城県沖の全域で、政府の出荷制限指示が出された。

青森県太平洋海域のマダラは、2012/6/19に出荷自粛、7/25に出荷自粛解除。
しかし、2012/8/9に再び出荷自粛、8/27に政府による出荷制限の指示が出された。
2012/10/31に、政府の出荷制限の指示は解除された。

北海道では、2012/10/9室蘭沖採取のマダラから100Bq/kgが検出された。
(100Bq/kgを超えていないので、制限はかからない。)

下図: 福島沖

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福島沖のマダラは、原発の近くで採取したものでも200Bq/kg程度で、あまり高いものは
見つかっていない。

しかし、沖合40km以遠のマダラからも数十Bq/kgのCsが検出されており、浅い海域と深い海域
の間も移動していることが伺える。

下図: 茨城以南

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茨城では、夏以降調査があまりなかったが、10月以降は(このグラフにはまとめていない)、
また調査が行われている。

茨城県では、2012/3/27から、県全域でマダラの出荷販売が自粛。
2012/5/15に、県央部の出荷販売が解除、県北部・県南部だけの生産自粛となる。
2012/6/8に、県北部の生産自粛が解除された、
県南部でも県の自粛は解除となったが、業界による生産自粛は残った。
2011/10/26に、茨城県全域で出荷が可能に。

2011/11/5北茨城沖採取のマダラから140Bq/kgが検出され、
2012/11/7から、茨城県全域で出荷販売が自粛となった。

寒くなった南下するようになったのかもしれないが、はっきりしない。

茨城~宮城にかけての長期の禁漁により、成長の早いマダラは資源量が増えていると
推定されている。このため、福島海域から周囲に「押し出された」とする説があるが、
2011年の秋から三陸沖で数十Bq/kgのマダラがたくさん見つかっており、押し出されなくとも
もともと移動すると考える方が無理がない。

検査結果の一覧表を見てもらうとわかるが、岩手~北海道沖での放射性セシウムの
「検出率」はかなりある。押し出されることが移動の主因だとすれば、ずっと三陸沖にいる
個体がかなりいるはずだけど、この結果にはそぐわない。

水産庁が北海道で行った説明では「大間のマダラの主群は福島から来たものではない」
としているが、渡島のマダラでもかなりの頻度で数値が出ており、この説明も疑問に思う。

北海道のマダラ( @shanghai_iiさんのツイート

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北海道のマダラ:海域別( @shanghai_iiさんのツイート

Madara_hokkaido2

マダラは漁獲量も多く、底引き網漁の主要な魚種であるため、マダラが禁漁になると、
そもそも底引き網漁の出漁が困難になる、という問題もあるそうだ。

【スケトウダラ】 タラ目・タラ科

Alaska pollack (Theragra chalcogramma)

スケトウダラのサンプルは、マダラよりも明らかに低く、福島沖でも100Bq/kg程度。

宮城以北では、現在は1Bq/kg程度まで低下しており、マダラとの違いは、おそらく、
スケトウダラがあまり遠くに移動しないために生じているのだろう。

茨城県では、4月以降(10月末まで)調査が1件もない。

茨城県では、3/27から、県央部のスケトウダラが生産自粛となる予定だったが、
3/26に実施した検査で下回ったため、自粛は行われていない。

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スケトウダラの検査結果一覧(pdf)「120930_suketou.pdf」をダウンロード

15. Danraku_bar_2

    アンコウ、 アオメエソ(メヒカリ)

【アンコウ アンコウ目・アンコウ科

anglerfish

水深500mくらいまでの深海に棲息する。7~8月は禁漁だが、4~6月も禁漁区が設定

下図: 全海域

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アンコウの検査結果一覧(pdf)「120930_ankou.pdf」をダウンロード

下図: 福島以北

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仙台湾のアンコウは10~30Bq/kg程度。 金華山以北のアンコウの値はごく低い。

福島沖でも、昨年11月以降はアンコウの100Bq/kg超えはない。

下図: 茨城以南

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茨城沖のアンコウの調査は夏以降少なくはっきりしないが、ゆっくり低下しているようだ。

冬場のアンコウ鍋は北茨城の名物だが、せっかくだから、もう少し測って欲しいところだ。

(2013/1/8追記) 茨城沖のアンコウ

130108_ankou

10月以降、県北部・県中部の検査が少ないのは、県北部でうまく獲れていないからだそうだ。

【アオメエソ(メヒカリ) ヒメ目・アオメエソ科

Round Greeneyes (Chlorophthalmus borealis)

Mepikarigazou  (メヒカリはいわき市の魚

生態については、メヒカリの研究者 @n_hirakawa さんの「メヒカリ information」に詳しい。

  「福島県沖では、冬季は深所(200~300m)、春~夏にかけて浅所(100~200m)に移動する」
  「1年を通しほとんどオキアミを食べている」

福島・茨城のメヒカリは、2011年秋以降はゆっくりと低下して、現在では
福島沖で10Bq/kg程度、茨城沖では1~10Bq/kg程度となっている。

3/26北茨城採取のツノナシオキアミは5Bq/kgだったから、
2012年春先の茨城では、「数Bq/kgのオキアミを食べて、10Bq/kg台になっている」状況だったのだろう。

(ちなみに、2012年4月宮城沖採取のツノナシオキアミは、0.5~1Bq/kg程度だった。)

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アオメエソ(メヒカリ)の検査結果一覧(pdf)「120930_mehikari.pdf」をダウンロード

16. Danraku_bar_2

    キンメダイ・キンキ・アカムツ

【キンメダイ・キチジ(キンキ)・アカムツ(ノドグロ)・ムツ 

これらは、大陸棚のやや深いところに棲息する魚だが、何れも、ずっと低い値しか出ていない。

放射性物質の拡散によって、深いところに棲む魚の放射性セシウムが増加する可能性もありそうだが、
いまのところそうした影響は見られない。

但し、銚子沖のキンメダイは、3Bq/kg程度がコンスタントに検出されるようになった。

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キンメダイ、キチジ、アカムツ、ムツの検査結果一覧(pdf)「120930_kinmedai.pdf」をダウンロード

17. Danraku_bar_2

    スズキ、ボラ

【スズキ】 スズキ目・スズキ亜目・スズキ科

Japanese sea perch / Japanese sea bass (Lateolabrax japonicus)

スズキは底魚ではないが、底生の生物も補食する大型魚なので、福島周辺では高い汚染が続いている。

下図: 全海域

120930_suzuki_graph_0

下図: 福島以北

120930_suzuki_graph_1

仙台湾のスズキの汚染はあまり下がらず、なかなか漁が再開できそうにない。

宮城県では、2012/4/12に、金華山以南のスズキに、政府の出荷制限の指示が出された。

2012/10/12金華山以北採取のスズキから110Bq/kgが検出され、
2012/10/25に、宮城県全域のスズキに、政府の出荷制限の指示が出された。(2012/11/9現在継続中)

原発20km圏内採取のスズキの放射性セシウム濃度はかなり高い。

福島沖(20km圏外)では、6月以降調査が少なく、傾向がわからない。

下図: 茨城以南

120930_suzuki_graph_2

茨城沖では低下しているようにも見えるが、夏以降調査が少なくはっきりしない。

東京湾のスズキの汚染は低下傾向にあるが、7/5採取で53Bq/kgというのが1件だけある。
これは、湾外から来たか、川から下った(利根川のスズキは20~50Bq/kg程度ある)もの
だと思うけど、はっきりしたことはわからない。

茨城県では、2012/3/27から、県全域でスズキは出荷販売が自粛。
2012/4/17に、茨城沖のスズキは、政府の出荷制限の指示が出された。(2012/11/9現在継続中)

【ボラ】 ボラ目・ボラ科

Flathead mullet (Mugli cephalus)

河口、内湾の汽水域に棲息するため、セシウム濃度が高くなるかもしれないが、
調査例が僅かしかない。

130226_bora

18. Danraku_bar_2

    サメ

サメの検査結果一覧(pdf)「120930_same.pdf」をダウンロード

【アブラツノザメ】 軟骨魚綱・板鰓亜綱

Spiny dogfish / Piked dogfish (Squalus acanthias) : アブラツノザメ (ツノザメ目・ツノザメ科)

アブラツノザメは青森県でいちばん食べられているそうだ。語源は肝油を採ったため?。
市場魚介類図鑑では「サメの中ではもっとも味がいい」としている。

福島沖のアブラツノザメは10~50Bq/kg程度あるが、宮城以北では1~2Bq/kg程度となっている。

120930_same_graph1

【ホシザメ、ドチザメ、カスザメ】 軟骨魚綱・板鰓亜綱

starspotted smmoth-hound (Mustelus manazo) : ホシザメ (メジロザメ目・ドチザメ科)
Banded houndshark (Triakis scyllium) : ドチザメ(メジロザメ目・ドチザメ科)
Japanese angel shark (Squatina japonica) : カスザメ(カスザメ目・カスザメ科)

ホシザメ、ドチザメは比較的浅いところに棲む小型のサメで、甲殻類などの底生生物を主に食べている。

カスザメはエイのような体型をしていて、沿岸から大陸棚に棲む底生のサメ。

  カスザメ(YouTube)

福島沖では10~数百Bq/kgあり、原発20km圏のドチザメでは1,430Bq/kgのものも見つかっている。

120930_same_graph2

【ヨシキリザメ、アオザメ、ネズミザメ、その他沖合のサメ】 軟骨魚綱・板鰓亜綱

Blue shark (Prionace glauca) : ヨシキリザメ (メジロザメ目・メジロザメ科)
Shortfin mako shark (Isurus oxyrinchus) : アオザメ (ネズミザメ目・ネズミザメ科)
Salmon shark (Lemna ditropis) : ネズミザメ (ネズミザメ目・ネズミザメ科)

サメのヒレはフカヒレに加工されるため、加工場のある気仙沼に多く水揚げされる。

ヨシキリザメは高級な白はんぺんの材料になる。ヨシキリザメの汚染はごく低い。

ネズミザメは、栃木県ではモロ(モウカサメ)と呼ばれてポピュラーな切り身だそうだ。

ネズミザメは、沖合捕獲でも10~40Bq/kg程度ある。
魚食性だが、マダラなどを食べるとやや高くなるのかもしれない。

20km圏(岸から1~4km)捕獲のメジロザメ属(同定が難しい)は、10~100Bq/kg程度ある。
魚食性でも、底魚だけを食べなければ、それほど高い濃度にならないのだろう。

その他の沖合いのサメの汚染は低いが、アオザメは10~40Bq/kg程度検出されるものもある。

120930_same_graph3

19. Danraku_bar_2

    海底土の汚染をどう見るか

20. Danraku_bar_2

    参考データ

東京湾の水産物の放射能濃度(xls) → 「Tokyo_bay.xls」をダウンロード (2012/9/30公表分まで)

仙台湾の水産物の放射能濃度(xls) → 「Sendai_bay.xls」をダウンロード (2012/6/15公表分まで)

20km圏の水産物の検査結果(xls)「suisan_20km.xls」をダウンロード

(2013/8/16公表分まで)(東京電力による)

生生物中の放射性ストロンチウム分析結果とSr/Cs比(xls)→ 「Sr_suisei.xls」をダウンロード

海域の警戒区域の推移

Keikaikuiki_map

1. 2011/9/30以前は、30km圏海域の魚介類の調査は行われなかった。

2. 2011/9/30に、20~30km圏の緊急時避難準備区域が解除され、

   2011/10/5公表分 http://goo.gl/Kmvxs から、20~30km圏のエリアでの魚介類の調査が行われるようになった。

3.2012/4/16に、南相馬沖の警戒区域が解除されたが、このエリア(20km圏の南相馬沖)
   での魚介類の調査は、8月までずっと行われなかった。

4.2012/8/10から、20km圏内の警戒区域は大幅に縮小されている(現在)。
   8/22公表分 http://goo.gl/2TRez から、このエリアの魚介類の調査も行われるようになった。

5.これとは別に、2012/3/末から、東電による20km圏内の魚介類の調査が行われている。

6.福島沖の魚介類の調査は、後になるほど原発に近いエリアが含まれてくるので、
   それらを一緒に見てしまうと、データの扱いとしては大きく誤ってしまうことになる。

福島沖の海産物の出荷制限と試験操業

【出荷制限】

■ 福島県では、2011/4/20に、コウナゴ(イカナゴの稚魚)が出荷制限となったが、
  県全域で操業自粛となったため、2011年度はほかの海産物の出荷制限指示は出なかった。

■ しかし、試験操業を行うに当たり、2012/6/22に、以下の36種に出荷制限の指示が出された。

(アイナメ、アカガレイ、アカシタビラメ、イカナゴ(稚魚を除く)、イシガレイ、ウスメバル、ウミタナゴ、
 エゾイソアイナメ(ドンコ)、キツネメバル、クロウシノシタ、クロソイ、クロダイ、ケムシカジカ、
 コモンカスベ、サクラマス、サブロウ、シロメバル、スケトウダラ、スズキ、ニベ、ヌマガレイ、
 ババガレイ、ヒガンフグ、ヒラメ、ホウボウ、ホシガレイ、マアナゴ、マガレイ、マコガレイ、マゴチ、
 マダラ、ムシガレイ、ムラソイ、メイタガレイ、ビノスガイ、キタムラサキウニ)

■ 2012/6/22に、コウナゴ(イカナゴの稚魚)の出荷制限が解除された。

■ 2012/7/12に、ナガヅカ、マツカワ に出荷制限の指示が出された。

■ 2012/7/26に、ホシザメに出荷制限の指示が出された。

■ 2012/8/23に、ショウサイフグに出荷制限の指示が出された。(計40種)

【試験操業】 (操業再開)

■ 2012/6/14 相馬市沖約50km、水深150mより深い海域の ヤナギダコ、ミズダコ、シライトマキバイ(マキツブ)(3種)

  6/14はサンプル漁獲で流通せず。6/22操業分(6/25販売)から1年3ヶ月ぶりに流通再開。
  (これら3種は、ボイル加工して出荷) 「試験操業について」

■ 2012/9/10 相馬市沖約50km、水深150mより深い海域で、以下の7種を追加(計10種)
  チヂミエゾボラ、エゾボラモドキ、ナガバイ、ケガニ、ヤリイカ、スルメイカ、キチジ(キンキ)

  9/11から、震災後初の生鮮品が店頭に並んだ。 「試験操業魚種拡大について」

  (但し、キチジ(キンキ)の水揚げは季節と海域の関係からまだ先。)

■ 2012/10/22 操業範囲を浪江町沖まで(南側に15~16km)拡大。
  (水深150m以上、10品目の対象は同じ。10/23から出荷。)

  「試験操業海域の拡大について」

■ 2012/12/3 アオメエソ(メヒカリ)、ミギガレイ(ニクモチ) の試験操業が開始。

  12/4から、震災後初の鮮魚が店頭に並んだ。

■ ズワイガニの試験操業は12/15解禁予定。 (計13種、操業範囲は同じ。)

21. Danraku_bar_2

    淡水魚(暫定置き場)

    (そのうち別エントリーを作って移動する予定)

霞ヶ浦のワカサギ

120930_kasumigaura

霞ヶ浦のワカサギの放射性セシウム濃度は、30Bq/kg程度まで低下した。
北浦のほうが西浦よりやや低い。

生態学的半減期は、8ヶ月程度となっている。

霞ヶ浦の水産物の検査結果(pdf) → 「120930_kasumigaura.pdf」をダウンロード

霞ヶ浦・西浦の水産物

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ワカサギは現在、20~30Bq/kg程度で、それ以上下がらなくなって来ている。

ナマズ、フナ、ウナギで放射性セシウム濃度が高い。
シラウオは、ワカサギと同じように低下している。

霞ヶ浦・北浦の水産物

121231_kitaura

西浦と同様の傾向だが、全般的に北浦のほうがやや低め。

赤城大沼

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ワカサギの放射性セシウム濃度が100Bq/kg以下になるのは、来年の夏頃になりそうだ。

生態学的半減期は、約7ヶ月。

赤城大沼の淡水魚の検査結果(pdf) → 「121031_akagionuma.pdf」をダウンロード

中禅寺湖

121031_chuzenji

ワカサギの放射性セシウム濃度は100Bq/kg程度に下がった。

マス類も低下しているように見えるが、どうだろうか?

中禅寺湖の淡水漁の検査結果(pdf) → 「121031_chuzenji.pdf」をダウンロード

回遊魚や浮魚の汚染は終息しつつある。:グラフで見る水産物の放射能汚染(その6a)9/30公表分まで

Radioactive cesium activity concentration in marine products after Fukushima nuclear disaster (6a) ~2012/9/30

Keyword : 水産物 海産物 魚貝 放射能 放射性セシウム 汚染 検査 結果 まとめ 地図 グラフ

底魚・根魚とスズキは、こちらのエントリーにあります。

■ まだ作成中ですが、コメントはご自由にどうぞ。

■ 商用目的・商用サイトを除き、図表の無断引用・転載はご自由にどうぞ。
  (但し出典を明記のこと。なお説明の追記など以外の無断改変は厳禁です。)

1. Danraku_bar_2

   目次、概説、エリア区分

  1. 目次、概説、エリア区分

  2. マグロ・カツオ・カジキ

  3. シラス

  4. カタクチイワシ、 マイワシ

  5. アジ、 サバ

  6. ブリ・カンパチ・ヒラマサ

  7. イカナゴ(コウナゴ)、 シラウオ

  8. イカ、タコ

  9. サヨリ

  (以下、まだ続く予定)

概説

・ 表層~中層を回遊する魚、イカやタコ、貝類、甲殻類、海藻などの放射能汚染は、
  すでに終息したか、低い値まで低下しています。

・ 一方、底魚、根魚、スズキなどについては、依然として横ばい状態が続いていますが、
  茨城沖では低下しているものも見られます。

・ 東京湾の水産物については、2012/7/5採取のスズキ53Bq/kgの一件を除くと、
  高い値は全く出ていませんし、数値が上昇する気配もありません。

・ 淡水魚の汚染はなかなか低下しないと予想されています。
  (これについては、別のエントリーで扱う予定。)

エリア区分

今回は、下図のようにエリア分けを行っている

Fish_hanrei_1210

2. Danraku_bar_2

   マグロ・カツオ

【マグロ・カツオ・カジキ スズキ目・サバ科、 スズキ目・マカジキ科、 スズキ目・メカジキ科

Pacific Bluefin tuna (Thunnus orientalis) : クロマグロ
bigeye tuna (Thunnus obesus) : メバチマグロ
yellowfin tuna (Thunnus albacares) : キハダマグロ
albacore (Thunnus alalunga) : ビンナガ
skipjack tuna (Katsuwonus pelamis) : カツオ
striped marlin (Kajikia audax) : マカジキ
Swordfish (Xiphias gladius) : メカジキ

2011年秋には、沖合500km位のカツオも15Bq/kg程度まで上昇したが、現在は1~3Bq/kg程度まで下がっている。
これらの大型回遊魚の汚染は、このままゆっくりと終息してゆくだろう。

昨年秋に、福島・茨城の沿岸捕獲のメジマグロ(クロマグロ幼魚)は30Bq/kg程度あったが、
これは、遠洋捕獲のマグロとは分けて考えるべきだろう。

120930_maguro_graph

マグロ・カツオ・マカジキの検査結果一覧(pdf)「120930_maguro.pdf」をダウンロード

マグロ・カツオの検査結果一覧を見ると、検出限界が20Bq/kg程度でNDと言う検査も多いが、
検出限界の低い調査も行われているために、「真の値」の推定もできていることがわかる。
これは、意図したかどうかは別として、検査態勢としては理想的な状況だ。

コメや牛肉、その他、ほとんどがNDであるような食品については、このように少数でもいいから
限界の低い測定を行って、真の値を推定できるようにするのが望ましい。

しかし、業界と行政の思惑によって、水産物を含むほとんどの食品の調査で、その態勢は
いまだに実現できていない。このことは、残念なこととして歴史に記録されるべきだろう。

3. Danraku_bar_2

   シラス

【シラス】 ニシン亜目・ニシン科、ニシン亜目・カタクチイワシ科

young of sardines

シラスはイワシ等の稚魚。表層を泳ぐため、事故直後に表層を広がった高濃度汚染水の影響を強く受けた。

しかしその後、シラスの放射性セシウム濃度は順調に減少した。

汚染値が指数的(片対数グラフで直線的)に低下する理由については、
   Togetter「セシウムの蓄積量をエクセルでみてみよう」 を参照ください。

2012年になってから、福島、茨城沖のシラスはほとんどがNDだが、
8/11公表の茨城県の試験操業の測定 によって、北茨城沖のシラスの「真の値」を知ることができる。

これによると、北茨城沖の生シラスは 1~3Bq/kg程度、シラス干しは 2~8Bq/kg程度、
チリメンジャコは 5~25Bq/kg程度となっている。

福島沖のシラスの現在の「真の値」は、おそらく数Bq/kg程度だろう。

120930_shirasu_graph

シラスの検査結果一覧(pdf)「120930_shirasu.pdf」をダウンロード

「水生生物における放射性物質の挙動について」 (2012/5/14 水産総合研究センター)

によると、シラスの放射性セシウムの濃縮係数は約40。(下図: P30より)
(海水が10Bq/Lなら、シラスは約400Bq/kg)

Suiken_shirasu

2012年8月頃の、茨城沖の海水の134Cs+137Cs濃度は0.01Bq/L程度だから、

海水からの移行では 0.4Bq/kg程度にしかならないことになるが、

北茨城沖のシラスは1~3Bq/kgあったから、残りのぶんは、底質からの移行になるのだろう。

4. Danraku_bar_2

   カタクチイワシ、マイワシ

【カタクチイワシ】 ニシン目・カタクチイワシ科

Japanese anchovy (Engraulis japonica)

シラスの成魚であるイワシの汚染は、シラスよりだいぶ低い。これは、成長期の魚の代謝が早いためである。

銚子沖のカタクチイワシ中の放射性セシウム濃度は 1Bq/kg以下にまで下がった。

茨城沖でも、数Bq/kg程度である。

福島沖でも、茨城沖とさほど変わらないと思われるが、調査が少ないのでわからない。

カタクチイワシは大型魚の食餌として生態系の中で重要だが、イワシを主に食べる大型魚の汚染が
これ以上進むことはないだろう。

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カタクチイワシの検査結果一覧(pdf)「120930_katakuchi.pdf」をダウンロード

【マイワシ】 ニシン目・ニシン科

Japanese pilchard / Japanese sardine (Sardinops melanostictus)

銚子沖のカタクチイワシは、初期にはマイワシよりだいぶ高かったが、マイワシのほうが
低下速度は遅かった。

しかし現在では、銚子沖のマイワシは 1Bq/kg以下に下がっている。

福島県では、ほとんど調査例がない。

鳥取(境港)のマイワシ 9.9Bq/kg(大阪府の調査、5/29公表)は、おそらく誤検出だと思うけど、
こういう値を公表してそのあと何もフォローがないのは困ったものだ。

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マイワシ・ウルメイワシの検査結果一覧(pdf)「120930_maiwashi.pdf」をダウンロード

5. Danraku_bar_2

   アジ、サバ

【アジ】 スズキ目・アジ科

Japanese jack mackerel / Japanese horse mackerel (Trachurus japonicus) : マアジ
amberfish (Decapterus maruadsi ) : マルアジ
brownstriped mackerel scad (Decapterus muroadsi ) : ムロアジ

アジの放射性セシウム濃度はなぜかサバより高めだが、理由はよくわからない。

下図: 全海域

120930_aji_graph0

マアジ・マルアジ・ムロアジの検査結果一覧(pdf)「120930_aji.pdf」をダウンロード

下図: 福島以北

120930_aji_graph1

福島沖のアジはだいぶ下がってきたが、原発30km圏内では、現在でも10~30Bq/kg程度ある。

仙台湾~金華山沖のアジも、まだ10~20Bq/kg程度ある。

福島以北では、冬から春にかけての期間、ほとんど調査が行われなかった。漁期ではないとしても、
全くとれないわけではないと思うのだが…。

下図: 茨城以南

120930_aji_graph2

茨城沖のアジは、現在は10Bq/kg以下に下がったようだ。

銚子沖のアジは、現在は1Bq/kg程度まで低下している。

茨城県では、2012/5/11に、県南部のマルアジが生産自粛となった。
(2012/11/9現在、継続中: その後、マルアジの検査が1件も行われていない。)

【サバ】 スズキ目・サバ科

chub mackerel (Scomber japonicus)  : マサバ
blue mackerel (Scomber australasicus) : ゴマサバ

サバのセシウム汚染は、それほど高くならなかった。

下図: 全海域

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マサバ・ゴマサバの検査結果一覧(pdf)「120930_saba.pdf」をダウンロード

2012/3/21購入の静岡産マサバ(神戸市検査)からも、9.6Bq/kgを検出している。

下図: 福島以北

120930_saba_graph1

仙台湾~宮城沖のサバは、現在は1~6Bq/kg程度まで低下している。

福島沖のサバは調査数が少なく、2012年以降はほとんどNDとなっているが、
少なくとも仙台湾と同じくらいの数値はあるだろう。

下図: 茨城以南

120930_saba_graph2

銚子沖~茨城沖のサバは、数Bq/kg台でしばらく横ばい状態にあったが、今夏以降は
1Bq/kg程度まで低下したようだ。

6. Danraku_bar_2

   ブリ・カンパチ・ヒラマサ

【ブリ・カンパチ・ヒラマサ】 スズキ目・アジ科

Japanese amberjack / yellowtail (Seriola quinqueradiata) : ブリ
Greater amberjack / ruderfish (Seriola dumerili) : カンパチ
Yellowtail amberjack (Seriola lalandi) : ヒラマサ

下図: 全海域

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ブリ・カンパチ・ヒラマサの検査結果一覧(pdf)「120930_buri.pdf」をダウンロード 

下図: 福島以北

120930_buri_graph1

宮城~岩手沖では、昨年秋には100Bq/kgに達するブリもあったが、現在では10Bq/kg程度まで下がっている。

福島沖採取のブリは、今春以降はほとんどNDだが、同様に10Bq/kg程度はあるのだろう。

下図: 茨城以南

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房総~茨城沖のブリの放射性セシウム濃度は、現在では1~4Bq/kg程度に低下している。

7. Danraku_bar_2

   イカナゴ(コウナゴ)

【イカナゴ(コウナゴ)】 スズキ目・イカナゴ科

young lancefish (Ammodytes personatus)

2011年4月から5月にかけて、福島・茨城沖のコウナゴ(イカナゴ稚魚)から、非常に高い
放射性ヨウ素・放射性セシウムの汚染が検出された。

コウナゴ(イカナゴの幼魚)は表層を泳ぐ魚で、春先に仙台湾で孵化して南下する。
その途中で、4月頃に表層を広がった高濃度汚染水の影響を強く受けた。
(汚染水は淡水のため海水より比重が軽く、最初は表層を広がった。)

しかし、2012年春のコウナゴ(イカナゴ稚魚)の放射性セシウム濃度は、福島沖で10Bq/kg程度(最高21Bq/kg)、
茨城沖で3~7Bq/kg、仙台湾で2Bq/kg程度だった。

コウナゴ(幼魚)の漁期は通常3月~5月前半だが、成長したイカナゴは底生となり、
夏季には水深20~40mの砂に潜って夏眠する。

このためイカナゴ(成魚)は底魚として考える必要がある。

2012年春の、福島沖のコウナゴ(成魚)は、30~60Bq/kg程度あった。
これ自体は高い濃度ではないが、底魚の生物と考えた場合は高い。

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イカナゴ(コウナゴ)の検査結果一覧(pdf)「120930_kounago.pdf」をダウンロード

【シラウオ】 キュウリウオ目・シラウオ科

Icefish (Salangichthys microdon)

昨年11月から福島県沿岸での調査が始まった。シラスよりやや高めなのは、沿岸に棲息しているためだろうか。

福島沖でもシラウオの放射性セシウム濃度は順調に低下して、現在は10Bq/kg以下と思われる。
但し、調査のなかった昨年春頃は、シラス同様に高い値だったと思われるが、永遠の謎だ。

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シラウオの検査結果一覧(pdf)「120930_shirauo.pdf」をダウンロード

下図: 霞ヶ浦、その他淡水のシラウオ

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霞ヶ浦のシラウオの放射性セシウム濃度はゆっくりとだが低下しており、

西浦では20~30Bq/kg、北浦では10Bq/kg以下に低下した。

8. Danraku_bar_2

   イカ、タコ

【イカ】  頭足綱・十腕形上目

cuttlefish / squids

イカは、20km圏内の調査(検出下限:Cs計9Bq/kg程度)も全てNDになっており、
イカのリスクは十分小さい。

但し、福島件沖では数Bq/kg程度はあるかもしれない。

2012/11/6 南相馬市小高沖採取(試験操業)のヤリイカで 6.3Bq/kgあるものが見つかっている。
(その他の試験操業は全てND) JF福島公表→ http://www.jf-net.ne.jp/fsgyoren/kensakekka201209.pdf

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イカの検査結果一覧(pdf)「120930_ika.pdf」をダウンロード

【タコ】 頭足綱・八腕形上目・タコ目

octopus

イカと同様、ごく低い値しか検出されておらず、タコのリスクも十分小さい。

福島沖の試験操業のタコ(検出限界:Cs計7Bq/kg程度)は全てNDとなっているが、
20km圏内では数Bq/kg程度のものも見つかっており、福島件沖ではまだ数Bq/kg程度あるようだ。

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タコの検査結果一覧(pdf)「120930_tako.pdf」をダウンロード

9. Danraku_bar_2

   サヨリ (2013/2/14追記)

【サヨリ】 ダツ目・トビウオ上科・サヨリ科

Japanese halfbeak (Hemiramphus sajori)

2013/2/6捕獲(2/13公表)のいわき市四倉沖のサヨリが、初めて100Bq/kgを超えた。

原因はわからないが、20km圏のサヨリはこれまで1件も調査されていない。

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サヨリの検査結果一覧(pdf)「130213_sayori.pdf」をダウンロード 

2012年4月20日 (金)

いわき市沖の汚染はいつ収束するか?:グラフで見る水産物の放射能汚染(その5)3/31公表分まで

Radioactive cesium activity concentration in marine products after Fukushima nuclear disaster (5) ~3/31

Keyword : 水産物 海産物 魚貝 淡水魚 放射能 放射性セシウム 汚染 検査 結果 まとめ 地図 グラフ

Mal_009

Photo: Madivaru, Ari atoll, Maldives

■ 商用目的・商用サイトを除き、図表の無断引用・転載はご自由にどうぞ。
  (但し出典を明記のこと。なお説明の追記など以外の無断改変は厳禁です。)

最新 その6b(2012/9/30公表まで、底魚、根魚、スズキ)は、 こちら
      その6a(2012/9/30公表まで、回遊魚、浮魚)は、 こちら

H24年9月 水産庁「水産物の放射性物質調査について」 http://www.jfa.maff.go.jp/j/koho/saigai/pdf/120907_tyosa_gaiyou2.pdf

9/26東電 「20km圏の水産物のAg、Sr」 http://goo.gl/w7hZj

120926_sr_ag

(重要) 「水生生物における放射性物質の挙動」 (5/15 水産総合研究センター)

Togetter「いわき市沖の汚染はいつ終息するか?(2012年7月版)」 (7/20) (New)

Togetter「海産物の放射性セシウム濃度のグラフ(3/31公表分まで):いわき市沖の汚染はいつ収束するか?」 (4/13)

は、このエントリーの下書きですが、1週間で12,000viewもありました。

Togetter「「水産物と放射能」関連ニュースと情報(2012/6/4~)」 (6/5)

水産物に関する最新のニュースと情報は、こちらのTogetterに追加しています。

Togetter「マグロのセシウム汚染は、すでに終息しつつある。」 (5/30)

Togetter「アユのセシウム汚染が激減したのは本当?」 (6/7)

Togetter「NHKさん! 鮎の風評被害を広めないでください。」 (6/11)

Togetter「6/30 「第8回 いわきサイエンスカフェ(その1:魚介類のモニタリング結果)」 (7/1)

Togetter「6/30 「第8回 いわきサイエンスカフェ(その2:福島県内河川の測定結果)」 (7/1)

4/1~4/30公表の水産物の検査結果(xls)「1204_suisan_nousui.xls」をダウンロード

5/1~5/31公表の水産物の検査結果(xls)「1205_suisan_nousui.xls」をダウンロード

6/1~6/30公表の水産物の検査結果(xls)「1206_suisan_nousui.xls」をダウンロード 

  (奥村さんのCSVファイルから、水産物だけをexcelファイルに移したものです。)

ヒラメとマコガレイ(福島以南、9/30公表分まで。) 「121020_hirame_karei_A3.pdf」をダウンロード

2012/10/20 Poster資料 「121020_Kontan_Poster01.pdf」をダウンロード 「121020_Kontan_Poster02.pdf」をダウンロード

1. Danraku_bar_2

   目次、概説、エリア区分

  1.目次、概説、エリア区分

  2.いわき市沖の汚染はいつ収束するか?

  3.イワシとマグロ・カツオ

  4.コウナゴ、シラス、シラウオ(浮魚)

  5.スズキ

  6.東京湾と仙台湾

  7.餌料生物、プランクトン、甲殻類(エビ・カニ・アミ類)、棘皮動物(ウニ)

  8.貝類 (ホッキガイ、アワビ、カキ、アサリ・ハマグリ、その他の2枚貝)

  9.海藻 (アラメ・コンブ、ワカメ、ノリ、その他の海藻)

  10.底魚 (ヒラメ、カレイ、シタビラメ、コモンカスベ、ホウボウ・カナガシラ・コチ、アナゴ、サブロウ)

  11.根魚 (メバル・カサゴ・ソイ、アイナメ、エゾイソアイナメ、ケムシカジカ)

  12. マダイ・チダイ・クロダイ、マトウダイ・カガミダイ

  13. 浅い砂地の魚 (フグ、カワハギ(予定)、ニベ・シログチ)

  14. 深場の魚 (マダラ、スケトウダラ、アンコウ、メヒカリ、キンメダイ・キンキ・アカムツ)

  15. サバ、アジ、ブリ・カンパチ

  16. サメ

  17. 20km圏内の調査結果

  18. 放射性銀 Ag-110m

  19. リンク: 淡水魚

  20. リンク集(作成中)

概説

・ 多くの海産物で、汚染がかなり低下したか、低下しつつあることがわかります。

・ 但し、底魚ヒラメカレイシタビラメコモンカスベホウボウ・カナガシラ・コチアナゴサブロウ
  根魚メバル・カサゴ・ソイアイナメエゾイソアイナメケムシカジカ)、
  及び スズキタイフグニベマダラ については、依然として横ばい状態が続いています。

・ 東京湾の水産物については、高い値は一つも出ていませんし、数値が上昇する気配もありません。

・ 宮城県の水産物の検査が増えたため、仙台湾の汚染の状況が明らかになりつつあります。

・ 2月以降、淡水魚の検査が大幅に増え、広い地域でのイワナ、ヤマメなどの汚染が
  確認されるようになりました。 淡水魚の汚染はなかなか低下しないと予想されています。

・ 新基準に移行してから、出荷自粛(県または漁業団体による)、出荷制限(政府による指示)
  となるものが増えています。出荷制限についてはこちら(消費者庁)などで確認することが
  できますが、出荷自粛については、たいへんわかりにくい状況になっています。

  たとえば、福島県では震災・原発事故以降、ずっと漁協による操業自粛が続いていますが、
  そのことは公的に告知されているわけではなく、報道記事でしか知ることができません。
  福島県で出荷制限・摂取制限が出されている海産物は、コウナゴ(2011/4/20設定)だけなのです。

(追記) 茨城県における出荷制限・自粛の情報

     宮城県における出荷制限・自粛の情報

・ 東電による第1原発20km圏内の水産物の調査が始まりました。今までのところ特に
  意外な結果は出ていません。

・ サンマ、サケ、サザエ・ツブ貝、イカ、タコ については、既に収束(もしくはずっとND)ですので、
  前回のエントリー を見てください。(今回は掲載しない予定)

エリア区分

今回は、下図のようにエリア分けを行っている

Fish_hanrei_1204 (クリックで拡大)

・ 前回からの変更点は、「福島沖40km以遠」を別にしたことと、
 一部の魚種について「東京湾」を別にした点である。
 また、10月以降の「南相馬市原町」のデータについて「20~30km圏」に区分を変更した。

・ 南相馬市(原町、小高)、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町(20~30km圏)については、
 9/30に緊急時避難準備区域が解除されたことにより、10月から調査が行われるようになった。
 (データの連続性に注意が必要。)

・ 茨城県の自粛の区分は3海域(北部:北茨城市~日立市沖、県央部:東海村~大洗町沖、
 南部:鉾田市~神栖市沖)だが、この区分とは一致しない。

・ 宮城県の区分は4月からこちらの7海域の区分となっている。

・ 東電による20km圏の調査が3月下旬から始まっているが、今回は含めていない。

20km圏の2地点の海底土の放射性セシウム濃度。(この2地点が最も長く調査されている。)
北側、南側とも下げ止まっているようにも見える。

1205_kaiteido

2. Danraku_bar_2

   いわき市沖の汚染はいつ収束するか

下図は、いわき市採取のホッキガイとキタムラサキウニのグラフ

120331_hokkiuni_graph

いわき市のホッキガイとキタムラサキウニは、今のペースで指数的な減少が続けば、
今年10月頃には10Bq/kg程度まで下がる。

そうなれば、底魚の汚染も100Bq/kg以下になるだろうと思うのだが、実際にどうなるかはわからない。

ホッキガイとキタムラサキウニは、高次の捕食者以外の生き物で、下がり方がいちばん遅い。(調査・公表された海産物のうちで)

この全く別の両者が同じような挙動を示しているのは、環境の指標として意味があるように思われる。

マクロベントス(ゴカイ類など)についても、もっと多くのデータがあると良いのだが、今のところ
公表資料には、ほかに良いデータが見当たらない。

(5/9 追記) 4/30までの公表情報で更新

120430_hokki_uni

四倉沿岸のホッキガイの数値は急減したかもしれないが、四倉沿岸のキタムラサキウニの
数値は依然として高いようだ。(理由はわからない。)

(6/5 追記) 6/1までの公表情報で更新

120531_hokki_uni

ホッキガイは順調に下がっているけど、いわき市最北部の久之浜や四倉のウニはなかなか下がらない。

調査されている海の生き物で100Bq/kgを超えるものは、捕食魚を除くと、もうウニしか存在しない
ウニと同様に海藻を食べるアワビは、1月までに10Bq/kg以下に下がっており、ウニだけが
下がらないのは大きな謎となっている。

いわき市~原発20km圏内では、いまだに1000Bq/kgを超えるような魚が見つかっている。
そうした魚は「平均値で」100Bq/kgを超えるような餌を採っていると思われるけど、
その餌が一体何なのかは謎に包まれている。(ウニばかり食べているわけだはないだろう…。)

いわき市のホッキガイとキタムラサキウニの検査結果一覧(pdf)→ 「120531_hokki_uni.pdf」をダウンロード

3. Danraku_bar_2

   イワシとマグロ・カツオ

【カタクチイワシ】 ニシン目・カタクチイワシ科

Japanese anchovy (Engraulis japonica)

銚子沖のカタクチイワシ中の放射性セシウム濃度は 2Bq/kg以下にまで下がった。

福島沖では 10Bq/kg程度はあるかもしれないが、福島の検出下限はCs各8Bq/kg程度なので、
もっと限界を下げないと正確な状況を把握することができない。

カタクチイワシは大型魚の食餌として生態系の中で重要だが、イワシを主に食べる大型魚の汚染が
これ以上進むことはないだろう。

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カタクチイワシの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_katakuchi.pdf」をダウンロード   

【マイワシ】 ニシン目・ニシン科

Japanese pilchard / Japanese sardine (Sardinops melanostictus)

カタクチイワシよりやや高いが、銚子~鹿嶋沖のマイワシは 5Bq/kg程度まで下がった。

福島県では12月以降検査例がない。

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マイワシの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_maiwashi.pdf」をダウンロード   

【マグロ・カツオ・カジキ スズキ目・サバ科、 スズキ目・マカジキ科、 スズキ目・メカジキ科

Pacific Bluefin tuna (Thunnus orientalis) : クロマグロ
bigeye tuna (Thunnus obesus) : メバチマグロ
yellowfin tuna (Thunnus albacares) : キハダマグロ
albacore (Thunnus alalunga) : ビンナガ
skipjack tuna (Katsuwonus pelamis) : カツオ
striped marlin (Kajikia audax) : マカジキ
Swordfish (Xiphias gladius) : メカジキ

秋口に 15Bq/kg程度まで上昇した遠洋のカツオも、2~3Bq/kgまで下がった。

イワシ類の数値が下がったから、小魚を主に食べるこれらの大型魚の汚染は、
このままゆっくりと収束してゆくだろう。

尚、昨秋に沿岸で捕獲されたメジマグロ(クロマグロ幼魚)は、30Bq/kgくらいだった。
(メジマグロについては前回のエントリー参照)

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マグロ・カツオ・マカジキの検査結果一覧(pdf)→ 「120930_maguro.pdf」をダウンロード 

4. Danraku_bar_2

   コウナゴ、シラス、シラウオ(浮魚)

【イカナゴ(コウナゴ)】 スズキ目・イカナゴ科

young lancefish (Ammodytes personatus)

イカナゴ(成魚)の放射性セシウム濃度は2月頃までは 100Bq/kg程度あったが、
今シーズンのコウナゴ(幼魚)の数値はごく低いレベルにおさまっている。

第1原発20km圏内のコウナゴ(3/29採取、4/12東電公表)も、12.9Bq/kgと ND(<7.7)で、
20km圏外の値と変わらなかった。

茨城県では、昨年4月5日からコウナゴ漁の自粛が続いていたが、4/17に県北部の自粛が解除された。

(これまでの経緯)

昨年4月から5月にかけて、非常に高い放射性ヨウ素、セシウムの汚染が検出された。

コウナゴ(イカナゴの幼魚)は表層を泳ぐ魚で、春先に仙台湾で孵化して南下する。
その途中で、4月頃に表層を広がった高濃度汚染水の影響を強く受けた。
(汚染水は淡水のため海水より比重が軽く、最初は表層を広がった。)

7月の調査では、いわき市でも 200 Bq/kg台程度に低下している。

コウナゴ(幼魚)の漁期は通常3月~5月前半で、成長したイカナゴは、夏季には
水深20~40mの砂に潜って夏眠する。(参考:「イカナゴ」(茨城県水産試験場))

秋以降のコウナゴ(成魚)は、おおむね100bQ/KG程度で推移していた。

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イカナゴ(コウナゴ)の検査結果一覧(pdf)→ 「120331_kounago.pdf」をダウンロード 

【シラス】 ニシン亜目・ニシン科、ニシン亜目・カタクチイワシ科

young of sardines

冬場は漁期ではないため、12月中旬以降、福島・茨城ではずっと調査が行われていない。
上昇することはないだろうが、4月以降の調査がどうなるか気になるところだ。

(これまでの経緯)

シラスはイワシ等の稚魚。表層を泳ぐため、4月頃表層を広がった高濃度汚染水の影響を強く受けた。
その後は、シラスの放射性セシウム濃度は順調に減少して来たのだが、夏以降は、
いわき市沖で30/Bq/kg程度、北茨城市沖で10Bq/kg程度で平衡状態にあるようだ。

(ここで「平衡状態」という意味は、放射性セシウムの摂取量と排出量がバランスしている
 ために、放射性セシウム濃度がそれ以上増えも減りもしない状態にあるという意味。)

汚染値が指数的(片対数グラフで直線的)に低下する理由については、
   Togetter「セシウムの蓄積量をエクセルでみてみよう」 を参照ください。

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シラスの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_shirasu.pdf」をダウンロード   

【シラウオ】 キュウリウオ目・シラウオ科

Icefish (Salangichthys microdon)

11月から福島県沿岸での調査が始まった。シラスよりやや高めなのは、沿岸に棲息しているためだろうか。

福島でも茨城でも順調に数値は低下しているので、シラスの数値も低下しているのではないか推察できるが、
逆に、調査のなかった昨年春頃は、シラス同様に高い値だったと思われるが、永遠の謎だ。

第1原発20km圏内のイシカワシラウオ(3/29採取、4/12東電公表)も、23Bq/kgで、
20km圏外の値と変わらなかった。

霞ヶ浦では 40~50 Bq/kg程度(ワカサギと同程度)で横ばい状態。

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シラウオの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_shirauo.pdf」をダウンロード 

5. Danraku_bar_2

   スズキ

【スズキ】 スズキ目・スズキ亜目・スズキ科

Japanese sea perch / Japanese sea bass (Lateolabrax japonicus)

スズキのセシウム濃度はまだ上昇中。スズキは底生の生物も補食する大型魚なので、
ピークが遅くなるのだろう。

茨城県では3/27から、仙台湾では3/30から出荷自粛中だったが、仙台湾では4/12に、茨城県では4/17に
(政府による)出荷制限の指示が出された。 東京湾のサンプルは10Bq/kg程度。

120331_suzuki_graph

スズキの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_suzuki.pdf」をダウンロード   

6. Danraku_bar_2

   東京湾と仙台湾

東京湾の水産物の放射能濃度(xls) → 「Tokyo_bay.xls」をダウンロード (9/30公表分まで)

仙台湾の水産物の放射能濃度(xls) → 「Sendai_bay.xls」をダウンロード (6/15公表分まで)

東京湾

東京湾の水産物からは、高い数値のものはひとつも検出されていない。

東京湾の水産物の汚染が高くならない理由については、こちらのエントリーで考察しているが、
これまでのところ、底泥→海産物への移行はあまり起きていないようだ。

「つり情報 4/1号」(3/15発売)で、「バチ抜け」と呼ばれる時期の、カワゴカイを捕食したと
推測(胃の内容物から推測)されたスズキを測定しているが、6.1Bq/kgしかなかった。

カワゴカイの「バチ抜け」は、繁殖のために多毛類が一斉に川底の巣穴から抜け出して
浮遊する行動だが、ブログ「東京昆虫記」に見事な写真がある。
(虫の苦手な人は見ないでください。)

仙台湾

仙台湾のスズキは、100Bq/kgを超えるものがいくつも見つかり、出荷自粛になっていたが、
4/12に政府による出荷制限が出された。

仙台湾のヒガンフグは 90Bq/kg以上あり、出荷自粛になっている。

仙台湾のカレイ類は 50Bq/kg程度。

仙台湾のカキやワカメの数値はごく低い値におさまっている。

福島県に近い亘理地方の貝類は、10~30Bq/kg程度のものも検出されている。

仏IRSNによる海底土のCs-137濃度(10/26 「放射性物質の海洋放出の影響調査」

1026irsn_kaiteido_2 (クリックで拡大)

文科省・東電の実測(赤い星印)とシミュレーションをもとに推定した分布図(10/14時点)。
  「解説」(10/30)「仮日本語訳」(10/31) (何れも @tsokdba さん)

仙台湾では、亘理地方の海岸近くと、石巻湾で 800 Bq/kg(Cs-137だけの濃度)に達すると
推定されており、やや高めとなっている。

しかし、仙台湾の海水、海底土の観測は不十分であり、実際にどのような分布になっているか、
いまひとつはっきりしない。

(5/29追記) 仙台湾の4魚種のグラフ  増えているのか減っているのかわからない。

110528_sendai_bay_2

クロダイのグラフ: 仙台湾のクロダイの汚染はかなり高い。

120824_kurodai_graph

クロダイの検査結果一覧(pdf)→ 「120824_kurodai_graph.pdf」をダウンロード

7. Danraku_bar_2

   餌料生物、プランクトン、甲殻類(エビ・カニ・アミ類)、棘皮動物(ウニ)

魚介類の餌料生物等の放射性セシウム調査結果 (3/26 福島県水産試験場)

   前回の資料に追加。グラフ、写真付き。 (重要)

   もっと新しい情報が知りたいところだ。

「放射性物質分布のモニタリングと海洋生物への移行に関する研究・調査」 (3/21 海洋大・石丸さん)

   プランクトンや底生生物の調査結果が出ている。こちらも、11月以降の情報が知りたいところ。

「養殖魚用飼料の暫定基準値設定に関するQ&A」 (2012/3/23 農水省)

   餌→魚体の濃縮係数を 2.3 (=取込係数/排出係数=0.009/0.004) としている。

   すると、1,000Bq/kgの魚は、平均400Bq/kgの餌を採っていることになるが、
   今でもそんな高い汚染の餌があるのかどうか? というあたりは謎となっている。

【プランクトン】

plankton

調査地点によってだいぶ数字が異なる(岸近くで高く、沖合で低い)ようなので、
グラフ作成は悩ましいのだが、いわき市の沿岸でも、3月までにだいぶ下がったようだ。

120331_plankton

プランクトンの調査結果一覧(pdf)→ 「120331_plankton.pdf」をダウンロード

【エビ・カニ・アミ】 甲殻類

shrimps and crabs

甲殻類の放射性セシウム濃度は順調に低下しており、福島以外では10月以降ほぼNDに
下がっている。

福島では、いわき市豊間付近の、餌料生物の小さなエビ・カニ類の検査例がたくさんある。
但し、いちばん汚染の激しいいわき市最北部~広野町の採取でないことには注意が必要。

福島県でも、11月以降NDの検査例が多くなっているが、福島県の検出下限はCs各8Bq程度
なので、精度を上げないと正確な状況は分からない。

宮城県のツノナシオキアミ(イサダ)はほとんどNDだが、それでも買い手が減っており、
4/13から漁を1日おきに休漁する事態となっている。

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エビ・カニ・アミの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_ebi.pdf」をダウンロード 

【ウニ】 棘皮動物門・ウニ綱

sea urchin

ウニは海藻を食べるため、数値が高くなりやすい。

いわき市のキタムラサキウニは、昨年の夏頃は200 Bq/kg以上で横ばい状態にあったが、
11月頃からまた低下を始めている。

茨城県では7/11を最後に調査が行われていなかったが、4/9にひたちなか沖採取の検査が
1件行われ、ND(< 12) だった。

120331_uni_graph

ウニの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_uni.pdf」をダウンロード   

8. Danraku_bar_2

   貝類(ホッキガイ、アワビ、カキ、アサリ・ハマグリ、その他2枚貝

【ホッキガイ】 バカガイ上科・バカガイ科 (正しい種名はウバガイ)

Sakhalin surf clam (Pseudocardium sachalinense)

いわき市のホッキガイは、当初は順調に下がったが、夏頃から横ばい状態になった。
しかし11月頃から再び低下して来ている。

初期の高濃度汚染水による影響はすみやかに減ったが、昨年の夏頃は、底質の汚染が
なかなか下がらないために、100~200Bq/kg程度で平衡状態にあったようだ。

仙台湾では、亘理地先 12/9採取のホッキガイは 30 Bq/kg。

アサリなどより高い値に見えるが、泥っぽい場所を好むためとも言われているようだ。
同じ場所で採取したモノを比べないと、種による違いによるものかどうかはっきりしない。

尚、福島~宮城県亘理にかけて、「ほっき飯」が郷土料理だそうだ。

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ホッキガイの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_hokkigai.pdf」をダウンロード   

【アワビ】 原始腹足目・ミミガイ科

abalones

アワビは海藻を食べるため、セシウム値が高くなりやすいが、同じように海藻を食べるウニの
数値が下がりにくくて、アワビが順調に下がったのがなぜかは分からない。

5~6月頃は高い数値だったが、順調に下がって、いわき市沖でも 10Bq/kg程度まで下がった。

福島の検出限界はCs各8Bq/kg程度だが、数値の下がったものについてはもっと検出限界を
下げて、意味のある数字を出してほしいと思う。

茨城県沖の調査は9/11を最後に行われていない。

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アワビの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_awabi.pdf」をダウンロード   

【カキ・イガイ(ムール貝)】 ウグイスガイ目・イボタガキ科 、イガイ目・イガイ科

oysters and moules

5~6月頃いわき市では高い汚染状況だったが、10~20Bq/kg程度まで下がっているようだ。

仙台湾の養殖カキは6例の調査があり、1例(4 Bq/kg)を除き全てND(Cs各1Bq/kg未満)となっている。

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カキ・イガイ(ムール貝)の検査結果一覧(pdf)→ 「120331_kaki.pdf」をダウンロード 

【アサリ・ハマグリ】 二枚貝綱・マルスダレガイ科

Manila clam (Ruditapes philippinarum)  : アサリ
(Meretrix lamarckii) : チョウセンハマグリ (「鹿島灘はまぐり」もこれ)
(Gomphina malanegis) : コタマガイ
(Mercenaria mercenaria) : ホンビノスガイ

福島~茨城北部では、4件しか検査例がなく、状況がはっきりしない。
ポピュラーな海産物なのに検査が行われないのは謎。

茨城でもほぼNDまで下がっている。

仙台湾南部では、名取川河口のアサリが、15Bq/kg(3/15採取)、11Bq/kg(3/27採取)。
亘理地先のコタマガイが、17Bq/kg(4/3採取)、七ヶ浜町代ヶ崎浜のアサリが、D(4/10採取)
などとなっている。

東京湾のアサリ・ハマグリはたくさん検査例があり、1月以降は全てNDまたは1Bq/kg以下
となっている。

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アサリ・ハマグリの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_asari.pdf」をダウンロード 

【アカガイ・ホタテガイ・シジミ・その他二枚貝】 

Bloody clam (Anadara broughtoni)  : アカガイ (フネガイ目・フネガイ科)
Japanese scallop (Mizuhopecten yessoensis) : ホタテガイ (イタヤガイ目・イタヤガイ科)
Northern great tellin (Megangulus venulosa) : サラガイ(シロガイ) (マルスダレガイ目・ニッコウガイ科)
Heart clam/Japanese CockleFulvia mutica) : トリガイ (マルスダレガイ目・ザルガイ科)
Chinese mactra (Mactra chinensis) : バカガイ(アオヤギ) (マルスダレガイ目・バカガイ科)
trouogh sheel / Pacific gaper (Tresus keenae) : ミルクイ(ミルガイ) (マルスダレガイ目・バカガイ科)
Japanese geoduck (Panopea japonica) : ナミガイ(シロミルガイ) (オオノガイ目・キヌマトイガイ科)

freshwater clam (Corbicula japonica) : ヤマトシジミ (マルスダレガイ目・シジミ科)

11/7 福島沖(広野町沖約8km/F1から20km圏)のホタテガイは 19 Bq/kg。

ヤマトシジミは、茨城県涸沼川で、継続的にサンプル調査されているが、9月以降は

10 Bq/kg以下に下がっている。

また、阿賀野川河口付近のシジミからも 5 Bq/kgの放射性セシウムが検出されている。

阿賀野川の上流は、会津地方なので、川によってセシウムが移動したのだろう。

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アカガイ・ホタテガイ・ヤマトシジミ・その他2枚貝の検査結果一覧(pdf)→ 「120331_akagai.pdf」をダウンロード

9. Danraku_bar_2

   海藻 (アラメ・コンブ、ワカメ、その他(予定))

【コンブ・アラメ】 褐藻綱・コンブ目・コンブ科(マコンブ)、コンブ目・Lessoniaceae科(アラメ)

kelp / tangle(weed) / kombu (Laminaria japonica) : コンブ
sea trumpet (Eisenia bicyclis) : アラメ

他の海藻同様、福島周辺では非常に高く汚染された。いわき市のアラメのセシウム濃度は
1月以降NDとなっているが、検出限界はCs-134: 11~19Bq/kg、Cs-137: 9~16Bq/kgと
やや高いので、10Bq/kgくらいはあるかもしれない。

(福島県の調査では、海藻の中では、アラメだけが継続的に調査されている。)

岩手以北のコンブは、乾燥品も含めて全てNDとなっている。

カリフォルニア沖のジャイアント・ケルプから、昨年4月に最大2,500Bq/kgのI-131を検出した
というニュースが話題になったが(論文abstract http://t.co/brJv28Tb )、これは乾燥重量比
であることに注意が必要。(湿重量ならだいぶ小さい。)

影響がなかった、とはいえないとしても、カリフォルニアの生物に深刻な影響があるほどの
量ではない。(ちなみに福島の海藻では、5/5江名のアカモクで、最大127,000Bq/kgの
I-131を検出している。→ http://t.co/jwe5MeRk (GREENPEACE))

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コンブ・アラメの検査結果一覧 → 「120331_arame.pdf」をダウンロード 

【ワカメ】 褐藻綱・コンブ目・チガイソ科

wakame seaweed (Undaria pinnatifida) : ワカメ
(Alaria crassifolia) : チガイソ

福島県では10Bq/kg程度、茨城県では2Bq/kg程度まで下がっている。

一覧表を見てもらうと、全漁連の検査(検出下限:Cs各20Bq/kg)がたくさんあることがわかるが、
水産庁がこれを検出下限を付けずに公表したのはたいへんよろしくなかったと思う。
(4月以降は、水産庁の公表にも検出下限が表示されるようになった。)

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ワカメの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_wakame.pdf」をダウンロード

【ノリ】 褐藻綱、紅藻綱、緑藻綱

laver / nori

生ノリは全てNDだが、昨秋の東京湾の乾ノリからは、最高 27 Bq/kgが検出されている。
(金田・大佐和・久津間・木更津・富津は、いずれも東京湾(木更津市・富津市)の漁場。)

20Bq/kgと聞くとちょっとあるように感じるが、乾燥品なので食べる量で考えればごく微量。

その後は全てNDとなっている。

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120331_nori_2

ノリの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_nori.pdf」をダウンロード

【その他の海藻】 褐藻綱、紅藻綱、緑藻綱

other seaweeds

5月初めのグリーンピースの調査では非常に高い値が出たが、10月にはいわき市周辺でも、
100 Bq/kg台になり、現在はほぼNDとなっている。

ヒトエグサ(アオノリ)は松川浦の名産品。2月の調査では40Bq/kg程度あったが、
4月の検査では10Bq/kg程度となっているようだ。

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120331_kaisou_2

その他海藻の検査結果一覧(pdf)→ 「120331_kaisou.pdf」をダウンロード

10. Danraku_bar_2

   底魚 (ヒラメ、カレイ、シタビラメ、コモンカスベ、ホウボウ・カナガシラ・コチ、アナゴ、サブロウ)

【ヒラメ】 カレイ亜目・ヒラメ科

flounder / Bastard halibut (Paralichthys olivaceus)

ヒラメは底魚を代表する魚で、検査例も多くある。

福島県では、昨夏からずっと横ばい状態になっていて、なかなか下がる気配が見えない。
原発南側20-30km圏の値が特に高い。

11/14いわき市久之浜沖採取は 4,500Bq/kgという驚くような数字だった。20km圏のものが
どのような値なのか気になるところだが、20km圏内の調査が始まったので、その結果が
待たれるところだ。

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下図は、福島県以北のグラフ。

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下図は茨城以南のグラフ。

茨城県では3/29から自粛中だったが、4/17に政府の出荷制限の指示が出された。

茨城では現在ほとんどは50Bq/kg以下だが、ときどき100超が出るのは、福島沖から
移動してくる個体があるからだろうか。

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ヒラメの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_hirame.pdf」をダウンロード 

【マコガレイ】  カレイ目・カレイ科

Marbled sole (Pleuronectes yokohamae)

大型カレイ類の放射性セシウム濃度はヒラメより高い。
(マコガレイを取り上げたのは、茨城県でたくさん検査されているためである。)

カレイのほうが汚染が高い理由の一つは、ヒラメが中層でも採餌するのに対し、カレイは
ほとんど底にいるためだと思われる。

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下図は、福島以北のグラフ。いわき市・広野町沖のサンプルはほとんどが100Bq/kg超。

どのエリアも、なかなか下がる気配が見えない。

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下図は、茨城以南のグラフ。茨城県では3/27から自粛中。

北茨城市以外では、1月以降は50Bq/kg程度におさまっている。

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マコガレイの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_makogarei.pdf」をダウンロード

【イシガレイ】  カレイ目・カレイ科

stone flounder (Kareius bicoloratus)

大型カレイ類の放射性セシウム濃度は高いが、イシガレイについては1月以降、
暫定規制値を超えるようなものが見つかっていない。
(汚染が下がったかどうかについては、今のところ何とも言えない。)

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茨城県では、このところ100Bq/kgを超えるものは見つかっていない。

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イシガレイの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_ishigarei.jpg」をダウンロード

【ババガレイ(ナメタガレイ)】  カレイ目・カレイ科

Slime flounder / Slime sole (Mlicrostomus achne)

原発南側20-30km圏のババガレイの汚染度は非常に高い。

茨城県でも3/28から出荷自粛となっている。

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ババガレイ(ナメタガレイ)の検査結果一覧(pdf)→ 「120331_babagarei.pdf」をダウンロード

【ミギガレイ(ニクモチ)】  カレイ目・カレイ科

Rikuzen sole (Dexistes rikuzenius)

最大でも25cm程度の中~小型カレイだが、放射性セシウム汚染が特異的に低い
(福島で30Bq/kg程度、茨城で10Bq/kg程度しかない。)

底生生物を主に食べるようだが、汚染の低い理由は謎。

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ミギガレイ(ニクモチ)の検査結果一覧(pdf)→ 「120331_migigarei.pdf」をダウンロード

【ヤナギムシガレイ】  カレイ目・カレイ科

willowy flounder (Tanakius kitaharai)

小型カレイ類の汚染は、大型カレイにくらべるとだいぶ低い。

但し福島でも茨城でも、数値は横ばいで下がる気配が見えない。

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ヤナギムシガレイの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_yanagikarei.pdf」をダウンロード

【シタビラメ】 カレイ目・ウシノシタ科

sole / red tonguesole (Cynoglossus joyneri) : アカシタビラメ
black cow-tongue (Paraplagusia japonica) : クロウシノシタ

シタビラメの汚染は、ヒラメや大型カレイよりは低い。

但しいわき市北部ではずっと200~300Bq/kg程度あり、下がる気配が見えない。

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アカシタビラメ・クロウシノシタの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_shitabirame.pdf」をダウンロード

【コモンカスベ】 エイ目・ガンギエイ科

common skete (Raja kenojei)

沿岸の砂地に棲む小型のエイ。

いわき市北部、広野町(20-30km圏)ではずっと非常に高い値が検出されている。

10月から宮城、茨城でも検査されるようになったが、北茨城では100Bq/kgを超えているため、
茨城県では自粛中。

仙台湾のコモンカスベは、50Bq/kg(4/1松島沖採取)と24Bq/kg(4/2亘理地先採取)。

コモンカスベ(Youtube)→ http://youtu.be/AgufqrqgBXw

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コモンカスベの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_kasube.pdf」をダウンロード   

【ホウボウ・カナガシラ・コチ】 カサゴ目・コチ亜目・ホウボウ科、コチ亜目・コチ科

red gurnard (Chelidonichthys spinosus) : ホウボウ
red-whiskered bulbul (Lepidotrigla microptera) : カナガシラ
flathead : コチ

ホウボウ、カナガシラは水深100-200mのやや深い海底に棲息するが、マゴチ、メゴチは
沿岸の浅い砂泥底に棲息する。 とりあえず、ここではコチ亜目の魚としてひとまとめに
している。

全般的に横ばい状態となっている。

茨城県では、北部と南部でホウボウが出荷自粛、中部では自粛ではないが、検査があるまで
出荷は控えられている。

ホウボウの歩く姿(Yooutube)→ http://youtu.be/Ks4OUyBxu6w
カナガシラの歩く姿(Youtube)→ http://youtu.be/kpAKdd--TMY
マゴチ(Youtube)→ http://youtu.be/8zfROfB8MAI

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ホウボウ・カナガシラ・コチの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_houbou.pdf」をダウンロード

【アナゴ】 ウナギ目・アナゴ科 

conger eel

いわき市でも100Bq/kg前後で横ばい状態。底魚だが、それほど高い値にはなりにくいようだ。

茨城では現在20Bq/kg程度。宮城ではほとんどが1Bq/kg程度だが、ときどき10Bq/kg程度の
ものが見つかる状況だ。

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アナゴの検査結果一覧(pdf)→ 「120930_anago.pdf」をダウンロード 

【サブロウ】 スズキ目・カジカ亜目・テングトクビレ科 

Poacher (Occella iburia)

現在、最も高い汚染が見つかっている魚.。(いわき市北部採取の平均値で評価した場合)

最大で体長25cmくらいの小ぶりな魚なのだが、なぜこんなに高い値なのだろうか?
胃の中身を調べて報告して欲しいものだ。

ヤセサブロウウオ(近縁種)(Youtube)→ http://youtu.be/ZXLeYQm4NQY

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サブロウの検査結果一覧(pdf)→ 「120425_saburou.pdf」をダウンロード

11. Danraku_bar_2

   根魚 (メバル・カサゴ・ソイ、アイナメ、エゾイソアイナメ、ケムシカジカ)

【メバル・カサゴ・ソイ】 カサゴ目・フサカサゴ科

rockfish and scoorpionfish

アイナメ、コモンカスベ同様、現在非常に高い値が検出されている魚。こちらは岩礁帯の藻場に生息する。

第1原発南側の20-30km圏が特に高いようすがはっきりとわかるが、どのエリアでも
横ばい状態となっている。

茨城ではウスメバルが出荷自粛、茨城中部でクロメバルが出荷自粛となっていたが、
4/10にシロメバルが出荷自粛となったあと、4/13に政府から茨城県のシロメバルの出荷制限
の指示が出された。

宮城県では、金華山沖 1/20採取のクロソイは、230 Bq/kgだったが、メバル類の自粛は
行われていない。

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メバル・カサゴ・ソイの検査結果一覧(pdf)→ 「120930_mebaru.pdf」をダウンロード

【アイナメ】 カサゴ目・アイナメ科

greenlings (Hexagrammos otakii)

比較的浅い岩礁に棲息する魚。7月以降、メバル、コモンカスベと並んで非常に高い値が
出ている。

福島県沖では、ずっと高い値のまま横ばい状態にあるが、第1原発南側の20-30km圏の
値が特に高いことがはっきりとわかる。

卵を守るアイナメの父(Youtube 5分)→ http://youtu.be/NTtJ_b4MeEI

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下図は、茨城県以南のグラフ。 このところ50Bq/kg程度におさまっているように見えるが、
実は、10月以降、福島に一番近い北茨城での調査を1件も行っていなかった。しかし、
4/18に、北茨城のアイナメから 69Bq/kgを検出したため、茨城でも出荷自粛となった。

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アイナメの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_ainame.pdf」をダウンロード

【エゾイソアイナメ(ドンコ)】 タラ目・チゴダラ科

morid fish (Physiculus maximowiczi)

比較的浅い岩礁と周辺の砂底に棲息する魚。一見、アイナメより汚染が低そうに見えるが、
原発南側20-30km圏の調査が1件もないためかもしれない。

こちらも、横ばい状態で下がる気配が見えない。

ドンコ(エゾイソアイナメ)は、茨城から三陸にかけての冬の味覚。来シーズンまでに
数値は下がっているだろうか?

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下図は、茨城県以南のグラフ。 こちらも、北茨城の調査が少ないので、何とも言い難いところだ。

茨城中部では4月から出荷自粛中。

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エゾイソアイナメの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_donko.pdf」をダウンロード

【ケムシカジカ】 カサゴ目・ケムシカジカ科

Sea raven (Hemitripterus villosus)  (英名の raven は ワタリガラス)

やや深い岩礁と周辺の砂底に棲息する魚。福島沖の値はやや高いが、かなりバラツキがあるのが特徴。

ケムシカジカの捕食(Youtube)→ http://youtu.be/VL5n1YAEMgk

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ケムシカジカの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_kemushikajika.pdf」をダウンロード 

12. Danraku_bar_2

   マダイ・チダイ・クロダイ、マトウダイ・カガミダイ

【マダイ・チダイ・クロダイ】  スズキ目・タイ科

tai / red sea bream (Pagrus major) : マダイ
crimson sea bream (Evynnis japonica) : チダイ
Japanese black porgy (Acanthopagrus schlegelii) : クロダイ

全体的に横ばい。クロダイは2種よりやや高めであることがわかる。これは、おそらく生息域が
ほかの2種より浅い場所だから高いのではないだろうか。

茨城では50Bq/kg以下におさまっている。

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マダイ・チダイ・クロダイの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_madai.pdf」をダウンロード

マダイ・チダイ・クロダイの検査結果一覧(pdf)→ 「121102_kurodai_.pdf」をダウンロード

【マトウダイ・カガミダイ】 マトウダイ目・マトウダイ科

John Dory (Zeus faber) : マトウダイ
Dory (Zenopsis nebulosa) : カガミダイ

浅場でも見られる魚だが、マトウダイは水深50~150m位、カガミダイは水深200~300m
位が主な生息域。 福島県沖ではやや高めで、300 Bq/kg台のものも見つかっている。

茨城沖でも、12/28北茨城市沖採取のマトウダイは 71 Bq/kg。

しかし、1月以降は4件しか検査が行われておらず、状況がわからなくなっている。
そこそこ高い値が出ているのだから継続的に調査するべきだし、冬場がシーズンなのに
調査しなかったのも解せない。

横になって泳ぐマトウダイ(Youtube 6分)→ http://youtu.be/-SLqETKw21s

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マトウダイ・カガミダイの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_matoudai.pdf」をダウンロード

13. Danraku_bar_2

   浅い砂地の魚(フグ、カワハギ、ニベ・シログチ)

【フグ】 フグ目・フグ科 

puffer fish

福島では下がっているように見えるが、茨城では上昇しているようにも見える。

茨城ではショウサイフグが出荷自粛、茨城北部のヒガンフグが出荷自粛。

仙台湾では4/1からヒガンフグが出荷自粛。

4/20 宮城県 「ヒガンフグの放射性物質検査結果」

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フグの検査結果一覧→ 「120930_fugu.pdf」をダウンロード   

【カワハギ・ウマヅラハギ】 フグ目・カワハギ科 

Thread-sail filefish (Stephanolepis cirrhifer) : カワハギ
Black scraper filefish (Thamnaconus modestus) : ウマヅラハギ

いずれも底から中層にかけて棲息するが、カワハギのほうが浅いところに棲息する。

フグにくらべると汚染はずっと低いが、理由はわからない。

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カワハギ・ウマヅラハギの検査結果一覧→ 「120331_kawahagi.pdf」をダウンロード

【ニベ・シログチ(イシモチ)】 スズキ目・ニベ科 

drumfish / nibe croaker (Nibea mitsukurii) : ニベ
drumfish / white croaker (Pennahia argentata) : シログチ(イシモチ)

福島・茨城沖のニベは100Bq/kg を超える値で横ばい状態。茨城県ではニベは出荷自粛中。

興味深いのは、近縁種で、生息域もそれほど違わないシログチ(イシモチ)の数値は
全て80 Bq/kg以下にとどまっていて、明らかに差があることだ。

東京湾のシログチ(イシモチ)は 5Bq/kg程度。

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ニベ・シログチ(イシモチ)の検査結果一覧(pdf)→ 「120331_nibe.pdf」をダウンロード

14. Danraku_bar_2

   深場の魚(マダラ、スケトウダラ、アンコウ、メヒカリ、キンメダイ・キンキ・アカムツ)

【マダラ】 タラ目・タラ科

Pacific cod (Gadus macrocephalus)

9月以降、三陸より北でたくさん検査されているが、岩手・青森・北海道沖でも60~90Bq/kg
程度のものがたくさん見つかっている。

4月から茨城と宮城では出荷自粛中だが、岩手・青森で100Bq/kgを超えてもおかしくない。

福島沖のマダラが回遊によって移動するためだと思われるが、詳しいことはわかっていない。

尚、マダラの肝(肝臓)は、筋肉部よりだいぶ低い。

4/17 宮城県 「マダラの水揚自粛について」

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マダラの検査結果一覧(pdf)→ 「120930_madara.pdf」をダウンロード 

【スケトウダラ】 タラ目・タラ科

Alaska pollack (Theragra chalcogramma)

スケトウダラのサンプルは、マダラよりも明らかに低い。スケトウダラはあまり移動しないため
なのだろう。但し福島沖では最高97Bq/kgに達するものもある。

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スケトウダラの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_suketou.pdf」をダウンロード 

【アンコウ アンコウ目・アンコウ科

anglerfish

水深500mくらいまでの深海に棲息する。7~8月は禁漁だが、4~6月も禁漁区が設定

全般的に低下していて、11月以降は福島でも100Bq/kg超えのものはない。

茨城産は1月以降は15Bq/kg程度だが、若干高めのものもあり、3/19ひたちなか沖採取は
45Bq/kgだった。

冬場のアンコウ鍋は北茨城の名物だが、しかしめったに食べるものではないから、もう
それほど気にする必要はないだろう。

尚、肝のセシウム濃度は身よりも低い。

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アンコウの検査結果一覧(pdf)→ 「120930_ankou.pdf」をダウンロード   

【アオメエソ(メヒカリ) ヒメ目・アオメエソ科

Round Greeneyes (Chlorophthalmus borealis)

Mepikarigazou  (メヒカリはいわき市の魚

生態については、メヒカリの研究者 @n_hirakawa さんの「メヒカリ information」に詳しい。

  「福島県沖では、冬季は深所(200~300m)、春~夏にかけて浅所(100~200m)に移動する」
  「1年を通しほとんどオキアミを食べている」

福島・茨城のメヒカリは、秋以降ずっと10~20Bq/kgでそれ以上下がらない。
3/26北茨城採取のツノナシオキアミは5Bq/kgだったから、
「数Bq/kgのオキアミを食べて、10Bq/kg台になっている」状況が続いているのだろう。

(福島の検出限界はCs各10Bq/kg程度だから、福島では検出限界を下げないと
 正確な状況はわからなくなっている。)

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アオメエソ(メヒカリ)の検査結果一覧(pdf)→ 「120331_mehikari.pdf」をダウンロード

【キンメダイ・キチジ(キンキ)・アカムツ 

これらは、大陸棚のやや深いところに棲息する魚だが、何れも、あまり高い値は出ていない。

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キンメダイ・キチジ・アカムツ等の検査結果一覧(pdf)→ 「120331_kinmedai.pdf」をダウンロード 

15. Danraku_bar_2

   サバ、アジ、ブリ・カンパチ

【サバ】 スズキ目・サバ科

chub mackerel (Scomber japonicus)  : マサバ
blue mackerel (Scomber australasicus) : ゴマサバ

どのエリアでも夏以降ずっと低下傾向にあり、銚子~鹿嶋沖のマサバ・ゴマサバは 5~6Bq/kg
程度まで下がっている。福島沖のサバは1月以降はNDだが、福島の検出下限はCs各8Bq/kg程度
だから、10Bq/kgくらいあるかもしてない。

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マサバ・ゴマサバの検査結果一覧→ 「120331_saba.pdf」をダウンロード   

【アジ】 スズキ目・アジ科

Japanese jack mackerel / Japanese horse mackerel (Trachurus japonicus) : マアジ
amberfish (Decapterus maruadsi ) : マルアジ
brownstriped mackerel scad (Decapterus muroadsi ) : ムロアジ

アジの放射性セシウム濃度はサバより高めだが、茨城沖のマアジは20~30Bq/kgまで下がってきた。

福島沖では、12月以降は1件(2/15 いわき市植田採取:ND)しか調査が行われておらず、
状況がわからなくなっている。

サバの数値が低下する一方、アジの数値がゆっくりとしか下がらないのは、食性が違うためだろうが、
はっきりしたことはわからない。

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マアジ・マルアジ・ムロアジの検査結果一覧→ 「120331_aji.pdf」をダウンロード   

【ブリ・カンパチ】 スズキ目・アジ科

Japanese amberjack / yellowtail (Seriola quinqueradiata) : ブリ
Greater amberjack / ruderfish (Seriola dumerili) : カンパチ

9月から11月に、岩手県でたくさん検査された。 9/26宮古市沖のブリは 105Bq/kg。

しかし、茨城・福島・東北の検査は、1月以降2件(ND)しかなく、状況がわからなくなっている。

千葉・神奈川沖のカンパチからは、10月頃は50~60Bq/kgのものが見つかっていたが、
その後冬になりシーズンオフのためかカンパチの検査は行われていない。

房総沖のブリは、現在は10Bq/kg程度に下がっている。

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ブリ・カンパチの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_buri.pdf」をダウンロード

16. Danraku_bar_2

   サメ

【ヨシキリザメ・アオザメ・ネズミザメ・アブラツノザメ・ホシザメ】 軟骨魚綱・板鰓亜綱

Blue shark (Prionace glauca) : ヨシキリザメ (メジロザメ目・メジロザメ科)
Shortfin mako shark (Isurus oxyrinchus) : アオザメ (ネズミザメ目・ネズミザメ科)
Salmon shark (Lemna ditropis) : ネズミザメ (ネズミザメ目・ネズミザメ科)
Spiny dogfish / Piked dogfish (Squalus acanthias) : アブラツノザメ (ツノザメ目・ツノザメ科)
starspotted smmoth-hound (Mustelus manazo) : ホシザメ (メジロザメ目・ドチザメ科)

サメのヒレはフカヒレに加工されるため、加工場のある気仙沼に多く水揚げされる。

沖合捕獲のヨシキリザメ(高級な白はんぺんの材料)の汚染度はごく低い。

ネズミザメは、栃木県ではモロ(モウカサメ)と呼ばれてポピュラーな切り身だそうだ。
ネズミザメの検査数は少ないが、沖合捕獲でも40Bq/kg程度ある。
魚食性だが、マダラなどを食べるとやや高くなるかもしれない。

アブラツノザメは青森県でいちばん食べられているそうだ。語源は肝油を採ったため?。
市場魚介類図鑑では「サメの中ではもっとも味がいい」としている。
いわき市採取のものはやや高いが、宮城県採取のものの汚染はごく低い。

ホシザメは甲殻類などの底生生物を主に食べているサメ。福島採取のものは100Bq/kg程度
あったが、1月以降検査例がない。

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サメの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_same.pdf」をダウンロード

17. Danraku_bar_2

   20km圏内の調査結果 (11/4 update)

6/8公表で、ようやくF1に非常に近い海域での底魚の調査が行われた。

8/21公表で、アイナメ 25,800 Bq/kg

11/2公表、1F港湾内のマアナゴ 15,500 Bq/kg。

20km圏の水産物の検査結果(xls) → 「suisan_20km.xls」をダウンロード  (11/2公表分まで)

出典: 東電(記者会見資料)
  4/12公表 http://goo.gl/zyA24
  4/20公表 http://goo.gl/i01jg
  4/25公表 http://goo.gl/kzv6Q
  4/27公表 http://goo.gl/A2Ttc
  5/11公表 http://goo.gl/FkTeF
  5/16公表 http://goo.gl/LX3ZG (5/25一部訂正 http://goo.gl/DgSFw
  5/25公表 http://goo.gl/e2rWu
  5/29公表 http://goo.gl/V8m0x (5/30一部訂正 http://goo.gl/zKSxQ ) (5月までまとめ)
  6/1公表 http://goo.gl/oowPM
  6/8公表 http://goo.gl/yvJJt  (7/31一部訂正 http://goo.gl/WDrV9
  6/15公表 http://goo.gl/pIRm8  (7/31一部訂正 http://goo.gl/97KQ5
  6/18公表 http://goo.gl/xviwX (6/15公表までのまとめ)
  6/22公表 http://goo.gl/0CX6x
  6/29公表 http://goo.gl/MTQU2
  7/4公表 http://goo.gl/vqHMG
  7/12公表 http://goo.gl/gh3AB (6月までまとめ)
  7/13公表 http://goo.gl/ExQfX
  7/24公表 http://goo.gl/5lttL
  7/31公表 http://goo.gl/shZwE
  8/21公表 http://goo.gl/uxu3T
  8/28公表 http://goo.gl/2rVaP (8月までまとめ)
  9/19公表 http://goo.gl/Z0OYJ
  9/26公表 http://goo.gl/w7hZj (9月までまとめ、太田川周辺調査、Ag-110m、Sr-90)
  9/28公表 http://goo.gl/EW10W (Ag-110m、Sr-90)

  モニタリング位置(5/8) http://goo.gl/eRHFR

  グラフ(5/29)

  120529_20km_graph

  モニタリング位置(5/29)

  20km_chiten

18. Danraku_bar_2

   放射性銀 Ag-110m

節足動物や軟体動物の内蔵は、銀を高い濃度で濃縮することが知られている。

  ・イカの肝臓は、海水中の銀を数百万倍も濃縮することが知られている。(ATOMICA

今回の事故で、放射性銀Ag-110mの放出量はそれほど多くないが、それでもイカの肝臓
などには、それなりの濃度で濃縮されている可能性がある。

  ・10/31文科省 銀110mの土壌濃度マップ (ほとんどの地点でCs-137の1%未満)

福島周辺のイカをまるごと、あるいは肝臓だけGe検出機で放射性セシウムを測定すれば、
同時に放射性銀Ag-110mも測定できているはずだが、そうした報告がないのは、
何らかの事情で公表が控えられているためだろう。

食品の暫定基準、新基準では、Ag-110mの影響は考慮されていない。
8/12 薬事・食品衛生審議会放射性物質対策部会資料 http://goo.gl/N3JVH では、
「日常的に大量に摂取することは考えにくい」などとして、Ag-110mについての規制を設けなかった
理由を説明している。

食品中の放射性銀について教えて下さい (国立保健医療科学院)

  放射性銀の性質についての非常にていねいな解説。

水産物中のAg-110m、Pu-239+Pu-240、Sr-90 (昨年6/21 小名浜沖採取)

120224_ag_pu_sr

   イカ類にAg-110mがけっこうあったことがわかる。

   Pu, Srの単位が「mBq/kg」であることに注意。
   (Puは 0.00002 Bq/kg以下、 Srは 0.03 Bq/kg以下)

Togetter「再び脚光を浴びる放射性銀(Ag110m)」 (2012/6/24)

Togetter「続・再び脚光を浴びる放射性銀:イカタコから放射性セシウムが出ないのに放射性銀が出るのはなぜか?」 (2012/6/26)

11/27 22:00~ NHK 「ETV特集 海のホットスポットを追う」
  Togetter「海のホットスポットを追う【ETV特集】のまとめ」

  銀110mの測定: アワビ(乾燥) 416 Bq/kg、アワビ肝(乾燥) 1,850 Bq/kg
  (乾燥重量なので比較するときは注意)

Togetter 「ベクミルオフ会参加者の終了後のツイート」 (12/13)
  いわき市のタコ(非流通品)から、若干のAg-110mを検出。

Togetter 「あちこちで脚光を浴びる放射性銀(Ag110m)」 (11/29)

「飯舘村のジョロウグモは放射性銀を1000倍に濃縮していた!」 (10/30 WINEPブログ)

19. Danraku_bar_2

   リンク: 淡水魚

【イワナ・ヤマメ・ニジマス】(その他サケ科淡水魚)

2月以降、イワナ、ヤマメの検査がこれまで調査のなかった川でもたくさん行われ、
淡水魚の汚染のようすがだいぶ明らかになってきた。

「イワナ・ヤマメ・ニジマスの検査結果」(xls) → 「iwana_yamame.xls」をダウンロード (5/31公表分まで)

「関東・東北のヤマメ・イワナ・マス類の放射能汚染まとめ」 (2/26~ フライの雑誌社)

【ウグイ・フナ・コイ】(その他コイ科淡水魚)

2月以降、ウグイの検査がこれまで調査のなかった川でもたくさん行われた。

「ウグイ・フナ・コイの検査結果」(xls) → 「ugui_koi.xls」をダウンロード (5/31公表分まで)

【アユ】

阿武隈川(福島市、伊達市)は、9月まで高い値が出続けているが、
いわき市の鮫川や夏井川では、秋までにはだいぶ数値は低くなった。

那珂川、久慈川、鬼怒川など、大きな川はやはりなかなか下がらないようだ。

「アユのセシウムの放射能濃度(2011年)(googleマップ)」

Ayu_map_2

アユの検査結果一覧 (xls)→ 「ayu.xls」をダウンロード 

【ワカサギ】 

芦ノ湖、野尻湖、岩洞湖(盛岡市)など、セシウム降下の少ない場所でも数10Bq/kg出ている。

「ワカサギのセシウムの放射能濃度(googleマップ)」 (1/15更新:最新ではありません)

111115_wakasagi_map

赤城大沼のワカサギの放射性セシウム濃度

Wakasagi_akagi

単純な予測では、赤城大沼のワカサギの放射性セシウムが100Bq/kg以下になるのは、
2年くらい先かもしれない。

(少ないデータをもとにした単純な予測なので、どうなるかはわからないが。)

桧原湖のワカサギ、秋元湖のワカサギ、秋元湖のイワナ・ヤマメの放射性セシウム濃度

Wakasagi_hibarako_2

桧原湖のワカサギの汚染は比較的速く低下している。

秋元湖のワカサギ、イワナ・ヤマメの低下はゆっくり。
(秋元湖では数値のバラツキが大きいので、近似線は参考程度に見てください。)

霞ヶ浦の水産物の検査結果(pdf) → 「120930_kasumigaura.pdf」をダウンロード 

赤城大沼の淡水魚の検査結果(pdf) → 「121031_akagionuma.pdf」をダウンロード

中禅寺湖の淡水漁の検査結果(pdf) → 「121031_chuzenji.pdf」をダウンロード

20. Danraku_bar_2

   リンク集(作成中)

【公表データをまとめたページ】

食品の放射能データ検索もどき(実験) (3/21公表以降のデータ)
http://oku.edu.mie-u.ac.jp/food/ (奥村晴彦さん)

yasaikensaサイトデータ検索もどき(実験)
http://oku.edu.mie-u.ac.jp/yasaikensa/ (奥村晴彦さん)

食品中の放射性物質の検査結果 検索テスト (奥村さんのデータを利用、表示の仕方が違う)
http://www.support-nippon.com/radsrh/index.html

食品の放射能検査データ ((財)食品流通構造改善促進機構) (2012年4月末終了)

全国の食品の放射能調査データ
http://atmc.jp/food/

食品放射能検査値ボット
https://twitter.com/#!/foodrad_bot
   過去3週間の食品の放射能検査公表値をリプライする非公式ボット。
   [@foodrad_bot 食品名]または[@foodrad_bot 県名 食品名]で話しかけると最大値と
   平均値を自動応答します。
   使い方まとめ: http://togetter.com/li/173970

出荷制限のあった地域と品目(2012/4/5 @parasite2006 さん)
http://goo.gl/w7yWq

【公表元リンク集】

厚生労働省 「食品中の放射性物質の検査結果」
http://goo.gl/qjngW

   「報道発表資料」 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/ のほうが少し早く掲載される。

厚生労働省 「全国の過去の検査結果」
http://goo.gl/MimVe

   月別のExcelファイル。(更新はやや遅い)

厚生労働省 「食品中の放射性物質の検査について」
http://goo.gl/SwcK1

   日本地図をクリックすると、都道府県別のExcelファイルのリンクがある。(更新はやや遅い)

   右側に出荷制限の一覧、設定・解除の情報がある。

2012/3/12 厚労省 「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」の改正について
http://goo.gl/AawgU

   (2011/8/4 「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」)

水産庁 「水産物についてのご質問と回答(放射性物質調査)」 (2012/4/8更新)
http://goo.gl/yyfca

水産物の放射性物質の調査結果(xlsで公表-11/1開始)
  http://goo.gl/5JqAp
 (これをほかの表にコピーすると、H列とJ列の間にあるI列「採取日」を見られます。)

  (独)水産総合研究センターによる水産物放射性物質調査結果「海藻編」(PDF)
   http://goo.gl/d9eqt (2011/7/5更新)

  (独)水産総合研究センターによる水産物放射性物質調査結果「魚介類編」(PDF)
   http://goo.gl/hGmka (2011/11/18更新)

  (独)水産総合研究センターによる水産物放射性ストロンチウム調査結果(PDF)
   http://goo.gl/c2o8G (2012/3/9更新)

   水産物の種類毎の放射性物質の調査結果 (2012/3/末までのぶん)
   http://goo.gl/Fr1sy

     分析部位の表記があります。

北海道 「北海道放射線モニタリング総合サイト」
http://monitoring-hokkaido.info/

   「水産物」タブをクリックすると、魚種別に見ることが出来る。全部のcsvデータもある。

青森県 「水産物の放射性物質検査結果」
http://goo.gl/FCXTe

岩手県 「環境放射能に関する情報(福島第一・第二原子力発電所事故関係)」
http://goo.gl/IQNjj

秋田県 「県産農産物等に含まれる放射性物質の検査結果」
http://goo.gl/Ncdzw

山形県 「県産農畜産物等の放射性物質検査」
http://goo.gl/y0TaZ

宮城県 「放射能情報サイトみやぎ」
http://goo.gl/gFVyR

   放射能測定結果(公表日順 excel
   http://goo.gl/abE7r

   放射能測定結果(記者発表資料)
   http://goo.gl/P0cwJ

     10/19以前は、捕獲場所が地図で示されていた。

福島県 「公表日ごとのモニタリング検査結果」(速報)
http://goo.gl/Xxaxb

   福島県 「農林水産物モニタリング情報(ふくしま新発売)」
   http://goo.gl/MTH3t

   福島県水産試験場

     魚介類の検査結果(一覧、魚種別、基準値を超えたもの、傾向、採取位置
     放射性物質の局在性に関する調査結果
     海水・海底土壌の検査結果(一覧、分布図
     魚介類の餌生物等の検査結果

   いわき市 農林水産部 水産振興室

茨城県 「福島第一原子力発電所事故に伴う県内水産物の分析結果」 (グラフあり)
http://goo.gl/8Ogo6

   茨城県 「農林水産物モニタリング情報」 条件指定で検索可能
   http://goo.gl/aIylP

   茨城県漁政課 (検査結果、出荷・販売等の規制に関する情報)
   http://goo.gl/8WmKo

栃木県 「放射能に関する農林水産物の安全性確認状況」
http://goo.gl/r8k6P

群馬県 「放射性物質に係る県産農産物の安全性」
http://goo.gl/tMI5j

千葉県 「水産物の放射能検査結果」
http://goo.gl/reRTP

東京都 「農畜産物中・水産物等の放射能測定結果」
http://goo.gl/Us4aA

神奈川県 「県内で生産された食品中の放射性物質の検査結果」
http://goo.gl/kopqq

   神奈川県産水産物への放射能の影響について(Q&A)  (マップあり)
   http://goo.gl/msPqd

   横浜市で実施した食品の放射性物質の検査結果 (Excel)
   http://goo.gl/qfGXY

   川崎港で採取された魚介類の放射能濃度 (2012/3/13)
   http://goo.gl/1vdWV

静岡県 「農畜水産物の放射性物質検査物質検査について」
http://goo.gl/YRJSN

静岡県 「水産物の放射能検査について」
   http://goo.gl/ja4uP

   「浜岡原子力発電所周辺環境放射能調査結果」
   http://goo.gl/jQ78p

新潟県 「水産物の放射性物質の検査結果」
http://goo.gl/ktF8u

山梨県 「県産農産物の放射性物質検査結果一覧」
http://goo.gl/gq0eX

長野県 「県内産農産品等の放射性物質測定結果」
http://goo.gl/mu0nw

GREENPEACE Japan 「グリーンピース放射能測定室」
http://goo.gl/M5qyN

   「第3回目調査(海洋調査)」(5/26)
   http://goo.gl/sejJW

   「第4回目調査(海洋調査)」(8/16)
   http://goo.gl/ZKwnV

   「第6回目調査(海洋調査)」(9/15)
   http://goo.gl/pnwkI

   「第7回目調査(海洋調査)」(10/5)
   http://goo.gl/TKMHn

   「秋のお魚調査(第1回流通品調査)」(10/20)
   http://goo.gl/dVsKA

   「第8回目調査(海洋調査)」(11/1)
   http://goo.gl/sqwtw

   「冬のお魚調査(第2回流通品調査)」(11/17)
   http://goo.gl/JL7vj

   「冬のお魚調査(第3回流通品調査)」(12/14)
   http://goo.gl/z2JU3

   「冬のお魚調査(第4回流通品調査)」(2012/2/29)
   http://goo.gl/FZRrh

   「魚介類缶詰(第5回流通品調査)」(2012/4/2)
   http://goo.gl/3mL9R

   「第9回目調査(阿賀野川・最上川河口)」(2012/5/29)
   http://goo.gl/WNi0s

   「鮮魚・回転寿司(第6回流通品調査)」(2012/7/18)
   http://goo.gl/MhJJ2

   「第10回目調査(千葉県:銚子港、千倉港、金谷港)」(2012/8/28)
   http://goo.gl/HH742

   「回転寿司(第7回流通品調査)」(2012/9/7)
   http://goo.gl/0yF2L

   「第11回目調査(千葉県)」(2012/9/21)
   http://goo.gl/o10Mq

   「第12回目調査(千葉県)」(2012/10/5)
   http://goo.gl/3csJL

   「鮮魚(第8回流通品調査)」(2012/10/25)
   http://goo.gl/ufa0W

   「第14回目調査(千葉県)」(2012/10/31)
   http://goo.gl/uRqHV

   「第15回目調査(千葉県、東京湾、新島島)」(2012/11/16)
   http://goo.gl/RvHjm

   「鮮魚(第9回流通品調査)」(2012/11/22)
   http://goo.gl/GqpIy

   「第16回目調査(千葉県、東京湾、八丈島)」(2012/11/30)
   http://goo.gl/8YIbS

【リンク集(主な公表資料とブログ記事)】 (新しいものが上)

(工事中)

【リンク集(お役立ち)】

「写真図鑑 東京湾の動物たち」 (東邦大学理学部 東京湾生態系研究センター)

「東京の川と海のいきもの」 (東京都環境局)

  本 「東京の川と海のいきもの」(\1,100)は、都民情報ルームで購入できます。

【水産物の移行係数】

「海産物と放射能」-特に海産魚中のCs-137濃度に影響を与える要因について (1999年、笠松 不二男)

海産生物の濃縮係数 (ATOMICA)

Kaisan_noushuku

Sediment Distribution Coefficients and Concentration Factors for Biota in the Marine Environment

(IAEA TECHNICAL REPORTS SERIES No.422)

  海洋における係数Kd(底質の放射能濃度/海水の放射能濃度)

  様々な生物の濃縮係数

北極海に廃棄された核物質の生物濃縮に関する論文 (英文pdf 4p)

  Table2: 様々な生物の、Sr-90、Cs-137、Pu-239+240 の濃縮係数の一覧表

Eco Doses  Improving radiological assessment of doses to man from terrestrial ecosystem

  (北欧原子力安全研究プロジェクト NKS-110 2005年7月) http://goo.gl/6Irxa

  北欧の湖沼における、いろいろな魚の濃縮係数

  Cfs_nordic_lake

  濃縮係数は湖により、かなり差があるが、富栄養湖で低く、貧栄養湖で高い。

  上のグラフの左4種が肉食魚、右4種が非肉食魚で、肉食魚ほうが濃縮係数が高い。

海産生物と放射性物質 (海洋生物環境研究所)

「海産魚におけるCs-137濃度の変動要因」 ( 海生研ニュース72 2001年)

  Kaiseiken72_2

  Kaiseiken72_3

海域に負荷された137Csの影響予測-チェルノブイリ事故前後の資料と経年変動予測式をもとに (海洋生物環境研究所)

  Kaiseiken95

原子力百科事典 ATOMICA より

放射性核種の体内移行と代謝 (2001/10)

食品中の放射能 (2004/08)

放射性核種の生物濃縮 (2004/08)

水産生物への微量元素の特異的濃縮 (1998/03)

放射能の河川、湖沼、海洋での拡散と移行 (2003/03)

「海洋での放射性物質のゆくえを徹底調査する」 (4/21 日下部 正志)

Togetter 「セシウムイオンの生物濃縮について」 (2/7)

Togetter 「勝川准教授がteam_nakagawa「セシウムは生物濃縮しない」発言を批判」 (2/8)

@torii_h さんのツイート(10/15)

[資料] 環境濃縮を気にしてる方が多いと思うので以下に米国のデータを掲載しておきます。
米核施設 Savannah River Site における生物濃縮の調査。出所:米DOE

セシウムの生物濃縮係数: 魚肉max48,000倍。水鳥19,000倍。クワイ20.8倍。
魚は食べるなということ。

http://twitpic.com/4xgn8z http://twitpic.com/4xgnwn

セシウムの生物濃縮係数: キノコ18.4倍。米0.96倍。小麦0.18倍。
穀物は比較的大丈夫だ。

http://twitpic.com/4xgokv http://twitpic.com/4xhwin

ストロンチウムの生物濃縮係数: 魚骨max63,000倍。無脊椎動物max54,000倍。
魚肉48倍以下。水産物はヤバい。

http://twitpic.com/4xhsid

ストロンチウムの生物濃縮係数: 大豆2.51倍。とうもろこし0.15倍。穀物は大丈夫。
http://twitpic.com/4xhsid

以上が米SRS核施設のデータ。他に英再処理施設のデータが少々。チェルノブイリは淡水域のみ。
これしかないのが現実なのでフクシマの水産物・海産物に関して断定的な意見が
出てきたならば学者であれ政府であれ疑ってよいのでしょう。

【セラフィールド事故】

年次報告書2010 Monitoring our Environment (Sellafield Ltd)

セラフィールド事故は、再処理工場からの汚染なので、PuやAmなどの重い元素が
海洋に放出されたが、福島の原発事故では、そのような元素は(敷地の近傍を除けば)
ほとんど拡散されていないようだ。

セラフィールド沖の観測では、こうした元素は海底からほとんど動かず、長期間経過しても
ほとんど減っていないことがわかる(但しセシウムの話ではない)。

セシウム-137の推移美浜の会

水産物中のCs-137が1/10になるのに、5年くらいかかっていることがわかる。

福島沖の水産物に値段が付くようになるまでに、5年くらい必要かも知れない。

セラフィールド再処理工場からの放射能放出と白血病 (2005年、今中哲二)

【水産庁の見解】

水産庁が 3/29に開いた説明会→ 「110329_sankei_suisan.jpg」をダウンロード

   このときの資料 「水産生物における放射性物質について」

「汚染水を海に流してほんとに大丈夫?お魚を食べても大丈夫?」を子育てママが理解するまで (10/11 pdf)

「どうして放射性物質を海に捨てても生物濃縮の問題にならないの?」 (10/11 pdf)

   「水産生物における放射性物質について」水産総合研究センター森田先生のスライドを理解する。

2012年2月29日 (水)

東京湾の海底土汚染は深刻な問題を起こさないかもしれない

キーワード: 東京湾 水産物 魚介類 汚染 放射性セシウム Cs 放射性物質 循環 海底土 河川 荒川 NHK 赤城大沼 湖沼 北欧 ワカサギ

Hiraniza

Photo(Top): Angaga Thila, Ari atoll, Maldives  ヒラニザとアオヤガラ(モルディブ・アリ環礁)

■ 商用目的・商用サイトを除き、図表の無断引用・転載はご自由にどうぞ。

  尚、このエントリーの説明は、現段階では仮説を含んでいますので念のため。

  (但し出典を明記のこと。なお説明の追記など以外の無断改変は厳禁です。)

最近、奥 修 さんの講演 「放射性物質の海洋への広がりを読む」(2/18 なごや環境大学)

の資料を拝見する機会があり、その後、奥 さんにメールで教えを乞うことによって、頭の中の

モヤモヤがちょっと整理された気がするので、そのことについて書いておきたい。

もちろん、「東京湾の汚染は問題ない」という安全デマを流したいわけではなく、東京湾の

汚染については、入念に調査を行って状況を明らかにすることが必要なことは言うまでもない。

しかし、放射性セシウムの「放射能濃度だけ」ではなく、放射性セシウムの形態を考えることが、

現在の状況を理解する上で必須の課題となっている。この点については、まだあまり述べられて

いないように思う。

(7/5追記) 「水産物についてのご質問と回答(放射性物質調査)~6月29日更新~」

       のQ6を見てください。

Suisan_q6

このエントリーで書いたことと、同じような説明に書き換わっています。

東京湾の水産物の放射能濃度(xls)「Tokyo_bay.xls」をダウンロード  6/15公表分まで)

アサリ・ハマグリの放射能濃度(pdf) → 「120331_asari.pdf」をダウンロード  (3/31公表分まで)

Togetter「荒川から東京湾への放射性セシウム流入量を、おおまかに推定してみる」 (6/12)

Togetter「2012年6月15日開催 国立環境研究所公開シンポジウム2012
『大震災と環境再生~災害に立ち向かう環境研究の最前線~』(東京会場)実況まとめ」
(6/15)

1. Danraku_bar_2

   放射性セシウムの形態と挙動

海域の放射性セシウムは、

  a. イオンとして水中に溶けた形態

  b. 生物に取り込まれた形態

  c. 有機物に付着した形態(生物の死骸、排泄物を含む)

  d. 無機物に付着した形態

  e. 無機物(特に粘土鉱物)に強く結合した形態

のように分けて考える必要がある。

福島第1原子力発電所から最初に放出されたときは、放射性セシウムのほとんどは

イオンの形で放出された。(大気中に放出、汚染水で放出の両方とも。)

海水中のセシウムイオンは、そのまま広く拡散しつつ、生物に取り込まれたり、

無機物、有機物に付着したりして、環境中で拡散しながら循環して行った。

しかし、陸上のように、(粘土)鉱物粒子に出会って取り込まれることはなかなか起こらず、

(粘土)鉱物との結合はゆっくりとしか進行しない。

最初の5つの形態のうち、a.~c. については、生態系の中で循環してゆくが、

d. e. のように鉱物と結合した場合は生物への移行はなかなか起きないと考えられている。

( e. のように粘土鉱物に強く結合した場合、Csの溶出は容易には起こらないが、

 微生物の活動などにより、環境中でも僅かながら溶出は起る。)

120301_fukushimaoki

図1) 放射性セシウムの形態によって、生物への移行しやすさは異なる

    放射性セシウムの量だけではなく、それぞれの比率が重要

    むろん実際は物質によって移行しやすさは異なるので、おおまかな理解のためのモデル。

    尚、単純化のため、以下の図では d.は省略する

奥さんの講演で紹介されているのだが、「海洋中の粒子態Csの濃度が、有機的炭素と比例関係にある

という知見があるそうだ(この研究はまだ未公表?)。これは、現状で、海洋中の放射性セシウムの

多くが、生物または生物由来の物質(上記の b. c.)に存在していることを示唆している。

(陸上由来の放射性セシウムの影響が小さい場所の場合。)

つまり、現在福島沖にある「海底土」に含まれる放射性セシウムは、土のような無機物に

結合したものは少なく、「海底土中に含まれる有機物」に結合したものが多い、というふうに

理解するほうが正しいようだ。(この比率は今のところ明らかではないが、これによって、

水産物への放射性セシウムの移行率が左右される。) これが目下の状況である。

120301_iwakishioki

図2) 福島・いわき市沖の現在の状況

    福島沖では有機物に含まれるCsの比率が高い

    但し、定量的にどのような比率になっているかは明らかではない。

(参考) 「海底土の汚染メカニズム セシウムの挙動」 (2/24 ポストさんてんいちいち日記)

    これまでの基礎的な知見の良まとめ。

(参考) 「種々の疑問に関する専門家の意見」 (日本海洋学会 震災特設サイト)

    海洋中での放射性セシウムの挙動について、これまでの知見が紹介されている。

    但し、あまり整理されておらず読みにくいのと、2011年8月23日で終わっているのが

    残念。最新の意見を読みたいところだ。

ゴカイは、海底土からをけっこうCsを取り込む可能性もあるようだ(3/9 コメント欄に記載)。

もし、ゴカイが鉱物に結合したCsもそれなりに取り込めるようなら、けっこう脅威なのだが、

実際のところ、どうなのだろうか?

2. Danraku_bar_2

   東京湾に流入する放射性セシウム

河川中に含まれる放射性セシウムは、事故直後を別にすればイオン態のものはごく僅かしか

存在せず、何らかの粒子(無機物または有機物)に付着した形態で流れている。

有機物、例えば落ち葉に付着したもの(or含まれるもの)は、海洋まで流されて分解されれば、

生物に取り込まれやすいが、粘土鉱物に結合した放射性セシウムは、海洋に達しても

なかなか溶出せず、生物に移行する割合は低いと考えられている。

河川から流入する放射性セシウムの形態の比率も、あまり明らかではない(さらに言えば

大雨の時と平常時でも異なる)が、河川水中の懸濁物質に、泥(粘土粒子)の比率が多い

ことは言うまでもない。

(参考) 恩田 裕一 「放射性物質の環境中での移行」 (東大の講義スライド)

Ss_flax_ratio

    阿武隈水系での観測では、河川から海に流出する放射性セシウムは、
    ほとんどが浮遊砂(SS: suspended sediment ; suspended sand)のかたちであることが
    わかっている。(2011年6月~8月の観測)

    (注:「砂」と言っても粒径による分類であり、無機物とは限らない。)

つまり、粘土鉱物に結合した放射性セシウムが大部分であれば、東京湾の海底土の

放射性セシウム濃度が高くなったとしても、生物に移行する割合は低く、深刻な水産物の

放射能汚染にはつながらないかもしれない。

120229_tokyobay

図3) 東京湾に流入する放射性セシウムのうち、有機物に含まれているセシウムが問題

(これが正しいかどうかは、むろん実際に検証しないとわからない。)

NHKの番組で紹介された調査では、荒川河口部の海底土は既に 900 Bq/kg近くに

達しているが、福島沖で激しい底魚の汚染が起きている場所でも、海底土の放射性セシウム濃度は

現在、多くの場所で 1,000(Bq/kg湿土)以下である。→ @tsokdba さんブログ(2/25)

(3/30追記) 福島第1原発20km圏の海底土 http://goo.gl/lrpBN

        (やはり単位がBq/kg湿土なのに注意: 乾土ならおそらく2倍以上。)

1201_nhk

もし、海底土の放射性セシウム濃度だけで水産物の汚染度が決まるのであれば、

とっくの昔に、東京湾沿岸で高い汚染度の魚が見つかっている筈だと思う。

(参考) 東京新聞(3/2)の記事 http://goo.gl/7WaeP では、

       山崎教授は「今まさに原発事故由来の放射性物質が、首都圏の放射能濃度の
       高い地域を流れる河川から東京湾に届いたところ。今後の推移を見守るため、
       国による継続的な調査が必要だ」と指摘する。

    となっているが、デタラメもいいところだ。

111108_jyousui_tokyo

           東京都の浄水場発生土の放射性セシウム濃度

     上表の浄水場発生土の放射性セシウム濃度で明らかなように、河川水中の放射性セシウム濃度は

     事故直後から下流部で検出されていて、事故直後のほうが高い濃度だったのだ。

現状では、東京湾河口部の魚介類の汚染は低いので、海底土から生物への移行は

起こりにくい状態のように思われる。むろんこれは、乏しい公表情報をもとにした

推量でしかない。しかし、河口部の堆積物に含まれる放射性セシウムの

形態を評価・分析することによって、もっと状況がはっきりするはずなので、そうした調査を

要望したいと思う。

また、心配なのは河川から流入する放射性セシウム以外にもある。

国立環境研究所の調査によると、浄水発生土、下水汚泥焼却灰、一般廃棄物焼却主灰

の場合、雨水などが浸透してもほとんど放射性セシウムは溶出しないことがわかっているが、

一般廃棄物焼却飛灰の場合は、容易に放射性セシウムが水に溶け出すことが明らかに

なっており、保管・処分には厳重な注意が必要とされている。こうした放射性廃棄物(特に飛灰)

の処分法の長期的な安定性は300年くらいに渡って慎重に評価する必要がある。

さもないと将来思わぬ汚染を引き起こすかもしれない。

(横浜市の南本牧処分場には、一般廃棄物焼却飛灰も埋め立てられているそうだ。

 コメント欄:3/7のコメント参照。詳しいことがわかったら追記するかも。)

(参考) 2/8 朝日新聞 「東京湾海底20センチ超の泥からセシウム 近畿大調査」

  この記事の末尾に

  「セシウムは泥と非常に強く結びついているため、動植物の体には吸収されにくい。
   山崎教授は「魚からセシウムが検出される原発近海は水に溶けたセシウムが
   直接流れ込んだとみられ、東京湾とは汚染の状況が違うのだろう」としている。」

  とある。これだけでは何を言っているのかわからないが、おそらくは、ここで書いた

  ことと、同じような認識なのではないだろうか?

(参考) 石丸 隆 「原子力発電所事故と魚介類の安全性」 (2/13 講演VTR/釣りビジョン)

  質疑応答(リンク先のビデオ下段)で、東京湾の状況について質問がいろいろあるが、

  石丸さんも、東京湾の状況については楽観的なようだ。

  但し、「鉱物質に付いた放射性セシウムが、実際にどれくらい出てくるかによる」

  としている。

  (講演を聴いた人のブログ 「東京湾の放射能汚染は心配するレベルではない! 石丸隆教授が明言」

また、東京湾が富栄養の環境であることも、河川から流入した有機物の影響が低くなる

要因だろう。但し、福島沖の海も、貧栄養というわけではないので、福島沖の海との違い

にどの程度寄与しているかはわからない。しかしこのことは、後述する淡水環境との比較

においては重要である。

東京湾の魚介類の汚染が低い理由について、東京湾は泥が多いために(福島沖の底質は

基本的には砂質)粘土鉱物への固定が進む、という要素もすこしは働いているだろう。

福島沖に較べれば、東京湾の奥にははるかに厚い堆積物があり、奥 修さんの表現

によると、粒子も細かく「プリンのようになめらか」なのだそうだ。福島沖と較べれば、

固定が早く進む、という比較としては正しいに違いない。

しかし、水中ですばやく固定が進むのなら、泥の多い淡水湖の汚染も、速やかに終息に

向かうはずだから、これだけで説明するのは無理があると思う。

一方、福島沖の場合、砂地ではセシウム濃度は低く、泥のような堆積物がたまっている場所

が、ホットスポットになっているだろうと想像されているが、詳しい状況は明らかではない。

尚、NHKの番組によって、東京湾だけがクローズアップされてしまったが、放射性セシウムが

拡散した地域から流れる大きな河川(阿武隈川、阿賀野川、久慈川、那珂川、利根川など)

の河口付近にも、大量の放射性セシウムが流下しているはずだが、残念なことに、

あまり調査されておらず、はっきりした状況はわからない。

これらの河口は外洋に面しているので、東京湾のようには滞留しないが、それでも、

もしこれらの川が運ぶ放射性セシウムが、生物に移行しやすかったとすれば、それなりに

海産物の汚染を引き起こしているはずだが、今のところそのような兆候はなさそうだ。

(参考) @tsokdbaさんのこのブログ記事(1/31)は、阿武隈川からの放射性セシウムが、

     大雨によって流出しているらしい、ということを示していて興味深い。

(参考) 会津地方から流れ出す阿賀野川(阿賀川)は、かなりの量の放射性セシウムを

     新潟に運んでいると思われる。新潟県は8月と11月に阿賀野川沖の海底土を

     採取したが、最高で 150 Bq/kg程度(阿賀野川沖水深20m)だった。

     → 8/1~8/4調査(洪水後の農地汚泥、阿賀野川沖底質/9/27報告書)

       11/30 新潟県公表 (新潟県はこうした検査をきちんと行っている。)

     阿賀野川の河川水からは、3回放射性セシウムを検出(9/27報告書)していて、最後は

     4/19の 12 Bq/L(鹿瀬橋)。検出限界が不明だが、そんなに低くないのだろう。

     河川水は、0.1 Bq/kgくらいまで検出限界を下げないと、ほとんどNDになってしまう。

      → 9/27報告書  新潟県放射線・放射能データベース

     新潟市の浄水場発生土の放射能濃度などからも、阿賀野川の汚染状況が

     伺われる。 但し量的には、7月の記録的豪雨で運ばれたものが多いだろう。

     111108_jyousui_niigatashi  浄水場発生土

     新潟沖で取れる水産物からは若干の放射性セシウムが検出されるものもあるが、

     これまで、いずれも低い値である。 → 新潟県 水産物の放射性物質の検査結果     

(3/11追記) 茨城県・涸沼川のシジミ中の放射性セシウム濃度の推移と、

        涸沼川水系の底質中の放射性セシウム濃度の表

120311_hinumagawa

Hinuma_chousachiten (出典:H22茨城県 「涸沼川圏域河川整備計画」

   底質のCs濃度はそこそこ高いが、シジミのCs濃度は順調に減少してゆき、秋以降は

   ほとんどNDになっていることがわかる。NHKはこのことはどう説明するつもりだろう?

   (涸沼川の放射能以外の水質データは クリーンアップひぬまネットワーク にあります。)

(3/13追記) 「朝日ジャーナル わたしたちと原発」(3/9発売) P.9 より

   近畿大・山崎秀夫教授 「昨年8月から12月に東京湾とその周辺で取れたハゼなどの
   底魚や貝類、回遊魚を幅広く調べたところ、どれも1キロあたり10ベクレル以下の低い
   数値でしたが、これはあくまでもその時点での話。」

   この数値も公表してくれればいいのに。

(3/14追記) 「放射線量等分布マップ関連研究に関する報告書(第2編)」 (3/13 文科省)

   http://goo.gl/1s3bu

   Mizugaki et al(2008)によれば、河川内の流出物質中の Cs-134 及びCs-137 の
   放射能濃度は、有機物の含有量等にも依存している可能性が示されている。

   このような有機物に付着した放射性セシウムは藻類、魚類等に移行する可能性があり、
   放射性セシウムの移行メカニズムを確認する上で、今後、河底土、及び浮遊砂に
   含まれる有機物の含有量に着目した調査が重要である

   (P.2-109 池内嘉宏)

(3/31追記) 「千葉県、埼玉県及び東京都内の公共用水域における放射性物質モニタリングの測定結果について(2回目)」 (3/30 環境省) http://goo.gl/4qZUB

   河川・湖沼の水質・底質の放射性セシウム濃度(2/13~2/20採取)

   【河口近くの河川底質】

   No.46 隅田川/両国橋 580 Bq/kg (Cs-134+Cs-137、乾土、以下同じ)(2/17)
   No.45 荒川/葛西橋 700 Bq/kg (2/17)
   No.33 旧江戸川/浦安橋 380 Bq/kg (2/14) 65 Bq/kg (11/4)
   No.32 江戸川/新行徳橋 59 Bq/kg (2/15) 78 Bq/kg (11/4)
   No.31 江戸川/江戸川水門下 850 Bq/kg (2/20)
   No.30 江戸川/新葛西橋 1,010 Bq/kg (2/15) 1,360 Bq/kg (11/4)
   No.39 真間川/三戸前橋 4,700 Bq/kg (2/16) 430 Bq/kg (11/4)
   No.40 海老川/八千代橋 340 Bq/kg (2/16) 6,400 Bq/kg (11/4)
   No.41 印旛放水路(下流)/新花見川橋 1,770 Bq/kg (2/16) 167 Bq/kg (11/4)
   No.42 都川/都橋 171 Bq/kg (2/16) 50 Bq/kg (11/4)

120330_map

0401_tokyo_bay

(4/5追記) 3/31「めひかりサミット」での森田貴己さんの話について

4/1 @yajifun さんのツイート

水産庁の森田さん。海底土の汚染が東京湾や仙台湾でも起きているのに福島のように
底魚が汚染されないのは何故か。河川由来の東京・仙台と違い、原発からの漏洩由来
などの理由で福島の海底には粘土質にしっかり吸着していないセシウムが存在する可能性
現在も調査中。

4/1 @Slight_Bright さんのツイート

あとからの質問でも、浮魚に関してはほぼ海水中の濃度と平衡になってると見て良さそうだが、
底魚については粘土、有機物に吸着、海水に溶けている、の3状態の放射性セシウム
を仮定し仮説を立てている、との事だった。
粘土に如何に早く固着させるかがカギになるのでは? と。

従って、東京湾の場合流れ込んだ時点で粘土に固着している様なので、
さほど深刻な事態にならないのではないか?
とのご意見だった。

(このイベントの概要記録は、いずれこちらに掲載されると思われる。)

(4/9追記) 3/30 文科省 「平成 24 年度海域モニタリングの進め方」 http://goo.gl/l1aCZ

120330_tokyobay 

   東京湾のモニタリング計画が公表。(参考→ @tsokdbaさんブログ

(追記) 5/9 日テレ 「東京湾の土で放射性セシウム増 川から流入」 http://goo.gl/uPsjy

120509_nnn
 
 福島第一原発事故による影響で、東京湾の土に含まれる放射性セシウムが増えていることが、
近畿大学の研究チームの調査でわかった。

 近畿大学・山崎秀夫教授の研究チームが先月2日、荒川などの河口付近の3か所で海底の
土を採取し、一平方メートルあたりに含まれる放射性セシウムの量を調べたところ、去年8月の
調査結果と比べて、3か所とも放射性セシウムの量が大幅に増えていることがわかった。
これにより、川から放射性セシウムを含む土が東京湾に流れ込んでいることが裏付けられた。

 東京湾の魚などへの影響について、山崎教授は、「土や泥に付着した放射性セシウムは
剥がれにくく、魚に取り込まれても吸収されずに排せつされるため、体内には蓄積しにくい
」として、
現時点で魚への影響はほとんどないとしている。水産庁などの調査でも、東京湾の魚から
放射性セシウムは、ほとんど検出されていない。

 しかし、海底の土から魚に放射性セシウムがどのように移行するかについては未解明の
要素も多く、山崎教授は「今後も引き続きモニタリングが不可欠だ」としている。

3. Danraku_bar_2

   現在は「平衡状態ではない」から、濃縮係数は使えない

水産物の放射能汚染については、過去の調査によって、海水中の放射能濃度と、

各生物の放射能濃度の比「濃縮係数」が求められているが、現在の福島沖では、

海水中の放射能濃度はすでに低い値となっている一方、高い水産物の汚染がみられ、

濃縮係数は成り立たなくなっている。濃縮係数だけで理解できるのは、環境が

平衡状態にある場合に限られる。現在は環境がダイナミックに変化しつつある非平衡状態

なので、濃縮係数だけでは起きていることが説明できない。

  (海産生物の濃縮係数については、こちらのエントリーの末尾にリンクをまとめています。)

たとえば、原発から30km付近の海水中の放射性セシウム濃度は、12/27採取のもので、

0.1 Bq/L程度(Cs-134、Cs-137の合計)しかない。 海産魚類の濃縮係数を100程度

(資料により差がある)とすると、10 Bq/kg程度にしかならないことになるが、実際は、

暫定基準値の 500 Bq/kgを超す魚類もあるし、100 Bq/kg程度に達している魚類は

かなり多いから、この場合の濃縮係数は5,000や1,000となってしまう。

海水と堆積物の放射性セシウム濃度の関係についても、やはり「分配係数(Kd)

が、過去の調査によって求められている。 (解説: 11/11 @tsokdbaさんブログ http://goo.gl/1S2AY

しかしこれも、資料中に書かれているように、環境が平衡状態にある場合の指標であり、

現在のような非平衡な状況には適用できない

鉱物起源の粒子と生物起源の粒子では、Kdがかなり異なることも説明されている。)

(参考) 2011年4月21日 日下部 正志 「海洋での放射性物質のゆくえを徹底調査する」

この図(チェルノブイリ事故後のセシウム値の図)で興味深いのは、海水中では0.008 Bq/L
増えていますが、魚類では最大0.3 Bq/kgしか増えていないということです
先述したようにセシウムが魚類の体内で平衡に達する濃度は海水の100倍。
この海水濃度であれば、0.8 Bq/Lで平衡をむかえる計算になる)。

このような非平衡の状況では上に示した濃縮係数は使えないことがわかります。
取り込み速度、排出速度、海水濃度変化のバランスの結果です。

4. Danraku_bar_2

   赤城大沼、桧原湖などの湖沼の放射性セシウム

淡水魚は生理的にセシウムを蓄積しやすいため、海水魚よりもはるかに汚染されやすい。

したがって、定量的な評価は海洋の場合とは異なる。 しかしこうした湖でも、現在、

湖底の有機物 → 動物プランクトン(or昆虫・エビ・小魚) → ワカサギ(orイワナ・ヤマメ) → 湖底の有機物

という放射性セシウムの循環が起きていることは、海洋と同じである。(注:ワカサギも肉食)

しかしこうした湖の場合、これに加えて、

  放射性セシウムを含んだ落ち葉や木の枝が、水中でゆっくりと分解 → Csを放出

  周辺の山林で、落ち葉や木の枝がゆっくりと分解 → Csを放出 → 一部は湖に流入

といった現象も起きていると思われる。(定量的な評価はわからない。)

チェルノブイリ事故後、北欧の湖沼などでも汚染が長く継続したが、これには、

気候が冷涼で、有機物の分解がなかなか進まない、という要因もあったかもしれない。

そうだとすれば、赤城大沼のように冷涼な湖は、低地の湖より回復に時間がかかることになる。

120301_akagionuma

図4) 赤城大沼の現在の状況

   やはり、鉱物質に結合した放射性セシウムの比率はわからないが、

   淡水魚の場合、海水魚よりも高い濃度で濃縮が進む。

今回の日本の湖沼における汚染は、底質のCs濃度で見るとどこも低下してはいるようだが、

但し、ダム湖では放射性セシウムの集積がまだ進行している。

湖沼においても、セシウムの粘土鉱物への固定はゆっくりとしか進まないから、

これらの湖における汚染はかなり長期化すると予想されている。

(参考) キエフ貯水池の大型魚のCs-137濃度IAEA 2006報告書

Iaea_fig_3_54

上: 非肉食性(bream/コイ科の大型魚)

下: 肉食性(pike/カワカマス科、カワカマス属、2m近くになる大型魚、日本には住まない)

   肉食魚pikeの汚染ピークは事故の翌年になっている。

Cs-137の減少は初期に早く、だんだん遅くなる。これは、Cs-137の流入がないとしても、

   ・ ある一定の「割合」で、Cs-137が外部に移動する

   ・ ある一定の「割合」で、Cs-137が鉱物に固定され、生物に移行しにくくなる

ような条件では、生物のCs-137の取り込み量が、指数的に減少するためである。

北欧の湖沼におけるいろいろな魚の生態的半減期のグラフが、下の報告に載っている。

Eco Doses  Improving radiological assessment of doses to man from terrestrial ecosystem

(北欧原子力安全研究プロジェクト NKS-110 2005年7月) http://goo.gl/6Irxa (重要)

これによると、生態的半減期は、 1年くらいから、10年近いものまで、かなりばらつきが

あることがわかる。 しかし半減期が3年としても、10年でやっと1/10になるペースである。

実際、Cs-137濃度が、事故直後の 1,000Bq/kgから、10年でやっと100Bq/kgになって

いるような事例も多いことがわかる。たくさんグラフがあるが、1例を挙げると

Pirikkala

上は、フィンランドのピュハ湖、Pirikkala採取の、パーチとカワカマスのグラフ。

生態学的半減期は4.5年程度あり、10年でようやく1/5にしか減少しない。

  (Pirikkalaは、ムーミン谷博物館のあるタンペレの近くである。)

また、上の報告では、「富栄養湖で濃縮係数が低く貧栄養湖で濃縮係数が高い

ことも報告されている。フィンランドの湖沼でのパーチの濃縮係数(1998-2002年)は、

300 から 30,000 の範囲に広がりがあり、富栄養湖で低く、貧栄養湖で高いとされている。

赤城大沼のような貧栄養の湖は、この点でも厳しそうだ。

また、同じ報告で、ファロー諸島の深い湖の濃縮係数(2002年)は、500~800で、

浅い湖より低くなっている。猪苗代湖のような深い湖では、沈降した物質の再循環が

起きにくいので、同様に低くなるだろう。

尚、環境省が現在行っている河川、湖沼の水質調査は、検出限界が高いために、

ほとんどの地点で水中の放射性セシウム濃度がNDとなっていて、濃縮係数を算定する

ことができない。湖沼も代表的なポイントだけでも、精度を上げた検査を行って、濃縮係数の

算定ができるようにしてほしいものだ。

(文科省が行った、福島周辺の河川の水質調査(10/20公表) http://goo.gl/l4x4T では、検出下限が0.1Bq/L

 程度なので、数字が出ている。)

(参考) 「群馬県赤城山大沼における湖沼学的研究」 (2011年、近藤智子、濱田浩美/千葉大)

    赤城大沼の基礎的データ。赤城大沼の水質は良好だが、分類上は「中栄養湖」。

(3/15追記) Trophic Position and Metabolic Rate Predict the Long-Term Decay Process of Radioactive Cesium in Fish: A Meta-Analysis (1/19 土井秀幸/広島大)

    チェルノブイリ事故後の34論文から集めた、260の淡水魚のデータを解析した論文。

    (日本語版はない?) 1/20中國新聞記事

(4/24追記) 赤城大沼のワカサギの放射性セシウム濃度

Wakasagi_akagi

単純な予測では、赤城大沼のワカサギの放射性セシウムが100Bq/kg以下になるのは、
2年くらい先かもしれない。

(少ないデータをもとにした単純な予測なので、どうなるかはわからないが。)

5. Danraku_bar_2

   河川中の放射性セシウム

上記は、閉鎖的な湖沼についての状況だったが、河川や、開放的な湖沼(流入・流出の多い湖沼)

の場合はどうなっているのだろうか。

河川の場合は、常に物質が流入、流出し続けていて、しかも、大雨の時や雪解け時には

一度に大量に流れるため、閉鎖的な湖にくらべると、状況はかなり複雑で、物質収支を調査するのも難しい。

河川の環境では、流れて来る有機物の栄養に依存して生態系が成り立っている。

現在は、川に流入する有機物に、放射性セシウムが含まれているものが多くあるために、

川魚の汚染が起きている状況だと言える。

河川の場合、「有機物にある放射性セシウム」と「粘土鉱物などについている放射性セシウム」

の比は、河川に流入した時点からそれほど変化しないと思われるので、河川水、

あるいは底質の放射能濃度を見れば、そこの淡水生物の放射能濃度もおおむね予想が

付くはずだ。(2月に、ヤマメの検査結果がたくさん出てきたので、底質のデータと比較した

プロット図を作ろうと思ったのだが、チェックしてみたところ、対応する底質のデータがあまり

なかったので今回は取り止めにした。この点は改めて検討してみたい。)

(4/16追記) イワナ・ヤマメ・その他淡水サケ類の検査結果(xls) → 「iwana_yamame.xls」をダウンロード (3/31公表分まで)

120310_kasen 

図5) 河川の環境

  河川中の放射性セシウムは、粘土鉱物に結合したものが多いが、

  河川の生態系は、流れてくる有機物に依存して成り立っているので、

  比率としては少ない「有機物に含まれるCs」が、生物に効率的に取り込まれる。

河川と、閉鎖的な湖沼での大きな違いは、河川に流入する有機物は、その多くが陸上の

植物起源なのに対し、閉鎖的な湖沼では、その多くは水中の植物プランクトン起源

なっている点である。

陸上から河川への放射性セシウムの流入は、川によって状況はさまざまだ。

山林ついて言えば、現在、放射性セシウムの多くが、落葉層(リター層)の有機物中に

あることがわかっている。(3/1 林野庁 「森林における放射性セシウム濃度」

これが腐植物としてどんな速度で、どのくらい長期間に渡って河川に流入するかによって、

河川の水生生物の汚染状況が左右されることになる。

(事例1) 鮫川(いわき市)

いわき市を流れる鮫川では、8月までにアユの放射性セシウムがNDに下がった。

(検出限界は、Cs-134、Cs-137 各8 Bq/kg程度)

また、下流の底質の放射性セシウム濃度も低下している。しかし一方で、上流の

ダム湖では、底質の放射性セシウム濃度が上昇しており、放射性セシウムが、途中の

ダム湖にトラップされていることがわかる。

(こうしたダム湖の魚の調査はほとんど行われておらず、状況がわからない。)

Samegawa (3/20更新:1月のデータを追加しました)

図6) 鮫川のアユ中の放射性セシウム濃度(上)と、

    鮫川流域の河川・湖沼底質の放射性セシウム濃度(下)

  鮫川のアユの放射能濃度は、最初は暫定基準値を超えていたが、すみやかに減少した。

  (サンプルが少ないので不確かだが、生態的半減期は20日程度しかない。)

  下流部(鮫川橋)の底質の放射能濃度も減少した。(11月は少し上昇)

  一方で、上流のダム底質の放射性セシウム濃度は上昇している。

Samagawa

(参考) 鮫川水系マップ

    アユの採取地点は公表されていないのでわからない。

    高柴ダムの水は工業用水に、四時ダムの水はいわき市の水道用水になっている。

(事例2) 阿武隈川(福島市、伊達市)

Abukumagawa (3/20更新:1月のデータを追加しました)

図7) 阿武隈川中流域のアユ中の放射性セシウム濃度(上)と、

    阿武隈川中流域の底質の放射性セシウム濃度(下)

  阿武隈川のアユの放射能濃度は、9月頃までずっと暫定基準値を超えていた。

  底質の放射能濃度も9月頃までずっと高かった。しかし、11月には減少している。

  これは、9/21の台風で流されたためかもしれない。

なお、北欧の調査で明らかになっているように、富栄養化した環境なら放射性セシウムの影響

は小さくなるはずだが、霞ヶ浦のような富栄養湖でも、ワカサギの汚染は続いており

(但し、100Bq/kgは超えていない)、それほど低減されるわけでもなさそうだ。

逆に、清流であるほど、放射性セシウムの影響をうけやすい、ということも言えるのだろう。

2/19 神奈川県採取の調査では、丹沢の本谷川や、酒匂川上流の狩川・皆瀬川といった

清流にすむヤマメから、27~37 Bq/kgの放射性セシウムが検出され、釣り人を落胆させた。

また、群馬県川場村採取のヤマメは、

  2/13 桜川採取の場合、上流部 299 Bq/kg、下流部 137 Bq/kg

  2/22 薄根川採取の場合、上流部 257 Bq/kg、下流部 77 Bq/kg

となっていて、いずれも上流部のほうが高い数値となっている。こうした上流部の魚の調査は

まだあまり行われていないが、渓流のイワナ、ヤマメの汚染はけっこう高いのかもしれない。

注) 福島周辺の河川中の放射性物質については、3月中に第2次調査の結果が出る予定。

「河川中(河川水、河底土、及び浮遊砂)における放射性物質の放射能濃度の変化傾向の確認」

  (2/14 放射線量等分布マップの作成等に係る検討会(第16回) 配付資料

(3/14追記) 阿武隈川・蓬莱ダム湖の底質の放射性セシウム濃度

出典: 「放射性物質の包括的移行状況調査」 (3/13 恩田裕一、他) http://goo.gl/Sr3Tg

120313_hourai

  一番高い地点で、8万~12万Bq/kg、600万Bq/m2 (7/8採取)もある。

6. Danraku_bar_2

   一部の水田で、玄米が暫定基準値を超えたわけ

水産物の話題からはそれるが、福島県で、暫定基準値を超える玄米が見つかった問題も、

放射性セシウムの「形態」という観点から見ることが重要である。

この原因について、はっきりと合意があるわけではないが、2/18の東大の研究報告会では、

2種類の原因があったのと推定されている。

   詳しくは→ Togetter 「第2回研究報告会 実況まとめ」 森 敏 さんブログ(2/21) 

一つは、夏に、周囲の山林で、落ち葉などの分解が進み、セシウムが水に溶けたかたちで田に流入した、と言うもの。

    ・ 谷地田など、山林に近い田で汚染が高かった。

    ・ Csの吸収は、7~8月頃集中していた、という知見が得られた。

    ・ イネは、水に溶けたセシウムは非常に効率よく吸収する。

    ・ 成長したイネの、発達した「うわ根」から吸収された可能性が高い(評価中)。

    ・ 但し、実際に用水のCs濃度が高かった、という知見は得られていない。

    ・ また用水量を考えると、水から流入するCsだけでは説明がつかない。

120302_tanbo_1_3 

もう一つは、排水不良の田で、有機物の分解が遅いために、夏の高温で田土の中の

有機物が分解された時に、セシウムが浅い根から吸収された、と言うもの。

    ・ 排水不良の田で、汚染が高かった。

    ・ 水田土壌の放射性セシウムは、浅い部分で多かった。

     (耕起で混合しても、田起こしで軽い有機物が表面に浮かび上がった?)

    ・ 排水不良の田は、還元状態で有機物の分解が遅く、水が動かないために

     土壌(粘土鉱物)へのセシウムの固定が進まない。

120302_tanbo_2_3   

魚の話とはいささか異なるが、ここでも問題になっているのは、

粘土鉱物に固定されていない、有機物に含まれる放射性セシウムであり、

平衡状態にないために起きた現象である。

農水省は、過去の知見(土壌から玄米への移行係数は、0.004程度)を参考に安全率を見込んで、

移行係数を0.1 (5,000 Bq/kgの土壌なら、玄米で 500 Bq/kgを超えないはず)と設定した。

しかし、結果的に移行係数は最高 0.3を超え、移行係数ではとても説明がつかない現象が

起きていたことが明らかになった。このあたりは、水産物と共通する点である。

用水が原因だとすれば、水路の途中にセシウムを吸着するための藁やゼオライトを、

置いて、放射性セシウムをトラップすれば良いことになる。

一方、土中の有機物に含まれるの放射性セシウムを、粘土粒子に結合させるためには、

水はけを良くして有機物の分解を促したり、ベントナイトを混合して吸着を促進したり、

といった対策になるのだろう。但し2年目なので、何もしなくとも有機物の分解はだいぶ

進んでいるかもしれない。

(4/24追記)

「土壌-植物系における放射性セシウムの挙動とその変動要因」 (4/17 農業環境技術研究所)
  http://goo.gl/m0iYU (重要)

  55ページ(文献を除き44ページ)の長い論文。 いろんな角度から包括的に検討されている。

7. Danraku_bar_2

   リンク) 粘土鉱物とセシウムの結合の強さ

粘土鉱物へのセシウムの結合メカニズムは、いろんな人が解説しているが、

私が見た一番早いものは

  「ゼオライト 土 粘土 セシウム に関する話題」 (2011/4/16 ケミストの日常)

最近見たのは

  「放射性セシウムが土壌に固定されるメカニズム」 (2012年1月 中尾 淳)

こちらは、雲母類のフレイド・エッジと呼ばれる部分に特に固定されやすいとしている。

土壌に強く結合したセシウムは、酸を加えて高温処理するなどしないと、溶出しない。

  「土壌中のセシウムを低濃度の酸で抽出することに成功」 (2011/8/31 産総研)

目下、この方法を応用した、土壌の除染方法の開発が進められている。

但し、ルビジウムはセシウムの溶出力が強い(高価なので実用には適さない)。また、

アンモニウムイオンも、僅かながら溶出力がある。

  「土壌に吸着した放射性セシウムの溶出力の強い化合物はルビジウム(Rb)である」

  (2011/5/25 WINEPブログ)

当初、ヒマワリなどで農地のセシウムを除去する(ファイトレメディエーション)ことができる

と期待されたが、あまり効果がなかった。日本の土壌では、セシウムが粘土に結合しやすいため、

あまりヒマワリが根から吸収できないようだ。

放射性セシウムは、表流水(注:通常の河川水、伏流水に対する用語)では、濁質(何らかの粒子)

にほとんどが吸着しているので、浄水処理によって良好に取り除くことが出来る。

  「放射性物質の浄水処理性について」 (2011年5月 NIPH/国立保健医療科学院)

実際、福島県の水道水でも、ごく初期を除き、放射性セシウムはNDだった。

(放射性ヨウ素は、セシウムに比べ除去されにくいため、東京などでも検出された。)

チェルノブイリ事故後の欧州の経験でも、飲料水からもたらされる放射性セシウムと

ストロンチウムの量は、食物からもたらされる量に比べ非常に少ないとされている。

(但し事故の初期段階では、浅い湖沼や河川の水などを使用すべきではない。)

  「食品への放射性物質の移行」 (オーガニック協会(EUOFA))

(3/13 追記) 「放射性セシウムは土壌中でどう振舞うか」 (西村拓)

8. Danraku_bar_2

   汚染水は今でも流出しているのか? (3/22追加)

福島第一原発からの汚染水流出は、少なくとも大規模なものは昨年5月以降は

起きていないはずだ。もしそのようなことが起きれば、シラスなどにすぐ影響が出るはずだが、

そのような兆候はずっと起きていない。

(現在は海水の観測の精度も高くなったので、海水の観測値ですぐわかる筈だ。)

111231_sirasu_graph_2  (シラスのグラフ)

しかし、地下水などからわずかな汚染が海に出続けている可能性は否定できないだろう。

2012/3/6のセミナー「福島第一原子力発電所事故による環境放出と拡散プロセスの再構築」で、

津旨大輔さん他による「海洋の輸送拡散シミュレーションを用いた137Csの直接漏洩量の推定」

http://goo.gl/Yviym という研究が公表された。

この研究によると、まず、第二原発付近の観測値から、直接漏えいの開始を3/26と推定している。

120306_cs_2f

大気からの降下分と、直接漏えい分は、131I/137Cs比によって判別することが出来る。

汚染水の海への流出が見つかったのは、4/2だが、これまで、流出がいつから始まっていたのかは

明らかではなかった。

次に、第一原発沿岸の観測結果に最もシミュレーション結果が近くなる漏えいパターンとして、

下図の青線のような放出パターンを提示している。

120306_cs_release_2 

この研究によれば、汚染水の海洋への放出は、4/6に止まった(図の赤線)のではなく、

青線のように指数的に減少する放出がずっと持続していたというモデルが、実際の観測値に

最も近いシミュレーション結果を与える、ということである。(5月末までの総放出量は 3.5PBq

6月以降のことは、この研究ではなにもわからないけれど、5月末の時点で止まっていなかった

海への直接放出が、何もしないのに6月以降に止まった、と考える方がよほど無理があるだろう。

量的には観測の難しい程度の量とはいえ、現在も、地下水などを介した汚染水の流出は

続いている、と考えた方が良いのだろう。

(だから、何百億も投入しての遮水壁の工事が計画されている。)

ところで、上図の想定放出パターンによると、5月末時点での1日当たりの放出量は、

1×10^12 Bq/日 程度で、3月末時点の 2.2×10^14 Bq/日 の1/200以下とはいえ、

5月末時点の1日分の放出量は、福島第一原発の放射性液体廃棄物の年間放出管理目標値

2.2×10^11 Bqの4倍以上もあったことになり、決して少ない量とは言えない。

2011年12月12日 (月)

グラフで見る水産物の放射能汚染(その4) 12/31公表分まで

Radioactive cesium activity concentration in marine products after Fukushima nuclear disaster (4) ~12/31

Keyword : 水産物 海産物 魚貝 淡水魚 放射能 放射性セシウム 汚染 検査 結果 まとめ 地図 グラフ

Oia_sunset

Photo(Top): Oia , Santorini Island , Greece  サントリーニ島・イアの夕景(ギリシャ)

最新(「その5」 3/31公表分まで)を こちら にアップしました。

■ 商用目的・商用サイトを除き、図表の無断引用・転載はご自由にどうぞ。

  (但し出典を明記のこと。なお説明の追記など以外の無断改変は厳禁です。)

魚介類の餌料生物等の放射性セシウム調査結果 (3/26 福島県水産試験場)

   前回の資料に追加。グラフ、写真付き。 (重要)

2/29公表分までのグラフ (4/5 Togetter)

  「仙台湾の水産物の放射性セシウム濃度」 → 「Sendai_bay.xls」をダウンロード  (4/18公表分まで)

■ 「東京湾のアナゴが7万Bq/kg」というデマがネットに出回っている。

    発信源→ https://t.co/VYXu5OD9  http://goo.gl/A0YIh  https://t.co/kQeEQgf6

    (こんなの書きたくないんだが、検索しているヒトも多いようなので…。)

2月調査、関東・東北のヤマメ・イワナの放射能汚染まとめ (2/26 フライの雑誌社)

水産物中のAg-110m、Pu-239+Pu-240、Sr-90 (昨年6/21 小名浜沖採取)

120224_ag_pu_sr

   イカ類にAg-110mがけっこうあったことがわかる。

   Pu, Srの単位が「mBq/kg」であることに注意。

   (Puは 0.00002 Bq/kg以下、 Srは 0.03 Bq/kg以下)

■ 2月下旬から、三陸のワカメ漁が始まるようですが、

  仙台湾以北のワカメからは、ごく低い値しか検出されていません。

   → 「120131_wakame_graph.pdf」をダウンロード の2P目参照。

「いわきサイエンスカフェ~いわきの海と魚を語ろう」

第1回~第3回の「主な質問と回答」に、いくつか参考になる情報が出ています。

(コメント欄で、少し紹介しています。)

■ 東京湾の魚介類の放射能濃度(12/31公表分まで) (pdf→ 「111231_Tokyo_bay.pdf」をダウンロード (New)

これまでのところ、高い値はひとつも出ていない。

東京都の検査は非常に少なくて心許ない。

■ 1/30 福島県水産試験場 「魚介類の餌料生物等の放射性セシウム調査結果」

重要な調査資料。各生物の写真・説明もある。

■ 1/30 福島県水産試験場 「放射性セシウムの局在性に関する調査」

キアンコウでは、肝の放射性セシウムは筋肉の1/2~1/6程度。

マダラでは、肝の放射性セシウムは筋肉の1/6程度。

その他、エゾイソアイナメの肝、イシガレイの肝、卵巣などについても調査

■ 1/28 福島民報 【食品の放射性物質新基準】「福島の漁業消える」 65種捕れぬ恐れ メヒカリやホシガレイ...

■ 1/27 パブコメ 「食品中の放射性セシウムスクリーニング法を改正する件」

  http://goo.gl/qLcc7

・ 一般食品を対象

測定下限 25 Bq/kg以下

・ スクリーニングレベル 50 Bq/kg以上

 (スクリーニングレベルを超えた場合、Ge検出器で確定検査を行う。 

  というのが内容です。これまでより大量の食品の検査を行なうのだとすれば

  致し方ないとは思いますが、このような検出眼界の高い検査だけが行われて、

  これまで水産物で行われている、低い検出下限(Cs各 1~8 Bq/kg程度)の

  検査が行われなくなるとすれば、放射能汚染の「真の値」知ることが出来なくなります。

  農水産物については、検出下限の低い調査も、計画的に継続して行うべきです。

  (参考) 水産物の検出限界一覧 http://www.twitlonger.com/show/fkght4

■ 1/20 24:00~(1/21 AM0:00~) Eテレ サイエンスZERO 「湖と海に広がる放射性物質 その実態を探る」

この番組はほとんど 1/15のNHKスペシャルの使い回しだったが、新情報もいくつか。

第1原発近く~15kmくらいまでの5ヶ所のプランクトンのCs濃度は、352~667 Bq/kg。

但し、プランクトン食のカタクチイワシのCs濃度は 9 Bq/kgしかなかったので、

これについての海洋大・石丸隆教授の説明は極めて歯切れが悪かった。

120121_sciencezero

■ 1/15 21:00~ NHKスペシャル 「シリーズ原発危機 知られざる放射能汚染~海からの緊急報告~」

20km圏内の汚染状況、東京湾の汚染状況と予測、河口から少し上流でCsが沈降するようす、

赤城大沼のプランクトンのCs濃度、など。 → @tsokdbaさんまとめ http://t.co/Uvv1ihy5

20km_area

(上) 第1原発近くの海底土は、4,520 Bq/kg・乾土(Cs-134+Cs-137、11月下旬~12月調査)

岸近くと、南東海域が高く、第1原発より北側の沖合はおおむね低い。

■ 20km圏内の海底土(2ヶ所)のセシウム濃度の推移

Kaiteido

第1原発の北側(小高区沖合3km)の値は当初からだいぶ低下したが、

第1原発の南側(岩沢海岸沖合3km)の値はずっと横ばいのままだ。

おそらくは、第1原発の近くから、南側に汚染が拡散し続けているためだと思われるが、

はっきりしたことはわかっていない。

福島県沖 海底土調査結果 (12/14 東京電力) (リンク先には地図もあります)

1111_kaiteido

こちらを見ても、いわき市沖の海底土の放射性Cs値は、夏以降あまり下がっていない

ことがわかる。原発の南側では、底物の汚染は今のところ終わりが見えない。

一方、原発の北側の海域では、海底土のCs値はおおむね低下している。

(追記) 最新版→ 「東京電力の海底土1月分データのまとめ」 (1/31 @tsokdbaさん)

福島県沿岸における海底土壌の放射性セシウムの分布図(5月~11月) (福島県水産試験場)

1110_kaiteido_fukushima

なかなか見やすいです。(但し、東電公表分は「湿土」の値なのでこの図は誤り

魚介類の飼料生物等の放射性セシウム濃度検査結果 (11/30 福島県水産試験場)

いわき市平藤間沖(水深7~10m)採取のアミ類(ミツクリハマアミ主体)

7/14 50.5 Bq/kg

8/17 88.0 Bq/kg

9/5  65.8 Bq/kg

けっこう高い数値です。 注記ではヒラメ当歳魚の主要餌料とのこと。

(海水魚はタウリンの合成が出来ないため、オキアミなどタウリンの豊富な餌を摂ることが必要。)

但し、甲殻類のグラフのトレンド内にあるので、現在では値は低いかも知れない。

■ 福島県水産試験場のサイト http://goo.gl/wLTvK で、福島県モニタリング調査の採取地点

  知ることができます。(例えば、下図は12/28公表分)

111228_fukushima_fish (クリックで拡大)

■ 掲載のグラフ・表 (45種)

浮魚(幼魚) コウナゴシラスシラウオ

底魚(砂地) ヒラメカレイマコガレイシタビラメコモンカスベホウボウ・カナガシラ・コチ

         ニベ・シログチフグアナゴマダイ・チダイ・クロダイマトウダイ・カガミダイ

底魚(岩礁) アイナメ

底魚(藻場) メバル・カサゴ・ソイ

底魚(深場) アンコウキンメダイ・キチジ・アカムツ

回遊魚(小型~中型) カタクチイワシマイワシサバアジサンマ

回遊魚(大型) スズキブリ・カンパチサケメジマグロマグロ・カツオ・カジキ

回遊魚(深場) マダラスケトウダラ

貝類(岩礁) アワビカキ・イガイサザエ・ツブ貝

貝類(砂地) アサリ・ハマグリホッキガイその他二枚貝

頭足類 イカタコ

甲殻類 エビ・カニ・アミ

棘皮動物 ウニナマコ・ヒトデ

海藻 コンブ・アラメ ワカメノリその他の海藻

淡水魚マップ アユ、 ワカサギ

(リンク)  淡水魚、海底土、参考サイト

出典のリンク集は末尾にあります。

茨城県作成のグラフ(最新)

ここでは、下図のようにエリア分けを行っている

Fish_hanrei_1201 (クリックで拡大)

南相馬市(小高)、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、広野町(20~30km圏)については、

9/30に緊急時避難準備区域が解除されたことにより、10月から調査が行われるようになった。

(データの連続性に注意が必要。)

【イカナゴ(コウナゴ)】 スズキ目・イカナゴ科

young lancefish (Ammodytes personatus)

4月から5月にかけて、非常に高い放射性ヨウ素、セシウムの汚染が検出された。

コウナゴ(イカナゴの幼魚)は表層を泳ぐ魚で、春先に仙台湾で孵化して南下する。

その途中で、4月頃に表層を広がった高濃度汚染水の影響を強く受けた。

(汚染水は淡水のため海水より比重が軽く、最初は表層を広がった。)

7月の調査では、いわき市でも 200 Bq/kg台程度に低下している。

コウナゴ(幼魚)の漁期は通常3月~5月前半で、成長したイカナゴは、夏季には

水深20~40mの砂に潜って夏眠する。(参考:「イカナゴ」(茨城県水産試験場))

このため、夏以降、底魚のようなトレンドに変わり、上昇に転じたようにも見えるが、

サンプルが少ないのではっきりしたことは分からない。

(参考) 「平成23年 コウナゴ調査結果」 (3/7調査、3/8福島県公表)

111231_kounago_graph

111231_kounago_graph2

イカナゴ(コウナゴ)の検査結果一覧(pdf)→ 「111231_kounago_graph.pdf」をダウンロード

【シラス】 ニシン亜目・ニシン科、ニシン亜目・カタクチイワシ科

young of sardines

シラスはイワシ等の稚魚。表層を泳ぐため、4月頃表層を広がった高濃度汚染水の影響を強く受けた。

その後は、シラスの放射性セシウム濃度は順調に減少して来たのだが、夏以降は、

いわき市沖で30/Bq/kg程度、北茨城市沖で10Bq/kg程度で平衡状態にあるようだ。

(ここで「平衡状態」という意味は、放射性セシウムの摂取量と排出量がバランスしている

 ために、放射性セシウム濃度がそれ以上増えも減りもしない状態にあるという意味。)

汚染値が指数的(片対数グラフで直線的)に低下する理由については、

Togetter「セシウムの蓄積量をエクセルでみてみよう」 を参照ください。

但し、茨城以南では9月以降全て 10 Bq/kg以下におさまっていて、シラスの危険性は低いと思われる。

111231_sirasu_graph

シラスの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_sirasu_graph.pdf」をダウンロード 

【シラウオ】 キュウリウオ目・シラウオ科

Icefish (Salangichthys microdon)

11月から福島県沿岸での調査が始まったが、50~100 Bq/kg程度あり、シラスよりも高い。

霞ヶ浦では 40~50 Bq/kg程度でワカサギと同程度。

120118_shirauo_graph

シラウオの検査結果一覧(pdf)→ 「120118_shirauo_graph.pdf」をダウンロード

【ヒラメ】 カレイ亜目・ヒラメ科

flounder / Bastard halibut (Paralichthys olivaceus)

ヒラメは底魚を代表する魚で、検査例も多くある。

春先から徐々に数値が上昇してきたが、いわき市では、すでに平衡状態にあると思われるが、

冒頭に書いたように、海底土の汚染は一向に低下しないから、この状況はまだまだ続きそうだ。

11/14いわき市久之浜沖採取は 4,500Bq/kgという驚くような数字だったが、20km圏のものが

移動してきて捕獲されたのかもしれない。20km圏内は調査が行われていないので、どのような

汚染状況かさっぱりわからない。このエリアの調査が行われていないのは、全く残念なことだ。

111231_hirame_graph

下図は、福島県以北のグラフ。福島県沖のサンプルは、新基準値の100Bq/kgを超えている

もののほうが多い。(ばらつきが大きいので、近似ラインは参考程度に見てください)

111231_hirame_graph2

下図は、茨城県以南のグラフ。茨城県内ではまだ上昇を続けている。

北茨城市沖では、100 Bq/kgを越すものがいくつも見つかっている。

111231_hirame_graph3

ヒラメの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_hirame_graph.pdf」をダウンロード 

(参考) 「ヒラメ」 (茨城県水産試験場)

【カレイ】  カレイ目・カレイ科

righteye flounder / flat fish

カレイ(カレイ科魚類)は、9月以降、福島、茨城でかなり検査数が増えた。

サイズによって食性が異なるはずだが、サイズは公表されないのでわからない。

福島県沖では、高い値で横ばい状態。

魚種による違いでは、ミギガレイ(ニクモチ)は、福島県でも最高 31 Bq/kgにおさまっていて、

明らかに低い値となっている。

111231_karei_graph

下図は、茨城県以南のグラフ。茨城県沖では上昇中。

111231_karei_graph2

カレイの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_karei_graph.pdf」をダウンロード

【マコガレイ】  カレイ目・カレイ科

Marbled sole (Pleuronectes yokohamae)

カレイの中で、マコガレイだけのグラフ。ここでマコガレイを取り上げたのは、茨城県で

たくさん検査されているためである。

111231_makogarei_graph

下図は、福島以北のグラフ。いわき市・広野町沖のサンプルはほとんどが100Bq/kg超。

いわき市・広野町ではピークに達して平衡状態にあるように見える。

(バラツキが大きいので、近似ラインは参考程度に見てください。)

111231_makogarei_graph2

下図は、茨城以南のグラフ。茨城沖のマコガレイの値は、ヒラメよりもやや高め。

秋以降、新基準の100Bq/kgを超えるサンプルもだいぶ見つかるようになってきた。

111231_makogarei_graph3

マコガレイの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_makogarei_graph.pdf」をダウンロード

(参考) 「マコガレイ」 (茨城県水産試験場)

【シタビラメ】 カレイ目・ウシノシタ科

sole / red tonguesole (Cynoglossus joyneri) : アカシタビラメ

black cow-tongue (Paraplagusia japonica) : クロウシノシタ

福島県ではやや高い値だが、ヒラメや大型カレイよりは低めとなっている。

111231_shitabirame_graph

アカシタビラメ・クロウシノシタの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_shitabirame_graph.pdf」をダウンロード

【コモンカスベ】 エイ目・ガンギエイ科 (写真)

common skete (Raja kenojei)

沿岸の砂地に棲む小型のエイ。

いわき市北部、広野町(20-30km圏)では相変わらず非常に高い値が検出されている。

10月に宮城県と、茨城県でも初めて調査されたが、

宮城県女川湾沖は 5.3 Bq/kg、茨城県鹿嶋市沖では最高 33 Bq/kgだった。

111231_kasube_graph

コモンカスベの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_kasube_graph.pdf」をダウンロード 

【ホウボウ・カナガシラ・コチ】 カサゴ目・コチ亜目・ホウボウ科、コチ亜目・コチ科

red gurnard (Chelidonichthys spinosus) : ホウボウ

red-whiskered bulbul (Lepidotrigla microptera) : カナガシラ

flathead : コチ

ホウボウ、カナガシラは水深100-200mのやや深い海底に棲息するが、マゴチ、メゴチは

沿岸の浅い砂泥底に棲息する。 とりあえず、ここではコチ亜目の魚としてひとまとめに

している。

暫定基準超えは出ていないが、福島県内では、やや高いセシウム値になっている。

(福島県では、12月は調査がなかった。)

茨城県でも、ホウボウで 134 Bq/kgを検出している。

111231_houbou_graph

ホウボウ・カナガシラ・コチの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_houbou_graph.pdf」をダウンロード

【ニベ・シログチ(イシモチ)】 スズキ目・ニベ科 

drumfish / nibe croaker (Nibea mitsukurii) : ニベ

drumfish / white croaker (Pennahia argentata) : シログチ(イシモチ)

福島県沖のニベは比較的高い値だが、徐々に低下しているように見える。

興味深いのは、近縁種で、生息域もそれほど違わないシログチ(イシモチ)の数値は

全て80 Bq/kg以下にとどまっていて、明らかに差があることだ。

この理由のわかる方はご教示ください。

111231_nibe_graph

ニベ・シログチ(イシモチ)の検査結果一覧(pdf)→ 「111231_nibe_graph.pdf」をダウンロード

【フグ・カワハギ】 フグ目・フグ科、フグ目・カワハギ科 

puffer fish / globefish and filefish

はっきりしないが徐々に下がっているようにも見える。だとすれば、本当の汚染ピークは

5~6月頃の調査のなかった時期なのかもしれない。こういうのは後味が悪い。

茨城県沖の最高は11/28採取のショウサイフグ 70 Bq/kg。

カワハギ・ウマズラハギでは、検査数は少ないが、高い値は出ていない。

111231_fugu_graph_2

フグ・カワハギの検査結果一覧→ 「111231_fugu_graph.pdf」をダウンロード

【アナゴ】 ウナギ目・アナゴ科 

conger eel

徐々に上昇したが、いわき市では7月以降は100Bq/kg前後で平衡状態にあるようだ。

底魚だが、それほど高い値にはなりにくいようだ。

茨城県沖の最高値は、10/19北茨城市沖採取の 43 Bq/kg。

111231_anago_graph

アナゴの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_anago_graph.pdf」をダウンロード

【マダイ・チダイ・クロダイ】  スズキ目・タイ科

tai / red sea bream (Pagrus major) : マダイ

crimson sea bream (Evynnis japonica) : チダイ

Japanese black porgy (Acanthopagrus schlegelii) : クロダイ

マダイ・チダイはまだ最高でも100 Bq/kg程度。9-10月にかけては横ばい。

クロダイは7例しか検査がないが、ほかの2種よりやや高めであることがわかる。

おそらく生息域がほかの2種より浅い場所だから高いのではないだろうか。

111231_madai_graph

マダイ・チダイ・クロダイの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_madai_graph.pdf」をダウンロード

【マトウダイ・カガミダイ】 マトウダイ目・マトウダイ科

John Dory (Zeus faber) : マトウダイ

Dory (Zenopsis nebulosa) : カガミダイ

浅場でも見られる魚だが、マトウダイは水深50~150m位、カガミダイは水深200~300m

位が主な生息域。 福島県沖ではやや高めで、300 Bq/kg台のものも見つかっている。

茨城沖でも上昇傾向にあり、12/28北茨城市沖採取のマトウダイは 71 Bq/kg。

寒くなりシーズンを迎えた魚だが、今後の推移に注意。

111231_matoudai_graph

マトウダイ・カガミダイの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_matoudai_graph.pdf」をダウンロード 

【アイナメ】 アイナメ:カサゴ目・アイナメ科、 エゾイソアイナメ:タラ目・チゴダラ科

greenlings (Hexagrammos otakii) : アイナメ

morid fish (Physiculus maximowiczi) : エゾイソアイナメ

注: 両者は全く別の魚(カサゴ目、タラ目)ですが、今のところCs濃度の推移が

  同じようなトレンドなので、ひとくくりに扱っています。

比較的浅い岩礁に棲息する魚。7月以降、メバル、コモンカスベと並んで非常に高い値が

出ている。

福島県沖では、ずっと高い値のまま平衡状態にあるようだ。

ドンコ(エゾイソアイナメ)は、茨城から三陸にかけての冬の味覚だが、福島・茨城では

もう少し様子を見た方がよさそう(2県からは現在出荷されていない)。

111231_ainame_graph

下図は、茨城県以南のグラフ。 暫定基準を超えるサンプルは9月に1件見つかっただけだが、

茨城県沖ではまだ上昇傾向にある。ポピュラーな釣魚だが、食べるのはほどほどに。

111231_ainame_graph2

アイナメの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_ainame_graph.pdf」をダウンロード 

【メバル・カサゴ・ソイ】 カサゴ目・フサカサゴ科

rockfish and scoorpionfish

アイナメ、コモンカスベ同様、現在非常に高い値が検出されている魚。こちらは岩礁帯の藻場に生息する。

日立市沖でも9/15採取から 114 Bq/kgが検出された。

福島県沖では、夏以降ずっと高い値のまま平衡状態にあると思われる。

(追記) 宮城県 金華山沖 1/20採取のクロソイは、230 Bq/kghttp://goo.gl/2xnXf

111231_mebaru_graph

メバル・カサゴ・ソイの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_mebaru_graph.pdf」をダウンロード 

【アンコウ アンコウ目・アンコウ科

anglerfish

水深500mくらいまでの深海に棲息する。7~8月は禁漁だが、4~6月も禁漁区が設定

冬場のアンコウ鍋は北茨城の名物だが、茨城県沖のサンプルは最高 73 Bq/kg。

めったに食べるものではないから、それほど気にする必要はないだろう。

肝のセシウム濃度は身よりも低い。

111231_ankou_graph

アンコウの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_ankou_graph.pdf」をダウンロード 

(参考) 「アンコウ」 (茨城県水産試験場)

ここでの集計には入れてないが、グリーンピースの流通品調査(12/14)で、兵庫県産の

  アンコウから 16.2 Bq/kgが検出されている。兵庫県の日本海側でもアンコウは採れるが、

  ほんとうに日本海のアンコウにそんな汚染があったのか、産地表示が違うのかは不明。

【キンメダイ・キチジ・アカムツ 

これらは、大陸棚のやや深いところに棲息する魚。

何れも、あまり高い値は出ていないので、一覧表だけ示す。

但し、福島や茨城の検査数は少ない。

111231_kinmedai_graph

キンメダイ・キチジ・アカムツ等の検査結果一覧(pdf)→ 「111231_kinmedai_graph.pdf」をダウンロード

【カタクチイワシ】 ニシン目・カタクチイワシ科

Japanese anchovy (Engraulis japonica)

7月にいわき市沿岸で採取したプランクトンから 669 Bq/kgの放射性セシウムが検出されたが、

イワシのようなプランクトン食の魚の検査はわずかしか行われていない。

8/8小名浜沖は 144 Bq/kg。プランクトンよりも低い値しか見つかっていない。

プランクトンの値が高かった場所は局所的で、ある程度回遊する成魚はそれほど高い値に

ならないのかもしれない。

カタクチイワシ中のセシウム値はだいぶ下がってきた。現在は、福島沖で30Bq/kg程度、

茨城沖で10Bq/kg程度、千葉沖では5Bq/kg以下にまで下がっている。

カタクチイワシは大型魚の食餌として生態系の中で重要だが、仮に大型魚で10倍濃縮が

進むとしても、茨城沖の大型魚は 100 Bq/kgに達しないことになる。

(カタクチイワシ「だけ」を食べると仮定した場合なので、実際は異なる。)

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カタクチイワシの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_katakuchi_graph.pdf」をダウンロード 

(参考)「カタクチイワシの漁況予報」(12/19千葉県) 「report_23-33.pdf」をダウンロード

【マイワシ】 ニシン目・ニシン科

Japanese pilchard / Japanese sardine (Sardinops melanostictus)

マイワシの水揚げが多い(日本一)銚子で、検査例が多いが、11月以降はがくんと検査数が

減っている。何か事情があるのだろうか?

福島県では10月になってようやく調査が行われた。茨城沖の調査も、10月以降だいぶ

検査例が増えてきた。傾向としてはこれまでとあまり変わらず、横ばい状態。

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マイワシの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_maiwashi_graph.pdf」をダウンロード 

【サバ】 スズキ目・サバ科

chub mackerel (Scomber japonicus)  : マサバ

blue mackerel (Scomber australasicus) : ゴマサバ

どのエリアでも夏以降ずっと低下傾向にあり、最近はほぼ 20Bq/kg以下におさまっている。

サバは肉食性だが、プランクトン食の比重が高いということなのだろうか?識者の説明を聞きたいところだ。

アジの数値が、横ばい~やや上昇傾向にあるのとは対照的だ。

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マサバ・ゴマサバの検査結果一覧→ 「111231_saba_graph.pdf」をダウンロード 

【アジ】 スズキ目・アジ科

Japanese jack mackerel / Japanese horse mackerel (Trachurus japonicus) : マアジ

amberfish (Decapterus maruadsi ) : マルアジ

brownstriped mackerel scad (Decapterus muroadsi ) : ムロアジ

福島県では夏以降横ばいで、平衡状態にあると思われる。

ほかのエリアでは、はっきりしないが、そろそろ上昇も落ち着いてきたように見える。

千葉県沖の最高値は 53 Bq/kg。 また、宮城県の流通品からは 120 Bq/kgを検出している。

11/15宮城県追波湾(おっぱわん)沖採取は 60 Bq/kg。茨城県沖の秋以降の最高は 54Bq/kg。

サバの数値が低下する一方、アジの数値が下がらないのは、食性が違うためだろうが、

はっきりしたことはわからない。

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マアジ・マルアジ・ムロアジの検査結果一覧→ 「111231_aji_graph.pdf」をダウンロード 

【サンマ】 ダツ目・ダツ上科・サンマ科

Pacific saury / saury pike (Cololabis saira)

ほとんど北海道太平洋沖のものしか検査例がないが、9月以降のサンプルは、全てND

もしくは 1 Bq/kg以下となっている。

(「銚子産」の実際の捕獲海域も、北海道沖かもしれない。)

サンマは北から南に南下するので、東北沖で捕獲されたものもおそらく値は低いだろう。

漁業団体は、第1原発の半径100km以内でのサンマ漁の自粛を決めていたが、

11/16日経MJによると、100kmより外側でも、宮城・福島県境以南の操業禁止を10月に

決めているそうだ。

11~12月公表分で、福島沖、茨城沖のサンプルがいくつか出ていて、全てNDとなっているが、

これらは調査目的の捕獲なので出荷されていない。

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サンマの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_sanma_graph.pdf」をダウンロード

「サンマ(googleマップ」 (10/1~ @shanghai_ii さん)

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@shanghai_ii さんのツイート(10/22)

サンマのセシウムマップ http://goo.gl/kFQx6 10/21公表分まで。
8月以来全国さんま漁協の公表はND続きでしたが、10/11に0.4、10/20に0.81と2回検出。
まだ1Bq/kg行ってないので、心配は無いと思う。サンマは少しずつ南下中。

サンマはこのあと関東沖まで南下して流れ藻に産卵するらしい。
その後、春から夏に北上する。
7月~8月に北海道沿岸で検出(1.56~12.02)されたものはこの北上直後でしょう。

今のところ南下組からは殆ど検出されてないんで、ほぼ南下組は2年生と思う。
北上組はベーリング海へ向かったんとちゃうかなあ(想像です)。
そうそう、7月北上組と思われるものは、他に北海道はるか沖で7月に
水産総合研究センターが3体検出(11~20)してます。

【スズキ】 スズキ目・スズキ亜目・スズキ科

Japanese sea perch / Japanese sea bass (Lateolabrax japonicus)

スズキのセシウム濃度はまだ上昇中。やはり大型魚のピークはこれからなのだろう。

9/26ひたちなか市沖は 321 Bq/kg、茨城県沖のサンプルも100Bq/kgを超える割合が

高くなってきた。12/8仙台湾採取のサンプルも75Bq/kgと高くなってきている。

銚子以南では25Bq/kg以下におさまっていて、東京湾のサンプルは現在10Bq/kg程度。

トレンドがつかみにくいが、移動量の多い大型魚だから、数字がばらけるのは仕方がない。

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スズキの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_suzuki_graph.pdf」をダウンロード 

【ブリ・カンパチ】 スズキ目・アジ科

Japanese amberjack / yellowtail (Seriola quinqueradiata) : ブリ

Greater amberjack / ruderfish (Seriola dumerili) : カンパチ

9月以降、岩手県でたくさん検査されるようになった。

9/26宮古市沖(ブリ) 105Bq/kg、10/4館山(カンパチ/流通品) 50 Bq/kg、

10/24江ノ島地先(カンパチ) 59 Bq/kg、10/27宮城県(流通品) 60 Bq/kg など、

泳力のある大型魚の場合、汚染海域でなくとも、一定の割合で、汚染地域と同レベルの

ものが検出される。

11/18南相馬市小高沖のブリは270Bq/kgと高い数値だった。

尚、12月は茨城を除き検査数が少なく、福島県の検査は1件もなかった。

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ブリ・カンパチの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_buri_graph.pdf」をダウンロード 

【サケ】 サケ目・サケ科

chum salmon (Oncorhynchus keta) :シロザケ(いわゆる「サケ」)

Coho salmon / Silver salmon  (Oncorhynchus kisutsh) :ギンザケ

pink salmon / humpback salmon  (Oncorhynchus gorbuscha) :カラフトマス

5/19に北海道太平洋沖で 77 Bq/kgが検出されたが、これは4~5月頃の高濃度汚染水の

影響を受けた個体がたまたま捕獲されたのだろう。

しかし、秋以降、ギンザケ以外のサケは、ほぼNDとなっている。

阿武隈川や、真野川のような淡水魚の汚染が激しい川で採取されたサケもほぼNDだった。

産卵のために遡上するサケは餌を取らないので、やはり影響はほとんどないようだ。

一方、ギンザケからは、100Bq/kg程度のものも見つかっている。ギンザケは日本には

天然には棲息しない北洋のサケだが、成長が早いため養殖の対象となっている。今回、

南三陸町などのいけすで養殖されていた数十万匹のギンザケが津波で流失し、今年は

宮城県などでたくさん捕獲されるようになった。汚染された個体は、福島沖を回遊したのだろう。

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サケの検査結果一覧(xls)→ 「111231_sake_graph.pdf」をダウンロード

【メジマグロ(クロマグロ幼魚)】 スズキ目・サバ科

young of Pacific Bluefin tuna (Thunnus orientalis)

メジマグロは20kgくらいまでのクロマグロの幼魚。主に夏から秋に沿岸で捕獲され、

レジャー釣りの対象にもなっている。

おおむね 30 Bq/kgくらいで、最高でも 41 Bq/kg。但し沿岸に棲むため、沖合いのマグロ

よりは高い値となっている。

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メジマグロの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_mejimaguro_graph.pdf」をダウンロード

【マグロ・カツオ・カジキ スズキ目・サバ科、 スズキ目・マカジキ科、 スズキ目・メカジキ科

Pacific Bluefin tuna (Thunnus orientalis) : クロマグロ

bigeye tuna (Thunnus obesus) : メバチマグロ

yellowfin tuna (Thunnus albacares) : キハダマグロ

albacore (Thunnus alalunga) : ビンナガ

skipjack tuna (Katsuwonus pelamis) : カツオ

striped marlin (Kajikia audax) : マカジキ

Swordfish (Xiphias gladius) : メカジキ

(注:11/2いわき市沖捕獲のクロマグロ 26Bq/kgは、メジマグロに訂正しました。)

春先はやや高い数値のものもあったが、7月頃いったん低くなり、その後また上昇に

転じている。

マグロよりカツオのほうが高めだが、カツオは夏に三陸まで北上し、秋に南下する(戻りガツオ)

ことと、沿岸での捕獲分もあるためではないだろうか。

(捕獲位置をマッピングすれば判るかもしれないが、位置のわからないものも多い。)

沖合の海水(海面)の放射性セシウム濃度は実測ではせいぜい0.2 Bq/Lにも達しないが、

大型魚で100倍に濃縮されるとすれば、20Bq/kg程度に達することになる。

また、カタクチイワシの放射性セシウム濃度は、銚子沖で 3 Bq/kg程度なので、これを

捕食したマグロで10倍に濃縮されると考えると、30Bq/kg程度に達することになる。

今のところほとんど15Bq/kg程度におさまっているが、グラフを見ると、秋以降はNDのものが

少なくなっていることがわかる。本州の東500kmの沖合採取のサンプルも10~15Bq/kgに達しており、

広く汚染が拡散していることがわかる。

15Bq/kgのカツオを100g食べても 1.5Bq/kgにしかならないので、神経質になる必要はないと思うが、

水口憲哉さんの主張するように「子どものためには10Bq/kgのものを選ぼう」ということに

なると、これらの魚は買うことができなくなってしまう。

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マグロ・カツオ・マカジキの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_maguro_graph.pdf」をダウンロード

(参考) 「カツオ」 (茨城県水産試験場)

「カツオ・マグロ類(googleマップ)」 (6/22~ @shanghai_ii さん)

bonitos and tunas

Katsuo_2

【マダラ】 タラ目・タラ科

Pacific cod (Gadus macrocephalus)

9月以降、三陸より北でたくさん検査されているが、8/21登別市沖 43 Bq/kg、9/6青森県(流通品) 79 Bq/kg、

9/13北海道(流通品) 87 Bq/kg、9/26岩手県洋野町沖 82 Bq/kg、10/2三沢沖 62 Bq/kg、

10/30久慈市沖 89 Bq/kg、10/30三沢沖 85 Bq/kg、11/15金華山沖 66Bq/kg、11/18釜石市沖

61.8 Bq/kgなど、数十Bq/kg台のものがたくさん見つかっている。

これは、福島沖のマダラが回遊によって移動したのだろう。

また、茨城沖のサンプルも、現在 100Bq/kg前後ある。

(追記)宮城県沖(金華山以北)1/17採取のマダラから、140 Bq/kgの放射性セシウムを検出。

  http://goo.gl/2xnXf 三陸以北のマダラからも 100 Bq/kg超がついに出てしまった。

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マダラの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_madara_graph.pdf」をダウンロード

下表は、「筋肉部と内臓部のセシウム値」 (セットでデータのあるもの)

  (9/1~11/30公表分、両方ともNDのデータは除外)

マダラの肝臓は、筋肉部に比べてだいぶ低いことがわかる。

鱈の肝は脂肪が多い(50%位)ためだろうが、それ以上に差がある。

Suisan_kanzou

【スケトウダラ】 タラ目・タラ科

Alaska pollack (Theragra chalcogramma) : スケトウダラ

スケトウダラのサンプルは、茨城沖で40Bq/kg以下、宮城以北では34Bq/kg以下におさまっていて、

マダラよりも明らかに低い。スケトウダラはあまり移動しないためなのだろう。

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スケトウダラの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_suketou_graph.pdf」をダウンロード

【アワビ】 原始腹足目・ミミガイ科

abalones

アワビは海藻を食べるため、セシウム値が高くなりやすい。

5~6月頃は高い数値だったが、どのエリアでも順調に下がっていて、高止まりしたまま

下がらなくなったホッキガイとは対象的だ。岩礁に棲むから、底泥の影響を受けにくい

ということなのだろうか?

茨城県沖の調査が9/11を最後に行われていないのは残念だ。

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アワビの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_awabi_graph.pdf」をダウンロード 

【カキ・イガイ(ムール貝)】 ウグイスガイ目・イボタガキ科 、イガイ目・イガイ科

oysters and moules

5~6月頃いわき市では高い汚染状況だったが、徐々に下がっている。

8/1を最後に、いわき市・茨城北部での検査例がないので、状況がはっきりしない。

仙台湾の養殖カキは、1例(4 Bq/kg)を除き全てNDとなっている。

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カキ・イガイ(ムール貝)の検査結果一覧(pdf)→ 「111231_kaki_graph.pdf」をダウンロード

【サザエ・ツブ貝】 古腹足目・サザエ科(サザエ)、 腹足綱 (ツブ貝)

turban shell and whelks

ツブ貝は1件(3.6 Bq/kg)を除き、全てNDとなっている。 シライトマキバイ(灯台ツブ)は、

水深200~400mの深い海に棲息する肉食性の貝で、茨城県の重要な水産物。

サザエは浅い岩礁に棲む貝で、海藻を食べるので、福島周辺にいれば汚染されていた

可能性が高いが、サザエの分布域は暖かい房総以南の海なので、影響はなさそうだ。

千葉以南の検査例では、サザエは全てNDとなっている。

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サザエ・ツブ貝の検査結果一覧(pdf)→ 「111231_tsubu_graph.pdf」をダウンロード

【アサリ・ハマグリ】 二枚貝綱・マルスダレガイ科

Manila clam (Ruditapes philippinarum)  : アサリ

(Meretrix lamarckii) : チョウセンハマグリ (「鹿島灘はまぐり」もこれ)

(Gomphina malanegis) : コタマガイ

福島~茨城北部では、相馬市の2件しか検査例がない。

ポピュラーな海産物なのに検査が行われないのは謎。

コタマガイは仙台湾で年間170tほど水揚げがある貝。名取市・閖上の漁業施設は津波で壊滅したが、

10/23日に1隻の漁業が再開され、コタマガイ100kgを水揚げしたという報道があった。

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アサリ・ハマグリ・コタマガイの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_asari_graph.pdf」をダウンロード

【ホッキガイ】 バカガイ上科・バカガイ科 (正しい種名はウバガイ)

Sakhalin surf clam (Pseudocardium sachalinense)

いわき市では5~6月頃は高い数値だった。いわき市での値はゆっくりと低下してきたが、

9月頃からあまり下がらなくなった。初期の高濃度汚染水による影響はすみやかに減ったが、

底質の汚染が下がらないため、秋以降は100~200Bq/kg程度で平衡状態にあるようだ。

ホッキガイは底魚の今後を占う上で重要な指標だろう。

尚、福島~宮城県亘理にかけて、「ほっき飯」が郷土料理だそうだ。

(追記) 宮城県 亘理地先 12/9採取のホッキガイは 30 Bq/kg。 http://goo.gl/2xnXf

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ホッキガイの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_hokkigai_graph.pdf」をダウンロード 

【その他二枚貝】 

Bloody clam (Anadara broughtoni)  : アカガイ (フネガイ目・フネガイ科)

Japanese scallop (Mizuhopecten yessoensis) : ホタテガイ (イタヤガイ目・イタヤガイ科)

Northern great tellin (Megangulus venulosa) : サラガイ(シロガイ) (マルスダレガイ目・ニッコウガイ科)

freshwater clam (Corbicula japonica) : ヤマトシジミ (マルスダレガイ目・シジミ科)

11/7 福島沖(広野町沖約8km/F1から20km圏)のホタテガイは 19 Bq/kg。

ヤマトシジミは、茨城県涸沼川で、継続的にサンプル調査されているが、9月以降は

10 Bq/kg以下に下がっている。

また、阿賀野川河口付近のシジミからも 5 Bq/kgの放射性セシウムが検出されている。

阿賀野川の上流は、会津地方なので、川によってセシウムが移動したのだろう。

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アカガイ・ホタテガイ・サラガイ・ヤマトシジミの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_akagai_graph.pdf」をダウンロード

【イカ】  頭足綱・十腕形上目

cuttlefish / squids

7月以降は福島県内でもほとんどNDになっていて、イカの安全性は高い。

但し、福島県の検出限界は、Cs各8 Bq/kg程度なので、福島件沖では数Bq/kg程度はあるかもしれない。

イカの肝臓は、銀を海水の数百万倍に濃縮することが知られており、福島周辺のイカの肝臓は

放射性銀 Ag-110mをある程度含んでいると思われるが、Ag-110mの検査は行われていない。

(海底土に Ag-110mが微量含まれることは、文科省などで調査されている。)111231_ika_graph

イカの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_ika_graph.pdf」をダウンロード

【タコ】 頭足綱・八腕形上目・タコ目

octopus

イカと同様、7月以降は福島県沖でもほとんどNDになっている。 タコもリスクは小さい。

ときどき20~30Bq/kgのものがあるのは、汚染魚を捕食したあとだからだろうか?

但し、福島県の検出限界は、Cs各8 Bq/kg程度なので、福島件沖では数Bq/kg程度はあるかもしれない。

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タコの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_tako_graph.pdf」をダウンロード

【エビ・カニ・アミ】 甲殻類

shrimps and crabs

サンプル数が少ないので断言はできないが、甲殻類の放射性セシウム濃度は順調に

低下しているようだ。11月以降はほとんどがNDとなっている。(但し、福島県の検出下限は

Cs各8Bq程度なので、福島県沖では数Bq程度はあるかもしれない。)

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エビ・カニ・アミの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_ebi_graph.pdf」をダウンロード

【ウニ】 棘皮動物門・ウニ綱

sea urchin

ウニは海藻を食べるため、数値が高くなりやすい。

いわき市のサンプルは、ずっと200 Bq/kg以上で横ばい状態にある。

おそらく、食餌である藻類のセシウム濃度が下がらなくなっているためなのだろう。

茨城県では7/11を最後に調査が行われていない。

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ウニの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_uni_graph.pdf」をダウンロード 

【ナマコ・ヒトデ】 棘皮動物門・ナマコ綱 、棘皮動物門・星形動物亜門・ヒトデ綱

sea cucumber and starfish

5月始めのいわき市北部採取(グリーンピースの調査)で 1,000 Bq/kg以上のものが見つかったが、

その後はいわき市でも 30 Bq/kg程度におさまっている。グリーンピースの調査がなければ

調査は空白のままで、こうした状況を確認することはできなかった。

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ナマコ・ヒトデの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_namako_graph.pdf」をダウンロード

【コンブ・アラメ】 褐藻綱・コンブ目・コンブ科(マコンブ)、コンブ目・Lessoniaceae科(アラメ)

kelp / tangle(weed) / kombu (Laminaria japonica) : コンブ

sea trumpet (Eisenia bicyclis) : アラメ

他の海藻同様、福島周辺では非常に高く汚染された。いわき市のアラメのセシウム濃度は

秋以降あまり下がらなくなっており、平衡状態にあると思われる。

(福島県の調査では、海藻の中では、アラメだけが継続的に調査されている。)

岩手以北のコンブは、乾燥品も含めて全てND。

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コンブ・アラメの検査結果一覧 → 「111231_arame_graph.pdf」をダウンロード

【ワカメ】 褐藻綱・コンブ目・チガイソ科

wakame seaweed (Undaria pinnatifida) : ワカメ

(Alaria crassifolia) : チガイソ

福島県では秋以降の検査がないので、現在の状況はわからない。

ワカメの旬は春先なので、今は調査しないのかもしれないが、科学としては疑問。

(注: 5/21北茨城市 44 Bq/kgは「乾燥ワカメ」なので実際の数字はもっと低い。)

1/30 水産経済新聞社(@SuikeiNews)より:

【三陸ワカメ】JF全漁連共販の初入札が気仙沼のJFみやぎのわかめ流通センターで

2月28日に開催される見通し。全体の生産量は例年よりは少なくなり、その中では

比較的生が多くなる見通し。

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ワカメの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_wakame_graph.pdf」をダウンロード (12/31公表分まで)

ワカメの検査結果一覧(pdf)→ 「120331_wakame.pdf」をダウンロード (3/31公表分まで)

【ノリ】 褐藻綱、紅藻綱、緑藻綱

laver / nori

生ノリは全てNDだが、乾ノリからは、最高 27 Bq/kgが検出されている。

金田・大佐和・久津間・木更津・富津は、いずれも東京湾(木更津市・富津市)の漁場。

20Bq/kgと聞くとちょっとあるように感じるが、乾燥品なので食べる量で考えればごく微量。

そこの評価は冷静に。

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ノリの検査結果一覧(pdf)→ 「111231_nori_graph.pdf」をダウンロード 

【その他の海藻】 褐藻綱、紅藻綱、緑藻綱

other seaweeds

5月初めのグリーンピースの調査では非常に高い値が出たが、10月にはいわき市周辺

でも、100 Bq/kg台になっているようだ。 しかし海藻を食べる生物の値はだいぶ高くなる

だろう。

福島、茨城以外はほとんどNDとなっている。

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その他海藻の検査結果一覧(pdf)→ 「111231_hijiki_graph.pdf」をダウンロード

【アユ】

阿武隈川(福島市、伊達市)は、9月まで高い値が出続けているが、

いわき市の鮫川や夏井川では、秋までにはだいぶ数値は低くなった。

那珂川、久慈川、鬼怒川など、大きな川はやはりなかなか下がらないようだ。

「アユのセシウムの放射能濃度(2011年)(googleマップ)」

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アユの検査結果一覧(2011年) (xls)→ 「ayu.xls」をダウンロード

【ワカサギ】 

芦ノ湖、野尻湖、岩洞湖(盛岡市)など、セシウム降下の少ない場所でも

数10Bq/kg出ている。

「ワカサギのセシウムの放射能濃度(googleマップ)」

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【リンク集】 (最新の図はリンク先を見て下さい)

「淡水魚・淡水水産物中のセシウムの放射能濃度(1)3月~6月(googleマップ)」

「淡水魚・淡水水産物中のセシウムの放射能濃度(2)7月~8月 (googleマップ)」

Tansuigyo_2

「天然淡水魚 (googleマップ)」 (7/23 shanghai_ii さん)

Tennentansuigyo_3

阿武隈川の天然淡水魚(9/20まで) (9/25 @shanghai_iiさん)

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阿賀川水系の天然淡水魚(9/20まで) (9/25 @shanghai_iiさん)

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阿賀川と阿武隈川のアユ(9/20まで) (9/25 @shanghai_iiさん)

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全水系のアユ、ヤマメ、ウグイ、イワナ(9/20まで) (9/25 @shanghai_iiさん)

110920_freshwater_all

河川・湖沼・海洋の底質のセシウムの放射能濃度(1)4月~7月

河川・湖沼・海洋の底質のセシウムの放射能濃度(2)8月~

Teishitsu_2

海域モニタリングの採取位置(pdf→xlsに変換) 「Kaiiki_chiten.xls」をダウンロード

水産物リンク集 (美山透のサイト)

「福島沖セシウム137拡散モデルのパラメータ推定」 (海洋開発研究機構 3/6公表)

  Cs-137の直接流出量を 5.6PBq と推定(グリッドの細かいJCOPE-Tによる推定)

「東京電力の海底土のデータ 11月分のまとめ」 (12/12 @tsokdbaさん)

Togetter 「ベクミルオフ会参加者の終了後のツイート」 (12/13)

  いわき市のタコ(非流通品)から、若干のAg-110mを検出。

「文科省が発表した最新の海底土のデータ+ETV特集の解説」 (11/28 @tsokdbaさん)

「JAMSTECのシンポジウム(海底土の汚染と海水の汚染の関係について その3)」 (11/21 @tsokdbaさん)

「海底土の汚染と海水の汚染の関係について その2」 (11/11 @tsokdbaさん)

「海底土の汚染と海水の汚染の関係について その1」 (11/8 @tsokdbaさん)

「魚の放射能汚染の現状 11月初旬のまとめ」 (11/4 @tsokdbaさん)

「東京電力が発表した海底土のSrのデータ」 (11/1 @tsokdbaさん)

「フランスIRSNが発表した海洋汚染の内容の仮日本語訳」 (10/31 @tsokdbaさん)

「フランスIRSNが10/26に発表した海洋放射能汚染の解説」 (10/30 @tsokdbaさん)

「東京電力が発表した海底土の汚染状況 3回目の発表」 (10/25 @tsokdbaさん)

「今後の海域モニタリングの進め方」(魚も含む)が発表されました (10/21 @tsokdbaさん)

「2号機から海洋への放射能の流出は3月下旬から始まっていた?」 (10/11 @tsokdbaさん)

水産庁が発表した魚の産地(生産水域名)の表示とは? (10/6 @tsokdbaさん)

「放射能汚染時代の魚の選び方 基準値「500Gq/kg」を疑え!」 (9/25 水口憲哉さん、1/15全文無料公開)

「水産物中の放射能の経過・考察」 (たむらと子供たちの未来を考える会)

「水産物の放射能汚染に関する情報(まとめ)」 (6/14 勝川 俊雄 さん)

「海洋生物にしのび寄る放射能汚染」 (4/14 nature 日本語記事)

「浸透圧に対する海水魚と淡水魚の体の仕組み」 (サントリー「水大辞典」)

(公表データをまとめたページ)

食品の放射能データ検索もどき(実験) (3/21公表以降のデータ)
http://oku.edu.mie-u.ac.jp/food/ (奥村晴彦さん)

yasaikensaサイトデータ検索もどき(実験)
http://oku.edu.mie-u.ac.jp/yasaikensa/ (奥村晴彦さん)

食品の放射能検査データ ((財)食品流通構造改善促進機構) (2012年4月末まで)
http://yasaikensa.cloudapp.net/

全国の食品の放射能調査データ
http://atmc.jp/food/

食品放射能検査値ボット
https://twitter.com/#!/foodrad_bot
   過去3週間の食品の放射能検査公表値をリプライする非公式ボット。
   [@foodrad_bot 食品名]または[@foodrad_bot 県名 食品名]で話しかけると最大値と
   平均値を自動応答します。
   使い方まとめ: http://togetter.com/li/173970

出荷制限のあった地域と品目(2012/4/5 @parasite2006 さん)
http://goo.gl/w7yWq

(公表元リンク集)

厚生労働省 「食品中の放射性物質の検査結果」
http://goo.gl/qjngW

   「報道発表資料」 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/ のほうが少し早く掲載される。

厚生労働省 「全国の過去の検査結果」
http://goo.gl/MimVe

   月別のExcelファイル。(更新はやや遅い)

厚生労働省 「食品中の放射性物質の検査について」
http://goo.gl/SwcK1

   日本地図をクリックすると、都道府県別のExcelファイルのリンクがある。(更新はやや遅い)

   右側に出荷制限の一覧、設定・解除の情報がある。

2012/3/12 厚労省 「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」の改正について
http://goo.gl/AawgU

   (2011/8/4 「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」)

水産庁 「水産物についてのご質問と回答(放射性物質調査)」 (2012/4/8更新)
http://goo.gl/yyfca

 水産物の放射性物質の調査結果(xlsで公表-11/1開始)
  http://goo.gl/5JqAp
 (これをほかの表にコピーすると、H列とJ列の間にあるI列「採取日」を見られます。)

  (独)水産総合研究センターによる水産物放射性物質調査結果「海藻編」(PDF)
   http://goo.gl/d9eqt (2011/7/5更新)

  (独)水産総合研究センターによる水産物放射性物質調査結果「魚介類編」(PDF)
   http://goo.gl/hGmka (2011/11/18更新)

  (独)水産総合研究センターによる水産物放射性ストロンチウム調査結果(PDF)
   http://goo.gl/c2o8G (2012/3/9更新)

   水産物の種類毎の放射性物質の調査結果 (2012/3/末までのぶん)
   http://goo.gl/Fr1sy

     分析部位の表記があります。

北海道 「北海道放射線モニタリング総合サイト」
http://monitoring-hokkaido.info/

   「水産物」タブをクリックすると、魚種別に見ることが出来る。全部のcsvデータもある。

青森県 「水産物の放射性物質検査結果」
http://goo.gl/FCXTe

岩手県 「環境放射能に関する情報(福島第一・第二原子力発電所事故関係)」
http://goo.gl/IQNjj

秋田県 「県産農産物等に含まれる放射性物質の検査結果」
http://goo.gl/Ncdzw

山形県 「県産農畜産物等の放射性物質検査」
http://goo.gl/y0TaZ

宮城県 「放射能情報サイトみやぎ」
http://goo.gl/gFVyR

福島県 「公表日ごとのモニタリング検査結果」(速報)
http://goo.gl/Xxaxb

福島県 「農林水産物モニタリング情報(ふくしま新発売)」
http://goo.gl/MTH3t

福島県水産試験場

   魚介類の検査結果(一覧、魚種別、基準値を超えたもの、傾向、採取位置

   放射性物質の局在性に関する調査結果

   海水・海底土壌の検査結果(一覧、分布図)

   魚介類の餌生物等の検査結果

茨城県 「福島第一原子力発電所事故に伴う県内水産物の分析結果」 (グラフあり)
http://goo.gl/8Ogo6

栃木県 「放射能に関する農林水産物の安全性確認状況」
http://goo.gl/r8k6P

群馬県 「放射性物質に係る県産農産物の安全性」
http://goo.gl/tMI5j

千葉県 「水産物の放射能検査結果」
http://goo.gl/reRTP

東京都 「農畜産物中・水産物等の放射能測定結果」
http://goo.gl/Us4aA

神奈川県 「県内で生産された食品中の放射性物質の検査結果」
http://goo.gl/kopqq

   神奈川県産水産物への放射能の影響について(Q&A)  (マップあり)
   http://goo.gl/msPqd

   横浜市で実施した食品の放射性物質の検査結果 (Excel)
   http://goo.gl/qfGXY

   川崎港で採取された魚介類の放射能濃度 (2012/3/13)
   http://goo.gl/1vdWV

静岡県 「農畜水産物の放射性物質検査物質検査について」
http://goo.gl/YRJSN

   静岡県 「水産物の放射能検査について」
   http://goo.gl/ja4uP

   「浜岡原子力発電所周辺環境放射能調査結果」
   http://goo.gl/jQ78p

新潟県 「水産物の放射性物質の検査結果」
http://goo.gl/ktF8u

山梨県 「県産農産物の放射性物質検査結果一覧」
http://goo.gl/gq0eX

長野県 「県内産農産品等の放射性物質測定結果」
http://goo.gl/mu0nw

GREENPEACE Japan 「グリーンピース放射能測定室」
http://goo.gl/M5qyN

   「第3回目調査(海洋調査)」(5/26)
   http://goo.gl/sejJW

   「第4回目調査(海洋調査)」(8/16)
   http://goo.gl/ZKwnV

   「第6回目調査(海洋調査)」(9/15)
   http://goo.gl/pnwkI

   「第7回目調査(海洋調査)」(10/5)
   http://goo.gl/TKMHn

   「秋のお魚調査(第1回流通品調査)」(10/20)
   http://goo.gl/dVsKA

   「第8回目調査(海洋調査)」(11/1)
   http://goo.gl/sqwtw

   「冬のお魚調査(第2回流通品調査)」(11/17)
   http://goo.gl/JL7vj

   「冬のお魚調査(第3回流通品調査)」(12/14)
   http://goo.gl/z2JU3

   「冬のお魚調査(第4回流通品調査)」(2/29)
   http://goo.gl/FZRrh

   「魚介類缶詰(第5回流通品調査)」(4/2)
   http://goo.gl/3mL9R

(水産物の移行係数)

「海産物と放射能」-特に海産魚中のCs-137濃度に影響を与える要因について (1999年、笠松 不二男)

海産生物の濃縮係数 (ATOMICA)

Kaisan_noushuku

Sediment Distribution Coefficients and Concentration Factors for Biota in the Marine Environment

(IAEA TECHNICAL REPORTS SERIES No.422)

  海洋における係数Kd(底質の放射能濃度/海水の放射能濃度)

  様々な生物の濃縮係数

北極海に廃棄された核物質の生物濃縮に関する論文 (英文pdf 4p)

  Table2: 様々な生物の、Sr-90、Cs-137、Pu-239+240 の濃縮係数の一覧表

Eco Doses  Improving radiological assessment of doses to man from terrestrial ecosystem

  (北欧原子力安全研究プロジェクト NKS-110 2005年7月) http://goo.gl/6Irxa

  北欧の湖沼における、いろいろな魚の濃縮係数

  Cfs_nordic_lake

  濃縮係数は湖により、かなり差があるが、富栄養湖で低く、貧栄養湖で高い。

  上のグラフの左4種が肉食魚、右4種が非肉食魚で、肉食魚ほうが濃縮係数が高い。

海産生物と放射性物質 (海洋生物環境研究所)

「海産魚におけるCs-137濃度の変動要因」 ( 海生研ニュース72 2001年)

  Kaiseiken72_2

  Kaiseiken72_3

海域に負荷された137Csの影響予測-チェルノブイリ事故前後の資料と経年変動予測式をもとに (海洋生物環境研究所)

原子力百科事典 ATOMICA より

放射性核種の体内移行と代謝 (2001/10)

食品中の放射能 (2004/08)

放射性核種の生物濃縮 (2004/08)

水産生物への微量元素の特異的濃縮 (1998/03)

放射能の河川、湖沼、海洋での拡散と移行 (2003/03)

食品中の放射性銀について教えて下さい (国立保健医療科学院)

「海洋での放射性物質のゆくえを徹底調査する」 (4/21 日下部 正志)

Togetter 「セシウムイオンの生物濃縮について」 (2/7)

Togetter 「勝川准教授がteam_nakagawa「セシウムは生物濃縮しない」発言を批判」 (2/8)

@torii_h さんのツイート(10/15)

[資料] 環境濃縮を気にしてる方が多いと思うので以下に米国のデータを掲載しておきます。
米核施設 Savannah River Site における生物濃縮の調査。出所:米DOE

セシウムの生物濃縮係数: 魚肉max48,000倍。水鳥19,000倍。クワイ20.8倍。
魚は食べるなということ。

http://twitpic.com/4xgn8z http://twitpic.com/4xgnwn

セシウムの生物濃縮係数: キノコ18.4倍。米0.96倍。小麦0.18倍。
穀物は比較的大丈夫だ。

http://twitpic.com/4xgokv http://twitpic.com/4xhwin

ストロンチウムの生物濃縮係数: 魚骨max63,000倍。無脊椎動物max54,000倍。
魚肉48倍以下。水産物はヤバい。

http://twitpic.com/4xhsid

ストロンチウムの生物濃縮係数: 大豆2.51倍。とうもろこし0.15倍。穀物は大丈夫。
http://twitpic.com/4xhsid

以上が米SRS核施設のデータ。他に英再処理施設のデータが少々。チェルノブイリは淡水域のみ。
これしかないのが現実なのでフクシマの水産物・海産物に関して断定的な意見が
出てきたならば学者であれ政府であれ疑ってよいのでしょう。

セラフィールド事故

年次報告書2010 Monitoring our Environment (Sellafield Ltd)

セラフィールド事故は、再処理工場からの汚染なので、PuやAmなどの重い元素が

海洋に放出されたが、福島の原発事故では、そのような元素は(敷地の近傍を除けば)

ほとんど拡散されていないようだ。

セラフィールド沖の観測では、こうした元素は海底からほとんど動かず、長期間経過しても

ほとんど減っていないことがわかる(但しセシウムの話ではない)。

セシウム-137の推移美浜の会

水産物中のCs-137が1/10になるのに、5年くらいかかっていることがわかる。

福島沖の水産物に値段が付くようになるまでに、5年くらい必要かも知れない。

セラフィールド再処理工場からの放射能放出と白血病 (2005年、今中哲二)

(参考) 水産庁が 3/29に開いた説明会→ 「110329_sankei_suisan.jpg」をダウンロード

     このときの資料 「水産生物における放射性物質について」
    110331_keturon

「汚染水を海に流してほんとに大丈夫?お魚を食べても大丈夫?」を子育てママが理解するまで (10/11 pdf)

「どうして放射性物質を海に捨てても生物濃縮の問題にならないの?」 (10/11 pdf)

  「水産生物における放射性物質について」水産総合研究センター森田先生のスライドを理解する。

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